模範試合1
週明けに剣術の模範試合が行われた。
まず5人のグループ事に別れてからの総当たり戦で、グループ上位2名が次の試合に進める。
そして再び第四グループの上位2名を分けて前半のグループと後半のグループの2グループに別れて再び上位2名を決め最後に4人の総当たり戦となる。
因みに今回の上位3名は1ヶ月続く卒業試験の時のシード権を貰える。
つまり、予選の時間を他の勉強に割り当てられるとあって皆結構な意気込みを見せている。
何せ卒業試験は総当たり戦で最終的に2名選びシードの3名と合わせて5名での試合となる。
故に、総当たりと言うだけあり拘束される時間は半端ない。
シードの3名の見学は自由だが、他の参加者は強制的に全試合見なければならない。
試験は午後のみの時間と短く、故に全試合するだけで結構な時間がかかる。
又、週の中日は筆記試験等も入りその日は午前から1日中試験に追われる。
ある意味過酷な日程になっている。
因みに他の日の午前は予約制でダンスやマナーの試験があり、これは試験期間中なら合格するまで何度でも受け直す事が出来る。
逆に言えば合格するまで受け続けなければならない悪魔な教科でもある。
話は戻るが卒業試験の試合は見学自由。
色々貴族が見学に来る。
爵位を継げない者にとっては就職活動の場とも言え、この試験中に卒業後のアポもとられる。
逆に言えばあえて今回の模範試合を手抜きして卒業試験で見せつけるという者も多いらしい。
まぁ余談であるが、最終選考の5名の試合は陛下もお越しになり2日間行われる。
ある意味卒業試験試合の花形だ。
よほどの問題がない限り慣例に習い最終の5名には騎士団からもれなくスカウトがある。
まぁ。
騎士団も良いけど、女騎士の道はあまり間口が大きくない。
けど、騎士道も良いかな……と最近思う所もある。
今日の対戦表を見ると有難い事にアイザックとジャックとはグループが離れており、順調に勝ち進んでも最後にしかかち合わない。
正直気が楽である。
何せ王族。
下手な所で負かすのも申し訳ない。
しかし、決勝戦でなら多少は許されるだろう。
安易な考えにとらわれながら『負ける気はしないから』とほくそ笑む。
「今日から模範試合を開始する。卒業試験の予行練習と思って誠心誠意剣技を披露する事。又、魔術の使用も許可されている。実戦と思い試合に挑んで欲しい。又、死に至らしめる魔法は禁止となっている。十分気を付ける様に」
そう言うと先生が対戦表を指し示す。
「では第1グループから始める。第1グループの5名は前へ」
そう言うとアイザックを含めた5名が前へと進む。
私はアイザックの他の4名を見やり『アイザックと同じグループだなんて御愁傷様』と心の中で同情した。
さてさて、この国の第二王子殿下の腕前は如何程のものか。
楽しみである。
何せ噂では魔法騎士第一分団長直々に剣の稽古をしているという。
それほどの素質があるのか。
それとも、王族の特権に過ぎないのか。
そう思いうっすらと目を細めながら試合の行方を見守った。
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