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夜間の後に3

楽しんで頂けたら幸いです。

まるで一枚の絵を見ている様だった。


中庭に面したサロンの一角で、ガラス張りのそこには外から優しい光が射し込んで来て二人の男女を優しく包み込む。

淡いブロンドの髪がさらさらと光輝き、長い睫毛の下から愁いに満ちた紺碧の瞳を覗かせて小さなピンク色の唇微かに動く。

そんな彼女を慈しむかの様な眼差しを向ける男は紫掛った白銀の髪を後ろで一つの三つ編みに結わえていて、顔はとても精悍な美丈夫だ。

紺碧色の瞳は彼女を片時も目を離さない様に見つめていて…。

理想的な光景にミッシェルは自分の世界にドッポリと浸っていた。


何て甘美な光景かしら…涎出そう…。



頬杖をつきながら二人の様子を見つめるミッシェルの後ろで控えていた家令のサムは、深いため息をつきたくなる思いでその光景を見ていた。

『まるでコブ付きのカップル』

の様です。

ミッシェル様。嘆かわしい…。

旦那様になんと言えば良いのか…。

そんな事を考えているとケヴィンと目が合う。

『余計な事を言うなよ』

と目だけで訴えて来る。

長年お仕えしている為にご子息の言いたい事は何となく判ってしまう。

又もやため息が出そうになる。

『知りませんからね』

サムもまた目だけでケヴィンに訴えた。



その後何故か親友になりたいと豪語するケイティに半ば強引に毎週遊びに来る事を了承させられてしまう。

あれれ?

儚げな深層の令嬢は何処にいったの?

ミッシェルはケイティの評価を替える事にした。

帰り際ケイティはラハン公爵夫妻に挨拶をしていた。

「ペレッタ家のケイティです。閣下におかれましては我が父が大変お世話になっております。又、昨夜は父の誕生祝にご兄妹揃ってお出で頂きました事、父に代わりお礼申し上げます」

淑女の礼をとりケイティはラハン夫妻に微笑みかける。

「本来なら私達夫妻がお祝い申さねばならない所、我が子に代理をさせた事礼儀を欠いてしまったのではないかと危惧していたのだよ」

「そんな事はございません」

ケイティは間髪置かずに言葉を発していた。

一瞬の沈黙がその場を征する。

沈黙を破ったのはケイティだった。

「申し訳ございません。…あの、これも何かのご縁だと思いましす。これからミッシェル嬢と親好を深めたいと思いますの。差し障りなければお互いを理解する為にミッシェル嬢の休みに来訪させて頂いて宜しいでしょうか?」

あくまで差し障りなければとケイティは控えめにお願いする。

「ミッシェルが良いなら構わない」

との許可も頂いてケイティはとても喜んでいた。

そんなに嬉しいのかしら?とミッシェルが思ったのは言うまでもない。

「処で、ケイティ嬢はミッシェルがラハン家の者だと良く気付いたね」

父の言葉にギクリとする。

ヤバイ…。

ミッシェルの背に嫌な汗が流れる。

しかし、ケイティは気にも止めた様子もなく淡々と理由を話す。

「私も魔術師の端くれです。ケヴィン様とミッシェル様の魔力と雰囲気が似ている事なら一目で分かりましたわ。それにお顔がとても似ていらっしゃいますもの。分からない方がどうかしておりますわ」

事も無げにケイティは余裕な素振りで断言する。

これは参ったと父は楽しそうに笑った。

「構わん。なんなら泊まって行っても構わない。ケイティ嬢がアイザック殿下の婚約者でなかったら是非我が家の嫁に貰いたいところだ」

そう言うとケラケラ笑った。

そんな父をケヴィンだけは渋い顔で見ていた。



外へ出てお見送りをする二人にケイティが小さな箱を各々に渡す。

「友情の証しに私からのプレゼントですわ」

コロコロと笑うケイティ。

「ありがとう。中を見ても?」

ミッシェルは素直に頂くと箱を開けて見た。

可愛い四ツ葉のクローバーを捩ったピンブローチが入っていた。

「可愛い。ありがとうケイティ」

「実は3人お揃いですの。何処かへお出かけの時など着けましょう」

楽しそうにケイティがそう言う。

「では今度の休みは3人で何処かへ出かけようか?」

ケヴィンがそう提案するとケイティはとても嬉しそうにケヴィンに笑いかける。

見つめ合う二人…。


あれ?

やっぱり私ってお邪魔虫?


何だろうね…。

凄い疎外感。

「ではミッシェル。先程の約束通り男装でお願いね」

上機嫌にケイティはそう述べると「また来週お会い出来るのを楽しみにしておりますわ」と一礼してペレッタ公爵家の馬車へとケヴィンのエスコートで乗車した。

ケイティを乗せた馬車は名残惜しそうにラハン公爵家を去って行った。


嵐の様な午後を過ごしため息をつきながら兄の方を見ると、箱の中身を見ながらほくそ笑む兄が見えた。

「来週は何処に行こうか?」

ミッシェルに向かって楽しそうに尋ねて来る兄。

「乗馬も良いかと思いますが、ケイティは乗馬しなさそうだし、近くの湖畔にピクニックも良いですかね」

ミッシェルは兄にそう提案する。

「ん~馬には多分乗れないだろうからね。ピクニックで良いと思うよ。では来週は料理長に頼んでサンドイッチを作ってもらおう」

「良いですね」

兄妹で来週の計画を立てていたその頃、ペレッタ公爵家の馬車の中ではケイティが身悶えしながら喜んでいた。



お読み頂きありがとうございます。

また読んで頂けたら幸いです。

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