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小さな賢者の配達人(リトル・セージ・ポストマン)  作者: 馬ノ やすら
プロローグ

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プロローグ

「う……、うん……。 」

俺は、夢を見ていた。


『キキーーー!』

けたたましいブレーキ音と共に、眼前いっぱいにヘッドライトの光が広がり、目がくらむ。

身体は凍ったように動かない。

次の瞬間、俺の身体は宙を舞っていた。

ドクン、ドクン。

俺は全身から血が流れ、心臓の音が耳元で大きく鳴っているのを感じる。

地面に落ちた手紙が、俺の血で赤く染まっていく。

視界がどんどんと奪われ、騒がしい音が遠ざかっていく。


そこで俺の夢は終わり、目が覚める。

う……、またあの夢か…… 。

幼少期より時折見る夢。

正確には俺の前世で体験した【事実】なのだが。


俺には前世の記憶がある。

この世界とは違う世界。

日本で、俺は郵便局の配達員として働いていた。


ああ、あの手紙だけは届けたかったな……。

俺が心の中で届けられなかった手紙を思い返していると声がかかる。


「あら?ライン。またそんなに寝汗をかいて。」

そう言って俺の隣にいた女性が俺の顔を柔らかいタオルで拭ってくれる。


「母さん、自分で拭けるから。」

「あらあら?でも私に拭かせなさい。」

そう言って、母――リーニュは俺の顔を優しく拭ってくれた。

そして最後に、そっと頭を撫でる。

「うん。綺麗になった。さすが私の子。世界一可愛い。」

リーニュはニコッと満面の笑みを浮かべる。

「せめてかっこいいって言って欲しいな。」

俺はふくれっ面をして見せる。


「ふふっ。そう思われたいなら訓練を頑張ってもう少し強くならないとね?」

リーニュは俺に軽くデコピンをする。

「痛っ!」

俺は思わずデコピンされたおでこを押さえる。


「さあ、そろそろ起きる時間だわ。今日も元気に行きましょうね。」

リーニュは俺に向かい手を伸ばす。

俺はその手を掴み、起き上がる。



俺の『ライン』としての一日がこうしてまた始まる。


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