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旅する岩  作者: 夏野篤砂
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電話

電話があったのが午後4時半ごろだったと思う。


内容は「また、おばあちゃんがいなくなった」

との電話だった。

市役所の勤務時間は5時15分までで、こういう電話はたいてい終業前に来るのである。

「ゆっくり話してね。家の中は探した?」

「探した」

「買い物に出かけたのかも。財布はある?」

「ここにある」

「そうか、買い物袋もそこにある?」

「ある」

「そっか。電話そのままでちょっと待ってね」

電話をかけてきたのは、柿木のぞみちゃん、10歳。

いなくなったのは、のぞみちゃんの祖母である柿木真知子さん65歳、軽い若年性認知症を持っている。

のぞみちゃんの父母は、のぞみちゃんが6歳の時、仕事に出て行って帰ってこなかった。

その後、祖母である真知子さんがのぞみちゃんを引き取った。

真知子さんは、夫を早くに亡くしたが、本人が元教員だったため、年金も田舎で暮らすには不自由はなかった。

こういう困った場合は地域包括支援センターで社会福祉士をしている私の出番ではある。

電話は保留音に切り替えて、周りの同僚に

「のぞみちゃんのおばあちゃんが、また、いなくなったって。スーパーの森口さんに電話してくれない。」

と声をあげると、一人が

「それ、今電話あったわ。保護したって」

私は頷いて、電話の保留音を外して

「のぞみちゃん。おばあちゃん、見つかった。いつものスーパーにいたよ。

 帰りに私がスーパーに寄って一緒に帰ってくるよ。安心して待ってなさい。」

安心したのぞみちゃんの声を聞いて受話器を置くと、

職場の上司が、もう上がっていいよといった。ちょうどスーパーに寄ってのぞみちゃんのところへ行くとそのぐらいの時間になるかららしい。

ここは田舎で出勤にデジタル化されておらず、まだタイムカードを使っているので、同僚に押しといてとお願いした。




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