護衛
『アレイ邸』
「え?エドワード君とカグラがユナの護衛に?」
「はい、別大陸とはいえ、一国の長。本当なら国賓として陛下の城へとお迎えする様な方なので」
私にお尻を撫でながら、カグラが説明してくれる。
うん!やっぱり良い肌触りだわ。エヘヘ
「あの‥‥‥その手を話してください。レイカさん」
「嫌だ」
「アレイさーん!!!」
「直ぐに離すわ!!」
「何かのお笑いですかな?‥‥‥‥ですから、僕はこの『アレイ邸』の隣にある空き家に移動アイテムを取り付けて、城と行き来できるようにしました。そして、しっかり働けとも‥‥‥‥僕が何をしたというんでしょうか?」
「‥‥‥‥全ての現況でしょう。はぁ~、どうするんですか?選抜大会は?」
「選抜大会?」「選抜大会じゃと?」
私は聞き慣れない言葉に頭を傾けた。
「新たな九聖光の選抜大会です。このおバカさんのせいですが」
「僕はただ辞めただけです。それを無理やり鎖に繋いで、城に軟禁し働かせられて‥‥‥‥可哀想な、エドワード・ユグドラです」
「誰に自己紹介してるんですか?‥‥‥‥それより、貴方もこの大会に参加してくださいね」
「はい?嫌ですよ!働きたくない、闘いたくない!!」
「わがまま言わないで下さい!貴方が優勝しなかったら、九聖光の力関係が過激派に傾くのですよ」
過激派?傾く?何それ?
「‥‥‥‥では、代わりの‥‥‥穏健派になり得そうな人材が大会に優勝すれば宜しいので?」
「代わりの穏健派ですか?‥‥‥‥まぁ、そうですね。ある程度の実力と名が響いていれば、陛下も許されるとは思いますが」
「では、幾人か伝があるので彼ら彼女らに声をかけて来ます」
「はっ?貴方はこの後、私と一緒にユナさんの護衛を‥‥‥‥」
「それは姫君に任せましょう」
何言ってるの?この問題児は?
「ちょっと!エドワード君?」
ガキンッ!
エドワード君に付けられていた鎖が外れる。
「はっ?『契約の鎖』が外れた?」
「では、僕は北の地に入るであろう、テレシア殿とローズ殿を探しに行きますので。失礼」
「はい?黄剣の眷属と赤姫をですか?」
「えぇ、では、僕はこれで‥‥‥‥さらば」
シュン!
「いや、ちょっと!お待ち‥‥‥って!もういない?」
「‥‥‥‥まぁ、私は関係ないから頑張ってね。カグラ」
「ちょっと待って下さい。また、陛下に叱られてしまう‥‥‥‥」
「‥‥‥貴女も大変ねー、カグラ」
「昔からです‥‥‥はぁ~」
‥‥‥‥一方
『王都アルベルト』城下町にあるレストラン『アクア』
「アルトネ大会の料理は美味しいのう~」
「はい~絶品です~」
魔王である私とソフィアと2人だけでレストランに来ていたのだったのだが‥‥‥‥
「ソフィアよ。ここの支払いは大丈夫なのか?私はエウロペ大陸のお金しか持っておらぬが」
「はい~、私、おサイフを忘れました~」
「‥‥‥‥何?財布を忘れたじゃと?」
「はい~、どうしましょうユナ様~」
「おっと!まさかソフィアはあっちの知り合いの芽愛に似ておるとは‥‥‥‥なんて日じゃ!」
「今日は晴れてますね~」
そして、なんて子じゃ。
そして、私とソフィアが途方に暮れていると。
カランッカランッ!
レストランの扉が開いた。
「あー、やっぱり。ここにいたー!見つけましたよ。自称魔王のユナ魔王様」
「ソフィアさんと一緒に居るということはトラブル中ですね」
「酷いです~!カグラ様~」
「はい、ソフィアさんは天然トラブルお嬢様ですから」
「ひ、酷いです~!カグラ様~」




