迷宮からの脱出
「ゲフゥ!‥‥‥‥‥シュン」
「ゲ、ゲフゥじゃないわよ!『アルビオン』!ちょっと!ねぇ!返事しなさいよ!!」
「‥‥‥‥‥‥」
「コイツ~!」
私の愛剣は全然反応してくれない。
「目的の『生命の魔道書』を食べ終えたら即座に寝たか‥‥‥‥本の中の秘密をばら蒔かられない様に何かしたのか?『アヴァロン』の妖精共は?」
アルマ君はそう言って1人考え始めた。
「し、しかし、どうしますか?アマルダさん。私達が欲した『生命の魔道書』は食べられ、アルケミス学園長に頼まれていた回収の件は‥‥‥‥」
「それは俺から上手く伝えておいてやる。そこで気を失ったいるユグドラの名誉の為にもな。それに思わぬ収穫。『ラグナログ(神々の黄昏)』。『審判』を屠る事ができた。これを王国側に伝えれば、褒美も夢ではないだろう」
「ほ、褒美ですか?それは‥‥‥話が上手すぎるのでは?」
「いや、そうでもない。奴等の番席。新たな椅子は直ぐに埋まるものでは無い。何せ、500年前にレイカ姫が倒した。『征服者』アルゴンの席は未だに空域のままと『死神手帳』には書かれている」
「だから、何なの?その死神手帳って!」
「1人の英雄が長きに耐えた情報‥‥‥と言っておいてやる。レイカ姫」
「いや、それじゃあ、分からないわよ。アマル君」
「‥‥‥‥死神手帳?‥‥‥‥『死神』?‥‥‥‥‥まさかのう」
自称魔王様‥‥‥‥ではなく、ユナが何か考えている。
このパーティー、考え事する人多すぎない?もっと、こう!考える前に動き出さなくちゃ駄目よ!私の様に!
「でも、どうしましょう~!ここは迷宮の際深部。どうやって帰りましょう~」
ソフィアが困った顔で穴の空いた天井を見つめて言った。
「それは任せろ。オルガリア嬢。『マギア・マルチスケイル』」
アマル君はカッコつけながら叫ぶ。そして、マントの中から巨体な布を取り出した。
「ほーう、極細の魔力の針金が編み込まれておるのか?」
「ふん!よく気づくものだ。魔王殿は、そして、なかなかの知識だな。皆、この布の上に乗れ。そうすれば、宙に浮き脱出できる」
「脱出って、何でそんなに慌てて‥‥‥」
「『生命の魔道書』を失った迷宮は時期に点穴が維持できなくなり崩壊するからだ!アホ姫。ただ1人、生き埋めになりたいのなら残っていけ」
「そ、それを早く言いなさいよ!ほら、エドワード君。私に捕まって」
「うぅぅ、お優しい姫君が今、目の前に」
「私はいつも優しいわよ。脱出するわよ!皆!」
「はい!」
「です~、です~」
「うむ!」
「‥‥‥‥何故、お前が仕切る。レイカ姫」
「ノリよ!」
「そうか、ならば行くぞ。『フード・エアー』」
アマル君が詠唱すると魔力布?が魔力を帯びて、浮かび上がった。
「ほ、本当に浮きました~!」
「‥‥‥‥凄いですね」
「あやつが入れば転移です直ぐなのじゃがな」
「あやつ?」
「‥‥‥いや、何でも無い」
「お喋りはそこまでだ!舌を噛むなよ!行け!!迫撃の布よ!我等を迷宮から脱出させろ!」
フワァ~!シュイイイイン!!!
迫撃の布は一度動き出すと凄まじい速さで『レイカの迷宮』の入り口へ向かって行く。
『レイカの迷宮』入り口
ドゴオオオオンン!!!
「「「「「うわあああぁぁあ!!!!」」」」」
ズザザザザ!!!
シュタンッ!
「フゥー、流石は私!素晴らしい身体能力で上手く受け身をとれたわ」
ドガァン!
「くっ!なんて日だ!」
ドガァン!
「ゴアァアァ!!頭をぶつけて」
シュタンッ!
「ソフィアさん!」
パシッ!
「カ、カグヤ様~、ありがとうございます~」
カグヤは私と同様に綺麗に着陸しそのまま、ソフィアも優しく抱き止めた。
おっと私もユナを抱き止めないと!
「ユナ!私の所に来なさい」
「ぬ?おお!分かったのだ」
パシッ!
「よし、上手く、キャッチできたわ」
「私は何かのボールか?レイカよ‥‥‥‥」
「ボール?何それ?」
私とユナがそんな会話をしていると。
ガゴンッ!ガラガラガラガラ‥‥‥‥ドゴオオオオンン
『レイカの迷宮』が大きな音を立てて崩落したのだった。




