帰路の狭間は開かず
「綺麗さっぱり消えたわね。あの白い蛇の神父さん」
「いやー!お見事でしたよ!姫君~、流石はアルトネ大陸の大英雄様ですよ~」
エドワード君が横行に私を誉め。
「ふん!お前はただ見ていただけだろう!ユグドラ。しかし、500年前の強さは健在だとは驚いたぞ。レイカ姫‥‥‥‥それ以前に遥か昔よりも更につよくなったか?」
「うっ!それは‥‥‥」
「それはそうですよ!アマルダ氏。何せ姫君はありとあらゆる死地でですね」
「し、静かにしなさい!エドワード君!!!フンッ!」
「ゴワラァ?!ひ、姫君。何を‥‥‥‥ガクッ」
「ユグドラが一撃で落ちただと?」
「‥‥‥自業自得ですね」
「私、何もできませんでした~、はぅ~!ごめんなさいです~」
「わ、私、なんか縛られて‥‥‥あの触手の餌食に‥‥‥情けない」
そんなやり取りを少し離れた所から静かに見ている自称魔王様はというと。
「‥‥‥‥終わったか‥‥‥では、私の役目も終わりじゃな。あっちの世界の物語では敵を倒した後は元の場所に戻るのがお約束。さぁ、開くのじゃ次元の間よ!」
‥‥‥‥‥‥何も起きない。ていうか?次元の間って何よ?
「‥‥‥‥焦らすのう。全く。スゥー、さぁ!私の役目は終わった!開くのじゃ!次元の間よ!!!」
シーン‥‥‥‥‥何も起こらない。何?ふざけてるのかしら?あの自称魔王様は。
「あの?魔王・エスフィールさん?」
カグヤが心配そうに自称魔王様に話しかける。
「な、な、な」
「な?」
「何故、次元の間が開かぬのだ?私の役目は終わったのではないのか?これではあちらの世界に帰れぬではないか」
貯めに貯めて、自称魔王様が慌て始めた。
「自称魔王様?大丈夫?」
「自称ではないは!脳筋剣姫!!私は活躍したのじゃ!早く、この世界から元の場所へ戻すのじゃ。姫君とやらよ!」
「あっちの世界?何言ってるのよ。魔王さん、世界は一つだけ。『アリーナ』の世界しか存在しないでしょ?」
「何?‥‥‥‥一つ聞くがこの大陸は何大陸なのじゃ?」
慌てていたと思った。自称魔王様は何故か、冷静になり。私に質問してくる。
「大陸ですか?‥‥‥ここはアルトネ大陸ですよ。魔王・エスフィールさん」
「アルトネ大陸?‥‥‥‥魔法をあまり発展させず。剣技に重きを置いた闘いを好むという剣の大陸に?この私は飛ばはれたのか?‥‥‥」
「自称魔王様‥‥‥ちゃん?」
「ふむ、アルトネ大陸なら西の大陸『エウロペ大陸』に通ずる航路もあるのかのう?」
「は、はい!ありますが‥‥‥‥その航路を使うには莫大なお金を支払わなくてはならなくてですね」
「特等渡航費というやつでしてね。魔王殿。有能な人材を他の大陸に取られない為の意地悪な処置なのですよ。しかも、支払い全て前払いが条件の鬼畜使用です」
いつの間にか復活したエドワード君がペラペラと話し始めた。
「‥‥‥‥それは困ったのう。『あやつ』がいつも、莫大なお金を所持しておったのはこういう『理不尽』に対抗する為だったのか。魔王領まで行ければ何とかなるのじゃが」
「魔王殿の様な優秀な魔法使いをこのアルトネ大陸が逃がすと思えませんな。ハハハ、これは困りましたな」
「寝てなさい!エドワード。フンッ!」
ゴギッ!
「ガオバァ!‥‥‥‥バタリッ!」
「自称魔王ちゃん」
私は魔王ちゃんに話しかける
「自称ではない!本物じゃあ、姫君とやら、それに私はユナ・エスフィールと言う名前がある」
「じゃあ、私にはカンナギ・レイカって名前があるわ。姫君じゃない!」
「‥‥‥‥では、お主をレイカと呼べばよいか?」
「うん!じゃあ、私はユナって呼ぶわね!宜しくね、ユナ」
「あぁ、宜しくたのむ。レイカ」
私達はそう言ってお互いの右手で握手を交わした。
『レイカの迷宮』最新部「祭壇」
「ふん、『生命の魔道書』は暗記した。ユグドラ!!お前も読むか?!!」
アマル君が突然、大声でエドワード君に聞いた。
「ぐおぉぉ、だ、大丈夫です。痛みはありません」
「‥‥‥‥よく聞こえなかったが、今、大丈夫って言ったか?‥‥‥‥よし!姫君!!これを『アルビオン』に食わせろ!!」
アマル君はそう言うと『生命の魔道書』を私の方へと勢い良く投げた。
「は?何よ?突然、本なんか投げて!!!」
私が叫んだ瞬間。
シューーーン!!
「グガ?ギャオオオオオ!!!!パクンッ!‥‥‥ゴクリッ!!!ゴオオオ!!‥‥‥シュン!」
「え?」
「食べた?」
「食べました~」
「嘘?」
剣状態の『アルビオン』がいきなり唸り声をあげたと思ったら飛んでくる『生命の魔道書』を飲み込み食べてしまったの。
‥‥‥‥あれ?この状況凄い不味いんじゃないかしら?
あれれ?




