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#9 冒険者ギルド加入試験二次受験票

土日はアルバイトの関係で投稿時間帯が不安定になる場合があります。

すみません。


 冒険者ギルド1階:冒険者ギルド加入試験一次受験者対応窓口―――――


 一次試験の内容はゴブリン10匹討伐すること。


 これの証明物となるゴブリンの両耳×10個を提出したわたしに受付嬢は無慈悲な一言を笑顔で告げた。



 「断固受け取り拒否させていただきます♪」


 「は?」



 思わず素で返してしまったわたしに受付嬢は懇切丁寧に説明してくれたよ。


 なんでもゴブリンの耳とか関係なく、小型~中型の魔物の耳は基本的に紐などを通して束ねて提出するのが習わしもといマナーらしい。


 これがただ単にマナー的な問題だったならば受付嬢は素直に受け取ったかもしれない。


 だけど今回わたしが持ってきたゴブリンの耳は全て瓶の中に収められている状態。付け加えるなら2日以上も瓶の中で放置されている状態。


 その状態で瓶を開けるとどうなるかなんて察しだよね。超臭う。現に瓶の中の耳の状態は若干腐敗し始めていたりする。おまけに内部が蒸れているのか曇ってるし。


 ただでさえゴブリンという種が不衛生だからね。更に発酵させると臭さに拍車が掛かることは必至だよね。


 つまり受付嬢が何が何でも拒否るのは当然であって、これは完全にわたしの落ち度としか言えないよ…。


 まぁそんな当たり前なことに思い至らなかったのは(ひとえ)に≪AAO≫での習慣が抜けきれていないからだと思う。


 ≪AAO≫版冒険者ギルドだとアイテムの納品は基本的にクエスト用に表示されるトレードウィンドウ経由なんだよね。


 だから討伐部位をどう運ぶかなんて碌に考えたこと無かったりする。そんなんだから討伐部位の管理も甘くなっちゃったんだと思うよ。


 ≪AAO≫の知識に引っ張られないように頑張るぞいって気合い入れて気をつけてたつもりなのに起こってしまったからね。


 どこかで本当に世界の常識調べて回らないと墓穴掘りそうで怖い。


 誰か常識教えてくれないかな………。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 『シーチナの素材屋』店内カウンター前―――――



 「で、ここに来たと?」


 「はい」


 「ここは情報屋ではないのじゃぞ?」


 「やだなぁ~冗談ですってば~」



 そこには呆れ顔でジトッと睨むシーチナさんとそれを宥めるわたしの姿があった。


 あ、当たり前だけどこの世界の一般常識を聞きに来たのは勿論冗談だよ?

 ここには別件で来たの。


 というのも早い話が金欠なんだよね。。。

 乗り合い馬車って一律500リディス掛かるのがウィスカル式。


 で、冒険者ギルドから北門まで乗り継ぎ3回で計1500リディス。遠征行く時と帰る時で往復したから合わせて3000リディス。そして街に再入場した際に入街税として1000リディス取られた。


 つまり残金1764リディスなりってことになる。


 普通の宿に素泊まりで1000リディスだと考えると今日中にお金稼がないと野宿するハメになるんだよね。


 さすがのわたしも非常時でもないのに野営なんて嫌だから事前に手を打つことにしたよ。こんな感じで―――――



 「ではでは本題に入りますね」


 「さっさと入れば良いものを……」



 そうボヤくシーチナさんを気にも留めず、わたしは懐からあるものを取り出して告げた。



 「これを買い取ってもらえますか?」


 「ほお、これまた珍しいものを出したもんじゃな」



 取り出したのは『木』と『水』の属性が宿った複属性の魔晶石。属性つけば単属性でも割と高値で取引されるのはフォートレ市場でリサーチ済みだからね。


 大体、拳サイズの【水魔晶石】で50000リディス前後。


 それで今回、わたしが渡した魔晶石も同じく拳大。ただし属性は二つ付き。わたしの勝手な予想だと25万リディスは行くんじゃないかな。


 ぶっちゃけ勘で言ってみたけどわたしの勘は五分五分で当たるんだよね。



 「そうじゃな。30万リディスってところじゃのぅ」



 ね、当たったでしょ?

 四捨五入すればニアピンでセーフだから異議申し立ては受け付けないよ?

 でも思ったよりも高かったからその理由を聞いてみた。



 「そうじゃのぅ。その大きさで二属性なら大体そんなもんじゃろ」



 理由も何も大体そういうものらしい。



 「どこで手に入れたかは聞くつもりもないが精々墓穴を掘らぬよう気をつけることじゃな」


 「え?」


 「わしを甘く見るでないわい」


 「な、何のことですか?」



 どうやらシーチナさんにはわたしが錬金術で造ったことがバレてたらしい。

 なんで判ったんだろうね?

 ホント不思議。


 本人に聞いても呆れたと言わんばかりに首を左右に振るうだけで答えてはくれなかった。


 【水木魔晶石】と引き換えに30万リディスを受け取ったわたしは宿屋にたどり着くまでの間、そのことが気掛かりで仕方がなかった――――――


 ちなみに試験は受かったよ?

 耳を洗浄魔法と乾燥魔法で加工して提出した感じ。

 そしたら『冒険者ギルド加入試験二次受験票』もらえたよ。


 そして最後の試験は二日後らしい――――――

お読み下さりありがとうございます!

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