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ミラクルヘブンの歌

 王都近郊の地下墓地内。


 天井高が3メートルはありそうなので、息苦しさは感じられない。

 その通路を進む3人と1匹の影が石壁に映し出される。


 ラキアの説明のとおり、墓地内には魔法で灯されたランプが点在しているため、松明が無くても充分明るい。通路も碁盤目状に走っているため、どの位置にいるのかは解りにくいが出口を見失うことはないだろう。

 周辺ではさっそく他のクエスト参加者たちが除霊スキルや魔法を駆使している。その度に散って消える青い靄のようなものが問題の「霊気」らしい。


 一行の先頭をピョコピョコ進むのは、バケモンの「デンチュー」。

 続いて皮鎧を着込んだギンガと巫女装束のルイ。最後尾にエプロンドレスのハルミが付いてくる。

 地下墓地内にモンスターは出ないと散々聞かされてはいるのだが・・・。


「万が一があるといけない。 防具を着ている俺が前衛として先に行く」


 失ったポイントを少しでも取り返すため、ギンガがそのように主張したのだった。

 実は彼の着込む皮鎧。餞別代りに城で支給されたものだが、ユニーク装備であるルイの巫女装束はもとより、錬金術によって強化され尽したハルミのエプロンドレスよりも大幅に防御力の劣る代物なのだが。

 しかしここは男の面子がかかっている。安全だとわかる今だからこそ先頭に立ち男らしさを誇示して、汚名を返上しなければならない。

 彼の言う「男の面子」とはその程度のものであった。

 ちなみに腰に下げていたはずのショートソードは外に置いてきている。先ほど彼を襲った強烈な電撃攻撃。そのときショートソードが避雷針として身代わりになってくれたのだが、刀身はともかく革製鞘のベルトが焼き切れてしまった。流石に抜き身で持ち歩くのは危険だと涙を飲んだ判断だ。その8割がたは、避雷針ネタはちゃんとした見せ場で使いたかったという無念の涙であった。


 ギンガの後ろ、いやすでに隣に並んで歩くルイは、当初不機嫌だったもののデンチューの愛くるしさにすぐやられてしまったようだ。前を行く黄色い背中と揺れる尻尾。時折こちらを振り返るドングリ眼に夢中で、満面の笑みでその後をノコノコ付いていく。これではどちらが使役者かわかったものではない。


「それじゃあこのへんから掃除を始めちゃいましょう」


 ハルミが最後尾からパーティを呼び止める。

 場所は地下墓地北側大通りの中央付近。周りには他の参加者はまだ来ていない。


「働きに応じて特別手当が出るんだから、バンバン掃除しましょう」


「・・・・わかった」


 そう言うとハルミは祈る様に両手を組み、呪文だか祝詞だかよくわからない言葉を唱え始める。


「アノクタラサンミャクサンボダイ!! えい!!」


 唱え終わると同時に、指を指したその方向の霊気がパッと飛び散り消滅する。

 ハルミ曰く一番簡単な除霊スキルの発動キーらしいが、その反面効果もお察しとのこと。まさか実際に使う日が来るとは思っていなかったようで、道具の仲介無しで繰り出せる除霊スキルとしてはこれ以外の強力なものは覚えていないそうだ。


「・・・デンチュー、・・・でんしょっく」


「キラァ!!」


 一方のルイ・デンチューコンビも行動を開始する。

 使役者の命令によってデンチューが放った弱い電撃は空中を稲妻となって走り、その経路上の霊気を消滅させた。最初はおっかなびっくりのルイだったが、ある程度コツをつかんだのか、デンチューの余力を伺いながらも痛快に電撃を飛ばし続ける。

 こうして女性陣2人が互いに背を向け霊気を払いながら、地下墓地の奥へと少しずつ進んでいく作戦は、もちろん少しでも特別報酬を稼ごうとするハルミの立案である。


 地下墓地を舞台に、方や退魔スキル、方や電撃放射の弾幕を張りながら進んでいく2人組。一風変わったSFガンシューティングゲームにも見える光景に見とれながらも、ギンガは自分のやるべき仕事を思い出し行動に出る。彼が背嚢から引っ張り出し右手に構えるのは、除霊の祝福を受けたデッキブラシとハタキ。家にあった掃除道具にハルミが聖属性のエンチャントを施したものだ。そして左手にはこれまた市販品をハルミが調合した特性除霊洗剤を握る。

 この神器を以て先を進む2人が撃ち漏らしたり、または消しきれなかったしつこい霊気を処理して回るのが彼の今回の仕事であった。


 ガシガシガシと懸命に床を擦る。

 冒険者とは思えぬ、なんとも冴えない仕事。しかし人それぞれ、なにが幸せかは解らないものだ。一見はずれ役に見えるこの役割だが、今までが採取クエストか調査クエストだっただけに、彼はまかりなりにも討伐クエストに分類されるこの仕事が楽しくなっていた。


「そこだ! 俺の目からは逃れられんぞ!」

「なんて強力なこびりつきだ! くらえ!洗剤2倍掛けだ!!」


 結局、一番高いテンションで掃除に取り組むギンガであった。


 こうしてSFガンシューティング+ピクロスのようなパーティは、地下墓地を少しずつ進んだ。2時間過ぎたところで一旦地上での休憩をはさみ、再開地点からしばらく進むと、ようやく行き止まりに辿り着く。見えてきた壁が、この地下墓地の最奥のようだ。


「ここが一番奥ね」


「思ったより早く辿り着いたな」


「ここを綺麗にしたら、壁に沿って南側大通りまで出て、そこから引き返すわよ」


「・・・わかった」


 簡単な打ち合わせを終わると、3人は再度除霊を開始する。

 スイカの中心部分だけをえぐり取るようなえげつないルートを何の迷いも無く選択するあたり、立案者の貪欲さが嫌でもうかがえる。しかしスキル全般の使用に習熟したハルミと、湧き出す無尽蔵のエネルギーをデンチューに送り続けるルイ。この2人の活躍は目覚ましく、当初の予定を大きく上回る勢いで除霊が進んでいるのも事実だ。

 なおギンガも頑張ってはいるのだが、その功績の割合は、5対4対1。誰がどれとは言わぬが情けであるが、疲労度に置き換えると正反対になるのだから尚も世の中は残酷である。



「ねえちょっと。 あれ何かしら?」


 何かを見つけたハルミがパーティを呼び止めたのは、南側大通りを左折ししばらく進んだころ。

 指を指すのは先ほど通って来た北側大通りの方向だ。俯瞰図で見ると長方形の地下墓地のちょうど中央付近だと言える。

 いまだ空気中に多く漂う霊気に目を凝らせば、その靄の向こうに球状の何かが浮かんでいるのが見えた。

 ギンガの脳裏にダンジョンなどでお馴染みのレアアイテムではないかという考えが一瞬浮かぶが、すぐに否定する。この地下墓地は普段なら日に2回は神官が除霊に訪れ、墓守もいるらしい。休日には墓参りの訪問者もやってくるような場所に、未発見のレアアイテムが転がっているはずがない。


「なんだありゃ? 照明じゃないよな。 霊気の結晶とか?」


「霊気が結晶化するなんて聞いたことないわね」


 それは黒い光の球。

 闇の光球。

 魔力の塊。


 彼らは知る由もないが、いつぞや王都に迫った黒龍が空腹紛れに呑み込んだ、いつぞやの森の毒キノコを増殖させた、さらに遡れば長い眠りにつきつつあった飛竜を誘い出したものと同質のものである。先ほど北側通りを通った時には無かったはずのその黒い光球は、突然現れたかのようにその場に浮いていた。


「ちょっと除霊で払ってみるわね。 アノクタラサンミャクサンボダイ!! えい!!」


「おい、ちょっと待て! ああいうものに迂闊に手を出すと・・・」


 バスン!!

 ギンガが慌てて止めるが遅かった。

 ハルミの除霊スキルを食らうや否や、今まで眠っていたものが目覚めたかのように光球は一層光を増し、空気を轟かせながら周囲の霊気を急激に吸い込み始めるのだった。


 ゴゴゴゴゴゴゴ!!


 同時に地下墓地全体が、いやそれがある丘陵自体が揺れているのかもしれない。地鳴りのような音を響かせ、天井の石材の隙間から砂や小石が降り注ぎ始めた。


「言わんこっちゃない! 下手したらここが崩れるぞ!?」


「ルイちゃん走って。 急いでここを出るのよ」


 鉱石拾いの山崩れに公民館崩落。

 ものが崩れてくることには不本意ながら耐性の付いていた3人は周囲の異様にとっさの判断を下し、荷物を放り出して出入り口へと走り出す。

 途中、足の遅いルイを背負うべきかと後ろを振り返ろうとしたギンガの横を、高速の飛翔体がその背に紅白少女を乗せて追い越していった。

 その正体は「バケモンジェット」。「バケモン」のあまりの人気の高さに某航空会社がタイアップとして作り出した、デンチューをモチーフに塗装された特別旅客機である。あれが日本の顔として世界中を飛び回っていたことをギンガは思いだした。


「ルイ~、どうせなら俺も乗せていってくれよ~」


 現在パーティで残存体力が最も少なく、装備の最も重い彼のぼやきは、地鳴りとジェットエンジンの轟音に揉まれてかき消された。


 数分後、なんとか地上へ生還を果たす。

 途中、墓地内に残っていた他の参加者に声をかけたこともあり、墓地内に残るものはいなくなった。休む間もなく震え続ける丘陵から駆け下り、離れて様子をうかがう避難者たちの前で、とうとう地下墓地は高い土煙を巻き上げながら丘陵ごと崩壊するのだった。


「あ、あぶなかったああ」


「間一髪だったなあ・・・」


 ヘナヘナと地べたに腰を下ろすハルミ。ギンガと他の参加者も同様である。

 唯一、空中遊泳が気に入ったらしいルイを乗せ、昼前の青空をバケモンジェットが呑気にクルクルと旋回飛行を続けていた。


「ハルミさん! 中で一体何があったのですか?」


「いや、わたしにも何が何だかさっぱり」


 地上で待機していたため地下墓地内で何が起きたのか知らないラキアが、へたり込んでいるハルミに詰め寄る。しかしなんとも答えようがない。各種鑑定スキルを持った彼女ですら、崩落の原因と思われるあの黒い光球がなんなのか鑑定出来なかったのだ。だからといって除霊スキルを撃ち込んでみるのも常識外れなのだが。


「・・・ハル姉! ・・・・あれ!!」


 どう説明したものかと言いよどむところに、上空からルイの声が届く。

 ハルミと、釣られてギンガ、ラキアが目を向けたのは、先ほどまで丘陵があった場所。

 ようやく収まり始めた土煙を縫って巨大な影が揺らめく。

 そこには全長30メートルに及ぶ災害級アンデッドモンスター、ジャイアントスケルトンの上半身が陣取っていたであった。


「おいおいおい、ちょっとまてよ」


「またこのパターン!? いい加減にしてよ!!」


 見上げるその大きさに驚愕する。

 ここ数週間で何度目かの巨大な影に、彼らが思わず毒付くのも仕方のないことか。

 一方、本職の神官であるラキアの行動は素早かった。依頼受注者のなかで元気なものを数名、すぐさま王都への報告と応援要請に走らせる。本当は謎の力で上空を飛ぶ巫女少女に頼みたいところだが、彼女が情報の伝達に全く向いていないことも把握しているため諦めた。続いて残りの受注者に数名でパーティを組ませると、互いにカバーしながら退却するように指示を出す。

 幸いにもその間、Gスケルトンに大きな動きはなかった。どうやら下半身は地下墓地と、その下に掘られていた王宮用の隠し通路を踏む抜いて、はまり込んでいるらしい。

 行動を起こす前に食い止めるなら、今しかない。


「照身霊破光!!」


 彼女が手に持つ聖者の杖から、上位の退魔スキルが放たれた。

 ”ホーリーレイ”と読むらしい光線はGスケルトンの鎖骨に命中し、これを消滅させる。しかしアンデッド故か、ダメージを与えた様子はない。それどころかその特性上、時間がたつと鎖骨が再生されることも考えられる。


「やっかいなことになりましたね・・・」


「私も手伝うわ。 いっけえ、邪気玉砕!」


 思わぬ難敵の出現。募る焦燥にラキアは整った顔を歪ませる。

 そこにハルミが駆け寄ると、道具袋から取り出した球体をGスケルトンに投げつけた。

 聖属性をエンチャントしたガラス球を併用することで使用が可能になる中級退魔スキルの1つである。

 勢いをつけ飛んでいったホーリーオーブは、地面に突いていたGスケルトンの左手小指に命中するとこれを粉砕する。相変わらずダメージを受けた様子は見えないものの、巨大な身体を支えていた手の一部を失ったことでバランスを崩したのだろう。グシャンと盛大な音を立てて、頭蓋骨から地面につんのめった。


「相変わらず、えげつないところを狙いますね。 あなたは逃げないんですか?」


「仮にも師匠を見捨てるわけないじゃない」


 そうやってニカッと笑う不詳の弟子。

大変いい笑顔だが、その裏の狙いが、先ほど使って見せた上位スキルであることは当然ラキアも見抜いていた。


「それに私の頼もしいパーティが手を貸してくれるって」


 ハルミが視線を送る先には、ギンガとルイの姿があった。

 なんだかんだでそれなりの局面をくぐって来た自慢のパーティの姿が。


「ルイ、我儘言うな。 別の歌を歌うぞ」


「・・・・いや」


「キラァ!キラァ!」


 これで言い争いでもしていなければ、実にさまになるのだろうが。

 懸命に説得を試みるギンガと、俯いて反抗の意を示すルイ。その腕の中にはジェットモードを解除したらしいデンチューが抱かれている。Gスケルトン出現の事態に、新たな歌を歌おうとするギンガと、そうなるとデンチューが消えてしまうであろうことに反対するルイの言い争いのようだ。


「だから、デンチューはまた出してやるから」


「・・・だめ」


「それともデンチューにあんなデカブツの相手をさせるのか?」


「・・・・・・うう」


「安心しろ。 次の歌も似たようなもんだ。 デンチューの仲間っつうか、先祖が出て来るぞ」


「・・・・・わかった。・・・・・ばいばい」


「キラァ!キラァ!」


 ようやく納得したルイが、デンチューから手を離す。

 涙をこらえながら手を振ると、デンチューは返事とばかりに尻尾を3回振って、光の粒と化した。


「急げルイ。 次の歌だ!」


「・・・・うん!」


 ギンガが歌うのは、「めざせ! バケモンマスター」を思いつく切っ掛けとなった曲。

 そして『化けっとモンスター』というゲーム案の元ネタともなったある特撮ヒーローの主題歌だ。



 ヘブン! ヘブン! ヘブン! ヘブン! 

 ヘブンヘブンヘブン! ヘブンヘブンヘブン!

 遥かな星からやってきた ミラクルヘブン ヒーローヘブン

 ミラクルヘブン ヘブン ヘブン

 火を吐く怪獣 やっつけろ 

 ミラクルビームだ スラッシュ!



『ミラクルヘブン』。

 日本が誇る特撮ヒーローの金字塔『ミラクル』シリーズの第2作目に当たる特撮番組だ。

 名作と誉れ高い前作『ミラクルマン』。その多様性に富むストーリーの1つに、侵略する側とそれを阻止する側の戦いがある。そこにスポットを当て、より掘り下げるように作られた『ミラクルヘブン』は、重厚なストーリーとテーマが受けて前作を凌ぐほどの人気を見せた。いまだ最も思い出深いヒーローとして本作を挙げる中高年は多い。

 ギンガにしてみれば随分古い作品なのだが、主人公がヘブンの息子という設定の新シリーズが平成の世に放送され、これを見た。次いでヘブン自体もリメイクされることを知った彼は、予習と題して旧作の視聴を一気に済ませたという経緯がある。


 一方、最初は独特の力強いリズムに戸惑うも、ルイは歌に併せてクルクルと舞い踊った。

 やがて小さな身体にひしひしと湧いてくるのは、とても大きな存在感。その力は『バケモン』に勝るとも劣らないものであった。


「ルイさん・・・・、あの、飛び跳ねて頂きたいのですが・・・いかがなものでしょう」


「・・・・・・うう」


 前回の失敗からギンガは恐る恐るルイのご機嫌を伺う。

 対するルイも次に何が起こるであろうことは薄々気付いている。顔を赤らめ、いつも以上のか細い声で呻くと、今朝と同じくピョコンピョコンと飛び跳ねた。


 コロコロ・・・


 今回も緋袴の中から転がり出してきたのは2つ。スティック状の物体とアンプル状の物体。2つとも名目上はカプセルである。

 その形状に思わずアダルトなグッズを連想するものの、それを口に出せるほどの勇気など持ち合わせていない。仮に口に出したとしても、さすがにこの異世界の住人には伝わらないだろうが。


「そのスティックは袂にしまっとけ。 その瓶の方を遠くに投げてみろ」


「・・・・・わかった」


 ルイは肯くとスティック状のものをいそいそと袂にしまい、続いて拾ったアンプル瓶を放り投げた。

 ゼニ投げスキルの習得が影響したのか、幸いにしてアンプル瓶は明後日の方向にはいかず、Gスケルトンが陣取る丘陵目がけて飛んでいく。

 そしてそれは空中で2度、3度と強烈なフラッシュを瞬かせると、中に封印されていたものをこの異世界に解き放つのであった。


 このアンプル瓶の正体は「カプセルモンスター」。

 その中には怪獣が収められており、主人公クラヤミ・ダンが何らかの事情でミラクルヘブンに変身できない時などに代役や時間稼ぎとして使役されるアイテムである。

 本来敵であるはずの怪獣が味方となって戦うこの設定は、当時子供たちに大ウケし、作品では大して重要な設定ではないにも関わらず強烈な印象を与えた。『バケモン』のゲーム発案者がこれにインスピレーションを受けたというのは、公言してはばからない事実だ。


 そのカプセルモンスターの輝きを見ながら、ルイは内心ワクワクしていた。

 確かにデンチューとの別れは悲しい。そしてすぐさま別のモンスターを代わりのように呼び出す行為も、後ろめたくないと言えばウソになる。

 それでも期待せざるを得ない。

 どんな可愛い、または格好いいモンスターが出てくるのだろう。

 デンチューは友達になってくれた。

 次の子も友達になってくれるだろうか。

 そんな大きな期待が、その小さな胸にあふれて仕方がないのだ。


 昔の偉い博士は言った。

 仲間の数は ぜったい やっぱり ごっそり どっさり 多いほうがいいのだと。



 やがて光が収まり、ルイの期待を一身に背負って現れたのは・・・。

 黄色いもふもふの毛並み・・・ではなく、黄ばんだ白い地肌にぬめぬめの粘液。

 長くはあるが日本刀のようなシャープさは無く、ズリズリと大蛇のように地面を這いずる尻尾。

 黒模様は稲妻などではなく、ガラスのヒビのような不吉さを呈しながら全身を隈なく走り・・・。

 クリッとしたドングリ眼が付くべき場所からは、黒く不気味な角が生え、しかもアンテナのようにクリクリと回転している。なお目に該当する部位はどこにも見当たらない。

 そしてウサギどころかシロナガスクジラに匹敵する30メートルの巨体。


 かくしてカプセルモンスター「宇宙怪獣デンキング」は、ルイの期待を粉砕しながら現れた。


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