ビケの過去 前編
2022年8月5日
?「誰だよ!!お前!!」
一人の男の子が、偽界に招かれていた。その男の子の前に、立っていたのは…
ビケ(うるさいなぁ)
ビケだった。ビケは、ゆっくりと男の子に近づく。男の子は、焦りながらビケから逃げる。
ビケ(はぁ…めんどくさいなぁ。僕は何をすればいいんだ)
その時、ビケは上の方を見上げる。
ビケ(誰か、入ってきた?)
その時、誰かがビケの目の前に落ちてきた。ビケは、反射的にそいつを殴ろうとした。しかし、あっさり止められた。
?「おっと、いい拳だな」
すると、そいつはビケの手を掴み、振り回す。
そして、ビケの目が回ったところで、ビケの動きを封じるために足をかけ、転ばした。
ビケ「っ!!」
ビケはそのまま、なすすべがなく、ただグダーっと倒れた。
?「お?お前は抵抗しないのか?」
ビケ「テイコウ?そんなめんどくさい事、する訳ない」
?「そうか!!」
すると、そいつはビケに向かって手を差し出す。
瓶縫医「俺は瓶縫医!!よろしくな!!」
ビケ(…よろしく??)
瓶縫医「いや〜、こんな大人しい偽は初めてだ!」
ビケは、瓶縫医の手を取る。
瓶縫医「あ!そこの男の子もちょっと来て!」
男の子「…ヤダ」
男の子は、そのまま階段を降りていってしまった。
瓶縫医「そうか…あ!お前、俺の言葉、分かるか?」
ビケは、ゆっくりと頷く。
瓶縫医「お前名前は…無いか。じゃあ、俺がつけてやろう」
瓶縫医は、じっと考える。そして、閃いた様に言った。
瓶縫医「そうだ!お前、顔がいいから、美形とちなんで、《ビケ》だ!!」
ビケは、少し嫌そうな表情をしながら、ゆっくり頷いた。
ビケ(なんちゅう付け方だよ。子供が居たらどんな名前をつけるんだろうか…)
瓶縫医「じゃあ早速ビケ!ここから出られるか?」
ビケは、周りを見渡す。そして、首を横に振った。
瓶縫医「そうか…お前が外に出れれば…色々助かるんだけどな…」
ビケ「…それなら、これ」
偽界の外、東京 真の本部前
瓶縫医「それじゃ、これからよろしくな!ビケ!!」
ビケ「うん。」
ビケと瓶縫医は、握手した。
瓶縫医「ここは《真》という組織の本部だ。」
ビケ「真…偽と真反対だ」
瓶縫医「そうだな。真は、偽を倒すための組織だ」
ビケ「じゃあ、何で俺が?」
瓶縫医「まず、らいぞ…ボスに会ってもらおう」
瓶縫医が先導し、ビケは施設の中をキョロキョロ見ながら、瓶縫医についていく。そして、2階の一つの扉の前で、瓶縫医は止まった。
瓶縫医「ここだ。」
瓶縫医は、ドアを3回ノックし、部屋に入る。
瓶縫医「入るぞ、雷蔵」
ボス(雷蔵)「もう入っているじゃないか…」
真のボス「永瀬 雷蔵」。
瓶縫医「ビケ、この人が雷蔵、真のボスだ」
ビケ「よ、よろしくお願いします…」
すると、雷蔵が立ち上がる。そして、ビケに近づいて、ビケを睨む様に言う。
雷蔵「お前が偽という事は、瓶縫医から聞いている。お前は、最強の偽と言うのを知っているか?」
ビケ「?」
ビケは、首を傾げる。
雷蔵「言葉で答えろ。」
ビケ「知らない。初耳だ」
すると、雷蔵は席に戻り、また座る。
雷蔵「瓶縫医、後で説明してやれ。ビケを真に認定する。」
瓶縫医「おっけー」
そして、瓶縫医とビケは、部屋から出る。ビケは、「何だったんだ?」と思いながら、瓶縫医について行った。
瓶縫医「さて、これからビケは俺らの味方だ。そして、俺ら真は、ビケの味方だ」
ビケ「味方って?」
瓶縫医「う〜ん…信頼できる人?かな。さて、今から色々説明しないとな。」
それから、ビケは瓶縫医から最強の偽についてや、自分の事、偽の詳しい事を聞かされた。
ビケ「じゃあ、俺の役目は最強の偽のスパイって事?」
瓶縫医「そうだな。最近、真の隊員が最強の偽に殺された。一人のではない。何十人も…」
瓶縫医は、辛い顔をして、うつむく。
ビケ「じゃ、俺がそいつらのスパイになる事で、能力の弱点などを聞き出したり、最強の偽の目的を聞けばいいんだな」
瓶縫医「そうだ。今の最強の偽は4体だ。で、今からは特訓だ」
ビケ「…え?」
瓶縫医「ビケも、最強の偽と戦うかも知れない。本当は、お前みたいに、共存できれば良いが…そう上手くはいかない様だ。だから、倒すしかない」
ビケ「そっか。じゃあ、特訓…どんな事をするんだ?」
瓶縫医「まず、嘘をコントロールする力をつけるぞ」
数日後
雷蔵は、ビケを部屋に呼び出す。
ビケ「何ですか?」
瓶縫医「これを、お前に渡す」
雷蔵は椅子から立ち上がり、ビケに手渡す。
ビケ「この白いコインは?」
雷蔵「真実を固めたもの、《ライトコイン》だ。真はこれを噛み砕き、真実を補給して操るのだが、お前の場合は嘘を操る。で、瓶縫医から聞くには、お前は強すぎるらしい。だから、本気を出す時は、これを噛み砕き、嘘を弱体化させろ」
ビケ「なるほどね。万が一、やばそうな時は?」
雷蔵「噛み砕かなくていい。使うかどうかは、お前に任せる。だが、お前が本気を出すと、周りの連中も巻き込む危険性があるらしいから、気をつけろ」
ビケ「分かった。」
それから一ヶ月後、ビケは、瓶縫医と共に東京の街で最強の偽を探していた。
夜 東京駅前
ビケ「こんな人がいる中、分かるの?」
瓶縫医「最強の偽からは、異様なほど嘘が漏れてる。これは加減はできないらしいからな。」
その時、ビケはハッとして、東京駅の前に立って、スマホを見ている人を指差す。
ビケ「あいつか」
瓶縫医「よし。俺は近づくとバレる。ビケは近づいて、何とか仲間に入れてもらえ」
ビケ「分かった」
ビケは、人混みを透き通るかの様に歩き、そのスマホを見る男の前に立つ。
ビケ「どうも」
?「!?」
その男は、驚いてスマホを落としかける。それをビケがキャッチする。
ビケ「最強の偽、だよね?仲間に入れてくれない?」
?「誰だよお前。お前、最強の偽ほど強いのか?」
その男は、子供を見るかの様な余裕そうな顔で言った。
ビケ「へ〜」
その時、その男は自分が身動きが取れないことに気がつく。
ビケ「俺の能力はコピー。俺自身のコピーを作り、透明になるよう編集して、お前を抑えてもらっている。油断したでしょ」
?「っ…分かった。リーダーの元に連れていく。俺は《フィン》」
ビケ「俺はビケだ。これからよろしくかもな」
そして、ビケは港のコンテナ裏に連れて来られた。
フィン「リーダー!ちょっといいっすか?」
リーダー「何だフィン…」
その時、リーダーは驚いた顔をして、呆然とした。
フィン「リーダー?」
リーダー「おっと。すまんな。で、何だ、後ろの奴は」
リーダーは、ビケを見ながらそう言った。
フィン「こいつ、俺らの仲間になりたいそうですよ」
リーダーは、ゆっくりとビケに近づく。
リーダー「なぜ、仲間になりたいと」
ビケ「俺は人に恨みを持ってんだよ。でも、無差別に殺すのは気が引ける。お前らは、目的があるんだろ?それなら、心置きなく殺せる」
ビケの言葉に、嘘はない。いや、操って、真実の様に見せているのだ。
リーダーは、じっとビケを見る。
リーダー「俺の名は《ゴロソウジャ》。目的を教えてやろう」
すると、ゴロソウジャは、近くにあった小さなコンテナに飛び乗った。視線は、東京の方を向いている。
ゴロソウジャ「最凶の偽の解放。それが我々の目的だ。だから、邪魔な人間は殺している」
ビケ(最凶の偽の解放…瓶縫医から聞いたけど、最凶の偽はまずいらしいな。でも、余計に何でだ?最凶の偽を解放して、何のメリットが…)
ビケ「最凶の偽って、誰だ?」
フィン「マジかよ!?知らねえの??」
ゴロソウジャ「最凶の偽は、神の偽じゃ。俺は、最凶の偽様の弟子みたいな存在だったんだ。だから、解放させたい。」
ビケ「そうか。解放したら、どうする?」
ゴロソウジャ「最凶の偽様次第だ。安心しろ。最凶の偽様次第では、お前ら《真》にも手を出さない」
その瞬間、フィンがビケの頭を掴もうとする。
ビケはしゃがんで避けるが、ふとコンテナの上に立っているゴロソウジャが、手をこっちに向けている事に気がつく。
ゴロソウジャ「《嘘風斬》」
ビケに向かって、竜巻の様に回転する嘘が飛んでくる。ビケは、焦って動けない。
ビケ「っ、、」
その時、フィンが反射的に後ろを振り返る。そこには、誰も居ない。視線を前に向けると、ビケもいなかった。
フィン「は??」
ビケ「…」
ビケは唖然としていた。いつの間にか、遠くのコンテナの後ろに居たのだ。そこは、ゴロソウジャとフィンの死角だった。
一週間前
ビケ「はぁ…」
今日の特訓を終え、ビケはフラフラと真本部の廊下を歩いていた。すると、丁度雷蔵と出会った。
雷蔵「疲れたか。」
ビケ「瓶縫医の特訓、スパルタです…」
すると、雷蔵は笑い始める。
雷蔵「ハッハッハ。あいつ、加減を知らないな」
ビケ「?」
雷蔵「お前にとってのキツイ特訓は、瓶縫医にとっては朝飯前なんだ。何故なら、瓶縫医は真最強の男だからな」
現在に戻り、フィンの視界には、堂々と立つ男が居る。ゴロソウジャもフィンの隣に降り、言った。
ゴロソウジャ「フィン。あいつは誰だ」
フィン「知らねえっすよ」
フィンは、冷や汗をかく。
堂々と立っていたのは、瓶縫医だった。
瓶縫医「さて、目的も聞けたからな。これ以上、仲間を殺されるわけにはいかない」
瓶縫医がポケットから、白いコインを取り出す。ライトコインだ。
瓶縫医は、ライトコインを噛み砕いた…
「バキッ」
次回予告
瓶縫医「さて、ビケ。あいつらを倒すぞ」
ついにビケと瓶縫医の反撃が始まる。
ビケ「《嘘拳》!!」
瓶縫医「真羅万象 《鮫》」
しかし、
ゴロソウジャ「油断は禁物だ」
真最強VS最強の偽リーダー 決着
ビケ「俺が…死なせねえ……」
「偽」第5話へ続く




