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諸君!これがプロである!!~ゲーム実況者の日常~  作者: 椋木美都
中学一年生編

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 第56話『ソロマッチ開始!』

「――さぁ、ただ今マッチ2の結果が出ました」


現在、第1マッチのポイントを合わせた総合順位は――


一位 ユニオンストリームNチーム 24pt

二位 QH-Jチーム         23pt

三位 QH-Sチーム         21pt

四位 これプロチーム       20pt

五位 ストロニアンサイト     19pt


――という結果だった。


「改めてご覧になって……イッサちゃんどうでした?」


「はい。ユニオンストリームNチームがQH-Jチームを押し切れた一番のポイントは、やっぱり最後のクロスファイアですね。あれが綺麗にブッ刺さってました。もちろん個々の撃ち合いの強さもあるんですけど……試合中盤、ジェノ選手がホット選手と撃ち合った直後をハビコ選手が見逃さずに落とし切った場面。あそこが流れを大きく変えたと思います」


「なるほど、あの意図しない連携が決定打でしたか。とはいえQH-Jチームも粘りましたよね。見ている限りでも、少なくとも二度は漁夫を返していました」


「えぇ本当に。あれ二回凌いでる時点で相当神がかってますよ。普通ならあそこで崩れてもおかしくないですからね。本当お見事でした」


「……足りない」


テディは配信に実況の声を乗せ、不満気に呟く。


「もっと掘り下げてよ!ホットがリーニュプラット(アサルトライフル)から僕のエネルギー(スナイパー)ライフルに持ち替えただけでも人並外れた判断だったのに、一か八かの狙撃がジェノさんの頭に当たったんだよ!スーパーミラクルショットでショート動画待った無しだよ!」


「テエィ、テディやめて……噛むぐらい恥ずいから」


第2マッチはホットの躍進が実を結び、九位想定を一つ上回る八位という形でしぶとさを見せつけた。


「気を取り直して……次のソロバトルロイヤルなんだけど、そこだけ二人共録画して」


「「えっ」」


二人はサブモニターに録画ソフトを立ち上げ、すぐさま録画を始める。コメント欄も『録画嬉しい』『今聞かされたの?』『事前に言ったれよ』『ノー編集でいいから早く二人のプレイ見たい』など、二人の個人実況を楽しみにする書き込みが次々と流れていた。


「テディだけ視聴者いるのずるっ!」


「だから配信前に聞いたじゃん。『今日僕視点でいい?』って」


「聞いたけど聞いてねぇ!」


――大会中にぼっち実況やれ……るか……?


「万が一、万が一だよ?結果が振るわなかったり、集中して無言が続いちゃったりとかだったら……」


「その時はシェン入れた四人でオーディオコメンタリー動画にしよう」


「ずっとテディの悪口言ってもいいか?」


「いいよ来なよ」


胸に不平と焦りを残したまま、ホットとタンドリーは個人戦の準備へと動き出す。配信中のテディは視聴者しか聞いていない場で――


「さぁさぁ諸君!殺戮のお時間がやってまいりました」


――八重歯を剥き出しにし、いつもの笑顔とはまるで違う獰猛な笑みを浮かべた。


☆彡


これより各チームは三つのグループに分かれ、十五人によるソロバトルロイヤルを行う。


順位ポイントはトリオバトルと同様の方式を採用する。


1位:10pt、2位:8pt、3位:6pt、4位:5pt、5位:4pt、6~7位:3pt、8~10位:2pt、11~15位:1pt。


キルポイントは1キルにつき2ポイント。


またソロマッチで得たポイントはチームメンバー三名の獲得ポイントを平均し、その数値をチームの最終獲得ポイントとして集計する。


端数は切り上げとし、最終ポイントの上限は15ポイントとする。


ソロバトルロイヤルグループ①では『QH-S』さがん、『QH-J』ユケ、『こせゆ隊』りょくおー、『これプロ』ホット、『ストロニアンサイト』オルトス、『ユニオンストリームU』万世かくり、『らむらすランチ』けや、『ロクラメン』えんり――そして各チームの選手たちが名を連ねていた。


「――さぁ!ではソロバトルロイヤルグループ①、見ていきましょう!マップはセーブルアイソレートです」


各プレイヤーがランダムに指定地点へ降下し、ホットは四階建てビルの屋上に着地する。


「ソロマッチ……緊張すんなー」


「はーマジで死にたくねー」


最も近い位置にはりょくおーがいるが、まだ動く気配はない。接敵はしばらく先になりそうだった。


「さて、マップの左側――火山地帯エリアにプレイヤーがやや集まっているようです」


「ソロは一瞬の油断で終わりますからね。ポジション取りと判断の速さがそのまま結果に出ます。もちろん、積極的に攻めるのも大事なんですけどね?ソロマッチだと、逃げるという判断も重要になってきます」


周囲の緊張とは裏腹に、さがんは鼻歌交じりでスナイパーライフルへ八倍スコープを装着する。


「……おっ!来てます来てます。俺の時代が……」


『バシュウン!』


「――えっ?」


「来たぁ!」


『声優ゲーマー』チーム、作沼鑑(さくぬまかがみ)が建物のドアを開けた瞬間――さがんはその隙間を正確に狙い、彼の脳天を撃ち抜いた。


「抜いたー!グループ①初キルはさがんが取った!やはりこの男!」


「ドアの隙間ですよ今!?しかも作沼選手が体を出す前に……えぐ」


「弾速落下が激しいグランザルク(スナイパーライフル)ですが、さがんが構えればその不利すら感じさせません」


ファーストキル発生の報告を受け、ホットは緩みかけていた気を引き締める。


――危ね。一番強いアーマー見つけたからって油断してた……。


「でも序盤で赤アーマー引けたのデカいんじゃない?まだ誰もいないよな……あーでも山賊()に見つかったら剥ぎ取られっかも……」


万全の準備を終えたホットが、何気なく二倍スコープを付けたアサルトライフルを覗き込む。すると――照準の中心に白髪の女性の姿が映り込んだ。


「…」


『ドドドドド――フィーン』


彼は考えるより先に引き金を引いてしまい――ブイチューバ―グループ『ディパレット』所属の女性ブイチューバ―、テトヴィ・ライクロフトが彼の眼前で崩壊した。


「――おっと!?逃げた先にはホットがいた!テトヴィ・ライクロフト、これは運がない!間髪入れず叩いてキルを持っていきます!」


「近くにはけや選手がいますよ!これ見つかりそう……」


「…」


――えーー!?ヤバっ気づいたら1キル!?俺今誰撃った!?しかもめっちゃ激ロー(瀕死)だったし!


「ビビったぁ……」


ホットはすぐに我に返り、青ざめた顔でその場を離脱する。適当な建物へと駆け込んだ直後――全力で駆けてきたけやが、ザッと地面を擦るように急ブレーキをかけた。


「はぁ?どこいったあのキル泥棒ー!」


立て続けの幸運により、ホットはけやの視界から逃れていた。彼は自分が追われていることにも気づかないまま、建物の中に身を潜める。


「Quirk Hematite対決。ポジション有利はユケですが……えんりも壁越しからさがんとユケを確認。漁夫を狙いに行くような動きを見せています」


実況カメラはQH-Jチームユケの視点を映しており――


『アルティメットスキル。ハザード・パルス(有害な波動)を発動します』


「!?」


――ホットが追い詰められていることを知る者は、たった一人しかいなかった。


「こせゆ隊警察だ!直ちに武器を捨て俺のキルポイントになりなさい!」


「りょくおーさん!?何ですかこのウルト!」


ホットが踏み込んだ三階建ての建物は、すでにりょくおーが侵入者を排除するための罠場へと作り替えていた。


彼が発動したウルト『ハザードパルス』は――円盤状のビーコンを投擲すると、展開された装置が周囲へ断続的な索敵パルスを放射し、範囲内の敵を強制的に可視化する。さらにそのパルスは発動者と味方以外に有害な電磁波を伴い、範囲内の敵に継続的な小ダメージを与える。シールドアーマーを着ている場合は、その耐久を急速に削り取る能力だった。


――こんなトリッキーなウルト絶対こせゆ隊しか使わないだろ!


()ぇれ()ぇれ!あの世に()ぇりな!」


『ダダダダダダダ!』


「わーー!」


「は!?赤アーマーかよヤバすぎ!」


最強アーマーの恩恵に救われ、ホットはどうにか第一フェーズを耐え抜く。りょくおーが一度引いて回復に入ったその瞬間、彼は戦線からの離脱を選択した。


「電磁波の小ダメージが地味にキツい……!あのウルト刺さるとこんな厄介だったんだ」


――攻めるとしても上からじゃないと……。


ホットが外へ飛び出すと、少し離れた先で『プレデターラッシュ〈捕食者の突進〉』発動中のけやが一直線に駆け抜けていった。


「…」


ホットは何も言わず、そっと扉を閉める。消えた逃げ道にさよならをして――


「……や、やったらぁ!」


『アルティメットスキル。虚空の輪〈ヴォイドフープ〉を発動します』


――りょくおーとの第二フェーズに挑んだ。


「オラァー!」


「そっちが帰りな!」


こうして、十五名中十一名が生存している中――立て続けに二人の死亡ログが流れるのであった。

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