表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
I am Aegis / Mors 1  作者: アジフライ
10/14

第7話【潜む闇】

前回、 Sランクの次元迷宮に入った清火達は第40階層にてボスと対峙した。

「フローガさんと雷さんは奴を正面から注意を引き付けて下さい……私は奴の隙を探してみます……」

「了解……」

「任せろ! 」

そして清火は透明化を使って姿を消し、 謎の魔物の横に回り込んだ。

フローガと雷は炎の球を飛ばしたり、 刀に電気を纏わせて斬りかかる等をして魔物の気を引いた。

奴は動き自体は遅い……ただ能力と攻撃力が馬鹿にならない……だけどそれだけ……いつもみたいに首を刈り取ってしまえば……

『……ッ! ! 』

清火が姿を現した瞬間、 謎の魔物の視線は一気に清火に向き、 先程の岩を飛ばしてきた。

「遅い! 」

しかし清火は鎌と鎖を出し、 振り回し岩を砕きながら謎の魔物の方へ突っ込んだ。

そして清火は謎の魔物の頭まで飛び上がり、 鎌で首を斬りつけた。

「やった! 」

それを見たフローガと雷は勝利を確信した。

しかし……

「……! ? 」

清火は何か違和感を感じ、 謎の魔物の方を見た。

すると謎の魔物の首には傷一つ付いておらず、 膜のような何かがその部分を覆っていたのだ。

まさか、 防御まで!

次の瞬間、 清火は何かに突き飛ばされたかのように身体が地面の方へ吹き飛ばされた。

「モルスさん! ! 」

「大丈夫か! ! 」

「……チッ……いったぁ……体が頑丈で助かった……」

……しかし困った……バリアも使えるなんて……しかも今の攻撃……空間系の能力だ……

そして清火は立ち上がった。

「フローガさん……雷さん……一旦下がっててくれますか? 私一人でやってみます……」

清火がそう言うとフローガと雷は驚いた。

「そんな無茶だぜ! 」

「あんな化け物一人でなんて! 」

清火を止めようとするも清火は大ムカデの魂を出し、 フローガと雷を後ろの方まで引きずって下がらせた。

「お、 おい! ! 危ねぇぞ! ! 」

……近頃は危ないことを沢山やってきた……もう慣れた……

清火は二人の呼びかけに答えず、 謎の魔物の方へ歩いていく。

「……第二ラウンドよ……怪物! 」

そう叫ぶと清火はドラゴンゾンビの魂を呼び出し、 分身させて嗾けた。

すると謎の魔物は再び鳴き声を上げる仕草を見せた。

「もうさせないよ! ! 」

その瞬間、 清火は黒月で謎の魔物の口に弾丸を飛ばした。

するとその弾は着弾した瞬間、 謎の魔物の口の中で大爆発を起こした。

謎の魔物は怯み、 鳴き声を上げることができなかった。

ローナ……ありがとう……この爆裂弾最高……!

そして謎の魔物が隙を見せた瞬間、 ドラゴンゾンビの魂は一斉に火の玉で集中砲火を始めた。

謎の魔物は体を覆う膜で身を守りながら反撃をするも処理が追い付いていない。

時に六つの翼から魔法陣を出現させ、 光線を出したりもしているが清火の放つ爆裂弾で妨害されている。

「……今! ! 」

しばらく謎の魔物の周囲を駆け回りながら自身にも飛んでくる攻撃を回避していた清火は遂に隙を見つけ、 一気に謎の魔物の方へ飛び上がった。

そして……

『ガギャァァンッ! ! ! 』

清火は鎌の刃先を渾身の力で謎の魔物の首に突き刺した。

しかし覆われている膜で防御されてしまった。

次の瞬間、 ドラゴンゾンビの魂が謎の魔物の横から火の玉で攻撃し、 怯ませた。

怯んだ拍子に謎の魔物を覆う膜は消え、 鎌の刃先が首に刺さった。

「うおらぁぁぁぁぁ! ! ! 」

すると清火は鎌を素早く抜き、 黒月の爆裂弾を首に出来た傷口に撃ち込み、 糸を地上に飛ばしてその場から素早く離脱した。

次の瞬間、 謎の魔物の首が大爆発で木っ端みじんに吹き飛んだ。

その時僅かに来た爆風に吹き飛ばされた清火はバランスを崩し、 転げ落ちるように着地した。

「はぁ……はぁ……成功……! 」

安堵した清火は魂達を戻し、 フローガと雷の元へ歩み寄った。

「すげぇ……あんな化け物を一人で殺っちまうなんて……」

「あなたSランクの域を超えてるわよ……」

「はは……それでもギリギリでしたよ……隙を作らせるの大変でしたし……」

三人が安堵していると……

「お……おい……あれ……」

「ッ! 」

フローガが何かに気付いた。

清火は謎の魔物の方を見ると……

「……嘘……? 」

謎の魔物の首がみるみる再生し、 頭が元に戻ってしまったのだ。

すると謎の魔物は口を大きく開け、 上を向いた。

次の瞬間、 謎の魔物の口から黒い塊が飛び出してきた。

黒い塊は徐々に悪魔のような形に変形し、 清火達に襲い掛かってきた。

まさかこいつがあの魔物を! ?

清火は武器を構えようとした瞬間、 雷が目にも留まらぬ速さで黒い塊を横に真っ二つにし、 フローガが炎の拳で黒い塊の頭部分を思いきり殴り飛ばした。

そして黒い塊は塵となって消えてしまった。

「へへっ……あのくらいなら俺達にだって倒せるぜ! 」

「最後くらい活躍しなきゃね……」

「フローガさん……雷さん……」

するとフローガと雷の足元に謎の魔法陣が出現し、 二人は光に包まれた。

「モルス! ! 」

「フローガさん、 雷さん! 」

そしてフローガと雷の姿は消えてしまった。

……まさか私だけ取り残されたってこと……?

「……どうする……どうするどうする! 」

清火が慌てていると……

『案ずるな……余を倒せし人間よ……』

「なっ……! ? 」

先程まで鳴き声しか挙げなかった謎の魔物が突然清火に話し掛けてきたのだ。

魔物が喋るなんて……Sランクの次元迷宮には話す魔物もいるって聞いたことがあったけど……まさかこんな魔物が……

清火が驚いているのを余所に謎の魔物は話を続ける。

『其方は神に近い存在である余を見事倒し、 余の中に潜んでいた闇の因子を払ってくれた……先程の人間共々感謝するぞ……』

「えっと……とりあえず助かったみたいで何よりです……」

『しかし……もうこの体は滅ぼされた身……余の体を復元させた闇の因子が消えた今……余の魂も滅ぶ以外に他ならぬ……』

「それってつまり……存在が消えてしまうということですか? 」

清火がそう言うと謎の魔物は静かに頷く。

『……しかし手立てはある……其方が余の魂を奪ってくれさえすれば……余の存在は消えずに済む……』

それは謎の魔物から清火に命を差し出し、 清火の支配下に置かれたいという願望だった。

「でも……そんな事をしたら……あなたの自由が……」

『フッフッ……操られていたとは言え……あれ程の力を持つ余を倒した人間だ……そんな偉大なる者に仕える事に何の不満があろうか……』

そう言うと謎の魔物は清火に胸を差し出すように両腕を広げた。

『さぁ……時間が無い……一思いに頼む……』

……本当にいいみたい……抵抗する意思を全く感じない……

そして清火は覚悟を決め、 鎌を出した。

「……行くよ……」

そう言うと清火は謎の魔物の胸に向かって飛び上がり、 鎌の刃先を魔物の胸に突き刺した。

すると刺された魔物の胸から光が溢れ出した。

「……二度も殺すような真似をして悪いわね……」

『フフッ……構わぬ……』

「あなた……名前は? 」

清火は最後に謎の魔物の名前を聞いた。




『……ゼヴァ……そう呼んでくれ……』




謎の魔物はそう言い残し、 光の塵となって消えていった。

そしてゼヴァが消えた瞬間、 辺りの空間が崩れ出した。

空間が完全に崩れるとそこは上から光の差し込む洞窟のような空間だった。

清火の立つ地面はただただ草が生い茂った小さな島状になっており、 その周りは水で囲まれていた。

上から差し込む光が水に反射して何とも言えないような神秘的な光景を生み出している。

清火の目の前には大理石で出来た台座があり、 そこにはコアが置かれていた。

「……あの扉……」

清火が後ろを振り向くとそこには清火達が開けた扉に続く橋があった。

……ゼヴァ……か……あなたの魂と能力……存分に使わせてもらうよ……

そして清火はコアを持ってその部屋を後にし、 迷宮を脱出した。

その頃、 フローガと雷は迷宮の入り口前までワープさせられていた。

「ここは……迷宮の外か? 」

「どうやら私達だけ脱出させられたようね……」

「それよりやばいんじゃねぇか! ? あの魔物また再生してたしよ! 」

「だからって私達にはどうすることもできない……あの子の帰りを待つしかない……」

二人がそんな話をしていると次元迷宮の入り口前でずっと警備をしていた各地域の協会支部の総部長達が駆け寄ってきた。

「フローガ様、 雷様! 大丈夫ですか! ? 一体何が……」

心配する総部長達に二人は事情を説明した。

「……そんな事が……やはりSランクの次元迷宮はレベルが違う……」

誰もが清火の生存を諦めかけていたその時……

「……はぁ……やっと出られた……」

次元迷宮の入り口から清火が出てきた。

「き、 清火様! ? 」

「お前さん、 無事だったのか! 」

「てっきりあのままやれてしまったのかと……」

一同は驚愕し、 清火に事の顛末を聞いた。

「……という訳……もうここまで来ちゃったなら隠すにも隠せないから全部正直に話したよ……」

「なるほどなぁ……あのドラゴンやらムカデの化け物は全部お前さんの倒した魔物達の魂だったって訳か……」

「おまけに倒した魔物の能力や身体能力まで吸収してるなんてね……ならあの特殊な能力や人間離れし過ぎた身体能力の説明が着くわね……」

……意外と冷静に受け止めてくれた……フローガさんと雷さんがSランクの攻略者だからこそなのかもしれないけど……

すると拳一が清火に言った。

「清火様……恐らくこの一件で世間に貴女の噂が広がってしまうのは避けられないでしょう……我々はできるだけ隠し通すつもりではありますが……公表の決断は早めにした方がよろしいかと……」

「分かってる……それはもう仕方がない事だものね……ただ世間が騒がしくなる前にやりたい事があるの……拳一さん、 お願いできますか? 」

「はい、 私にできる事であれば……」

そして清火は拳一の耳元で何か囁いた。

それを聞いた拳一は少し表情を曇らせた。

「それは……一度会長に聞いてみなくては分かりませんね……」

「……だろうと思った……なら私が直接会長さんと話をするっていうのは? 」

「……分かりました……この後会長の方に連絡して予定を組んでみます……」

「じゃあ、 よろしくお願いします……」

……さて……そろそろ帰ろうかな……

すると清火はフローガと雷の元に歩み寄り、 コアを差し出した。

「私は手柄とかに興味はありませんから……このコアはお二人の手柄として任せます……」

「えっ……わ、 分かった……」

「本当にあなたは色々と変わってるわね……」

「……それでは拳一さん……連絡お待ちしてます……」

そう言うと清火はドラゴンゾンビの魂を呼び出し、 飛び立った。

…………

その日の夜……

東京、 攻略者協会日本本部のビルにて……

ビルの最上階にある会長室に一人の男が電話をしている。

『……という事でして……いかがでしょう……』

電話の相手は拳一だった。

「ふっふっふ……中々面白い子がいた物じゃないか……いいだろう、 儂も一度その攻略者に会ってみたい……明日にでも予定を合わせてやるとその子に知らせてあげなさい……」

『承知致しました……ではそのように……』

そして拳一からの電話が切れた。

静まり返った部屋の中、 男は全面ガラス張りの窓から東京の夜景を眺めた。

「……ニックネーム『モルス』か……ふっ……正に『死神』だな……」

男は夜景を眺めながらそう呟いた。

続く……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ