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魔法学校から始まる空白世界の黒VS空白  作者: Stiid2001
魔法学校での事件

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1/17

無理な感情を出し、ルナを守る。

魔法とは、感情だ。

 怒りは炎となり、悲しみは癒しとななりり、喜びは盾となる。。

 だからこの世界で強い者は、誰よりも「強い感情」を持つ者だ。――そのはずだった。

「神代湊。前へ」

 無機質な声が教室に響く。 視線が、一斉に集まる。

 期待ではない。嘲笑でもない。 ――ただの「どうせ無理だろ」という空気。 

 神代湊は、静かに立ち上がった。教室の中央、魔法測定のための円陣に足を踏み入れる。

 床に刻まれた紋様が、淡く光る。しかし、神代には、何も、感じることが出来ない。

「感情を解放しろ。なんでもいい。怒りでも、恐怖でもいい」

 教師は言う。 だが湊は、何も答えない。 ――何も、感じないからだ。

「……早くしろ」

 苛立ちが混じる。 周囲の生徒たちは、ひそひそと笑い始めていた。 

「またかよ」

「あいつ、マジで何も出ないらしいぞ」 

 湊は目を閉じた。 何かを探すように。

 でも――やはり、何もない。やはり何も、でなかった様子。神代には、感じることが出来ない。

 静寂。 やがて、教師がため息をついた。教師にも、測定出来なかった。

「……測定不能。下がれ」 

 それだけだった。 笑い声が、今度ははっきりと聞こえる。 ――慣れている。

 湊は何も言わず、席へ戻ろうとした。 その時だった。 

「ちょ、ちょっと待ってください!」

 明るい声が、空気を切り裂いた。 教室の後方から、一人の少女が立ち上がる。

「まだ終わってません!」

 白い髪が揺れる。 感情が、そのまま形になったような瞳。

 白峰ルナだ。教師に、口を挟むように立ち上がり、もう一回と、言い張る。

「感情が弱いだけかもしれないじゃないですか!もう一回――」

「白峰。口を挟むな」 

 教師の声は冷たい。だがルナは引かない。どうしてもと言うようだった。 

「でも――」 

 その瞬間だった。教室の空気が、歪んだ。まるで世界が壊れたかのようだった。

「……え?」

 誰かが声を漏らす。ルナの足元から、淡い光が溢れ出していた いや――違う。

 光が、暴れている。ルナが、感情を、抑えられない様子だった。

「やば……暴走してる!」

「止めろ!感情を抑えろ!」 

 教師が叫ぶ。 だがルナの表情は、驚きと混乱に染まっていた。 

「ち、違……止まらない……!」 

 光は一気に膨れ上がる。 教室を飲み込むほどのエネルギー 

このままでは、誰かが怪我をする。――その時だった。

  湊の足が、勝手に動いた。ルナをまるで守るかのように。

「おい、神代――!?」 

 止める声を無視して、湊はルナの前に立つ。自分が、魔法で消えても、いいように。

 近くで見ると、その光は恐ろしいほど不安定だった。 触れれば弾ける。 そう確信できるほどに。 

 それでも、湊は手を伸ばした。 ――ルナを守らなきゃいけない。守らなきゃいけないんだ。

 その瞬間。 胸の奥で、何か“軋んだ”。とっても大きな気持ちだった。守ってあげたいのに。 

「……っ」  痛み。

 初めて感じる、感覚。そして――ほんのわずかに。「焦り」が、芽生えた。その、次の瞬間。

湊の手から、黒い光が溢れた。とっても強い魔法だった。

「なっ――!?」

教室が凍りつく。その光は、ルナの暴走する魔力を――静かに、呑み込んでいった。

 音もなく。抵抗もなく。ただ、消えるように。やがて、すべての光が消えた。

 静寂。それが自分に訪れた。それは、とても、強い魔法だ。 

 ルナは、その場に崩れ落ちた。その神代の、魔法と一緒に。 

「……今の、は……」 

 誰も、理解できなかった。ただ一人。自分の、魔法がわからず。 

 湊だけが、自分の手を見つめていた。

 ――今、何かが動いた。確かに、感じた。だがそれは違うのだ。

 「感情」ではなかった。もっと、別の何かだった。そして――

 教室の誰も気づいていなかった。

その瞬間。湊の瞳の奥で、わずかに“何か”が目を覚ましたことを。


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