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Speed Runaway  作者: バベル
プロローグ 
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プロローグ 君子危うきに近寄らず

やる気継続の為気に入って頂ければ、お気に入り登録。文章評価など誰かが見ていると意識させてもらえれば幸いです。よろしくお願いします。

君子危うきに近寄らずとは、教養があり徳がある者は、自分の行動を慎むものだから、危険なところには近づかないということ。

ならば賽中貴樹(さいなか・たかき)にとって、いや、海外の人間ならばそうしたのだろう。

しかし、残念な事にここは日本だ。それが賽中貴樹の不運だった。

貴樹は、豊橋の港近くで釣りを楽しんでいた。友人や家族には、大きな身体でチマチマと仕掛けを作っている姿を見られる度に似合わないと言われるが貴樹は釣りが好きで、週に数回はここに来ている。破棄された工場の敷地を抜けなければ出れない波止場なので地元の人間もあまりこない、お気に入りの釣り場だ。

今日は7月の土曜日。明日は学校が休みなので、夜釣りを楽しんでいた。

「まずまずだな」

 メインのアジこそあまり釣れなかったが、奇跡的に蛸が海面近くに浮いていたのを網ですくい手に入れたので、それは釣りではなかったが貴樹は、釣り歴10年で初の蛸を手にし、機嫌良く、頬を緩ませていた。帰ったら母親に刺身にしてもらおうっと思いながら。

 週に何日かは、魚を持って帰っているので又魚料理かと肩を落とす妹も蛸ならば喜ぶだろう。

 その時だった。

 乾いた音が炸裂音が数回、貴樹の耳に届いた。

「なんだ?」

 まだ生きている蛸を眺めながら、釣竿を垂らしていた貴樹は顔を上げた。人が来る事を想定していない廃工場の先の波止場に電灯は無く真っ暗だ。何かの音の発生源は、海か工場のどちらか。暗いおかげで音が聞こえる範囲に船があれば光が見えるだろう。そうなると、工場からの音だろうと貴樹は思った。

「……ちょっと見に行くか」

 竿を陸に上げると工場に向かって歩き出す。この廃工場は広い。いくつもの建物があり、道に横断歩道が書かれていることから、工場が動いていた時は中の移動に車で移動していたのだと分かる。貴樹は原付でこの工場の中を移動していた。エンジンを掛けて、音の発生元を探す。別に隅々まで探すつもりは無い。普段は感じない人の気配が気になっただけの興味本位でしかない。気のせいならそれで良い。そう思っていた。

 しかし、人の気配は気のせいではなかった。

 数ある中、1つの建物から怒鳴り声が聞こえて来たからだ。その声にエンジンを止めて、原付を脇に寄せた。大きな声から、いきなり中に入る気はなかった。脇の窓を見た。少し高い位置にあるが、背の高い自分なら中を見れるだろうとその窓を覗く。

 それが間違いだったのだろう。

 先程の乾いた音の正体が分かる。

 それは銃。

 その銃の先端を男は右腕を抑えている者に向けていた。右腕を抱えている者は帽子を深く被っているせいで顔が分からない。

「本物? ……いやいや……ここは日本だぞ? ドラマか何かか? ――――ア」

 ビビってしまい、後ろに下がった。それと同時に窓の外に視線を向けた男と目があった、人の目は止まっているモノよりも動くモノを追う様に出来ている。中にはランプの様なモノがあり、わずかな光のおかげで視界が通る。警戒心を抱いている者達ならば、目が合ったと同時に男は叫んだ。

「外に仲間がいるぞ!!」

「や、やばい!!」

そう叫んだ。同時に後ろを向いて、原付へと走り出す。ドラマの撮影だろうとあきらかに怒っている男達からは逃げるの答えしか出て来なかった。だが、それが正しかったのはすぐに分かる。実際に生で聞いたのは初めてだったがその乾いた音がおもちゃの音では無い事は分かってしまう。それも自身に向けての発砲。顔を恐怖に歪めて貴樹は原付に乗った。エンジンを1度切ってしまった事を後悔するが震える手で、エンジンを掛けた。

瞬間。

原付の後ろに誰かが飛び乗った。

「ぎゃ――――!!」

 貴樹は思わず叫んだ、殺されるっと。しかし、飛び乗った者にそんなつもりはなかったらしく、

「いいから! 早く出して! このウスノロ!! ッチ!! いいからどいて!!」

 頭の中はパニックに陥っていた。帽子を被った者は貴樹を押しのけて、前に座り、エンジンを入れる。清掃員が着る様な作業ポケットがたくさん付いた服にその服と同じ色の黒い帽子と違和感しかない恰好をしている。

 怪しいが一刻も早くここから、逃げたい心理の方が大きく言われるままに貴樹は原付の後ろに乗る

「ッチ!! ――――しっかり掴まっといてよ!!」

 同時に前輪が浮いた。

「お前!! アクセル全開で~~~~!!」

 振り落とされない様に首根っこを必死に掴んだ。泣きそうな……いや、完全に泣いていた。逆さま気味になってしまったせいで、財布が落ちた。

「財布が!!」

 猛スピードで駆けているせいで一瞬で見えなくなった。

「財布!? まさか免許入ってたんじゃ!?」

 スピードを落とさないまま、運転している者は叫んだ。

「入ってるよ!! もらったばかりの小遣いもな!! 最悪だ~!!」

 前輪が地面につくと同時に貴樹は頭を抱えた。3万円近く入っていた財布を思うと頭を抱えるしかなかった。

 それでも猛スピードで走る原付。原付の2ケツは初めてだった。手の置き場に困るが、スピードが出ているのもあり、落とされない様に胸の辺りに腕を回して抱き付く形になった。

「きゃ!!」

 腕を回すと同時にそんな声が聞こえ、貴樹は声を失った。瞬間、帽子が飛び、月灯りに照らされた金髪の髪が貴樹の目を覆った。


更新スピードは2~3日に1度、最大一週間くらいだと思います。

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