第33話:後輩ができましたわ!
学校見学から数日後。
一人の少女が、我が屋敷を訪ねてきました。
アリサさんの学校に通う下級生です。
「一ノ瀬麗奈様に、お会いしたく参りました」
「わたくしに?」
「はい。先日のドレス姿が、とても素敵でしたので」
わたくしは背筋を伸ばしました。
「当然ですわ!」
「一ノ瀬様のような、堂々としたお嬢様になりたいんです」
初めてです。
わたくしに憧れて訪ねてきた方など。
「よろしいでしょう。特別に教えて差し上げますわ!」
応接室へ案内し、お嬢様としての心得を語ります。
「まず、何が起きても動揺してはいけませんの」
その瞬間、廊下で大きな音がしました。
「きゃあっ!?」
「お嬢様。額縁が落ちただけです」
小春が顔を出しました。
「いまのは危険を知らせる声ですの!」
「なるほど……」
少女は真剣にメモしています。
「次に、使用人には威厳を持って接しますの」
「お嬢様、昨日の洗濯物を片づけてください」
「あとにしますわ!」
「昨日もそう言いました」
「いまは来客中ですの!」
少女は、またメモを取ります。
「使用人とも率直に意見を交わすのですね」
「そういうことにしておきますわ!」
帰るころ、少女の手帳は文字で埋まっていました。
「今日は勉強になりました」
「どの部分が?」
「完璧でなくても、堂々としていればお嬢様になれるんですね」
「褒めていますの!?」
「はい!」
曇りのない笑顔です。
怒るに怒れませんでした。




