新発見ダンジョン
ギルドからの新たな依頼で、僕たちは最近発見されたばかりの未踏破ダンジョン『幻影の地下迷宮』の探索に訪れていた。
未知の魔物や厄介なトラップが多数報告されている危険な迷宮——のはずだったが、絶賛愛の暴走中である『星詠みの戦乙女』と『ヤンデレ物理僧侶』の敵ではなかった。
「アレンとの新婚旅行の邪魔よ! 塵になりなさい!」
「豚肉コロッケの次はなんだろなーっ!」
「さあ、さっさとボスを片付けてアレンと混浴するわよ」
「アレンと私の愛の巣作りのため、この迷宮の魔物はすべて物理的に排除します」
彼女たちがもはや天災のような勢いで魔物を蹴散らしていくため、僕たちはあっという間に迷宮の最深部手前、セーフティポイントへと到達してしまった。
「ふぅ……皆さん、お疲れ様です。お湯が沸きましたよ。特製の薬膳スープも——」
僕が【限定空間収納】から完璧なタイミングでキャンプ道具一式を展開し終えた、その時だった。
「アレン! スープの前に、私に『あーん』をしてちょうだい! 戦闘で疲れた右腕が上がらないの……っ!」
エリアリアさんが顔を真っ赤にしながら、僕の隣にピタリと座り込んでくる。(さっき見事な大上段からのフルスイングで魔物を両断していたのを見た気がするけど、気のせいだろうか)
「リーダーずるい! 私なんて足が痛くて歩けないもん! アレン、膝枕して! 3時間膝枕!」
「あら、私は魔力酔いみたい。アレン、服を脱がせて背中を優しくマッサージしてくれるかしら?」
「フフッ、甘いですねメス豚共。私はすでにアレンの寝袋の中に——痛ッ!?」
エリアリアの裏拳がミランの顔面にクリーンヒットし、狭いセーフティポイントでいつものように大乱闘が幕を開けた。
「あ、あの皆さん! スープが冷めちゃいますよ! 火花散らさないで!」
鍋を守るために自作の防壁(分厚い座布団)を構えながら、僕は遠い目をした。
過酷なダンジョン探索のはずなのに、僕の貞操と胃壁は常に別のベクトルで削られ続けている。とはいえ、前のパーティーで虐げられていた頃に比べれば、この騒がしさすら愛おしいのだけれど。
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