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夜長に読むための物語  作者: 千尋


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板張りの部屋

 いまはもう取り壊されてしまったが、Cさんの祖父母の家にはいつも(ふすま)を開けたままの部屋があった。

 六畳ほどで、年季の入った板張りの部屋だったのを覚えているという。部屋の隅には古ぼけた小さな箪笥があるだけで、くれぐれも部屋と廊下を仕切る襖を閉めないよう言われていた。

 なんで閉めちゃだめなんだろう。

 そう思ったCさんは、家に誰もいないときにこっそり閉めてみることにした。

 取手に指をかけてみると、予想よりもずっと軽い手応えだった。するするとまるで滑るように襖は動き、カタンと音を立てて閉じ切った。

 どんどんどん。がたがたがた。

 とたんに襖が揺れはじめた。いや、中から誰かが叩いている。

 あわてて襖を開いたが、もちろん部屋には誰もいなかった。

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