レッドプレイヤー達の主
本日分の投稿です。
side アカネ
私の名前はアカネ。
もちろん、AWOのプレイヤーとしての名前よ。
私は現実世界での自分が嫌いだった。
何せ、現実世界は理不尽が溢れている。
力の持たない私なんて、そんな理不尽に打ち勝つことなんてできるはずがなかったの。
そんな現実世界に嫌気をさしていた時に耳にしたのがAWOのβテスト開始の話よ。
最初は所詮ゲームなんてと思った。
だけど、気になってAWOのホームページを見たの。
正直に言うと胸を打たれた気分になったわ。
何故ならAWOの世界では誰しもが力を手に入れることが可能だと知ってしまったから。
一万を超える『スキル』や【技能】は組み合わせ方次第では誰しもが力を得ることが出来る。そう思ったの。
残念ながら、βテストには当選しなかったけど、幸いなことに第一陣としてAWOプレイヤーになることが出来た。
第一陣のプレイヤー枠は十万人、内β枠が一万人ね。
私は残りの九万人の一人になれた。
でもこれって凄いことなのよ?
初回の発売は全て応募式だったのだけど、応募数は軽く億を超えていたわ。そのうちの一人になった。どう?凄くないかしら?
そんなこんなで第一陣AWOプレイヤーとなった私は発売前から考えていたロールプレイを実行したの。
それは、悪人プレイ。
私は自分に課したロールに従い、ログインして早々に他のプレイヤーを殺した。その後直ぐに私の脳内に響く通知音。
すぐさまメニューを確認したわ。するとプレゼントBOXという項目が点滅していたの。
頭に?を浮かべながらも項目をタップしたわ。
そして、詳細を知った私は思わず笑ってしまったの。大声で周りのプレイヤーに目もくれずにね。
プレゼントBOXに送られてきたのはユニーク称号【プレイヤーキラー】。
効果はプレイヤーを殺すごとに攻力、防力のステータスを+1上昇する力だった。もちろん制限はあって、上限が+500というのと、一時間以内に他のプレイヤーを殺さないと加算されたステータスがリセットされるという物ね。リセット期限がログインしていない時間は含まれないのはせめてもの救いだったわ。
これにより、私は最強無敵の理不尽となった。
日々、プレイヤーを理不尽に殺し続けたわ。
その過程で、何故か仲間も沢山できた。
それからも、仲間達と楽しく理不尽の限りを尽くた。
だけど、それも長く続かなかったわ。
私の仲間が百人を超えた頃かしら。
私の縄張りにたった一人でやってきたプレイヤーがいたわ。
そのプレイヤーは私を倒しに来たと言った。
はっきり言って少し嫌な予感がしたわ。
そして私と仲間達は剣を取った。
一方的ななぶり殺しになる予定だった。
たけど、結果は違ったわ。
一方的にやられたのは私達の方だった。
百も超えるプレイヤーをたった一人でよ。
嫌な予感が当たってしまったのね。
理不尽となった私が、ここにきて、またも理不尽を感じた。それが許せなかった。
だから、やり方を変えたの。
今までは負ける気がしなかったからこそ拠点をひとつに絞っていた。
だけど、今は違う。
私を襲う理不尽は確かにAWOにも存在する。
だけど、その数は現実世界と比べて圧倒的に少ない。ならば避ければいいと。
私達は定期的に拠点を変え、理不尽を行使し続けた。
するとどうでしょうか。
私たちの元へ理不尽が再来することは無かった。
居場所を特定されなければ、あの理不尽はやってこない。やはり、あの理不尽は理不尽でなく、ただの一プレイヤーに過ぎなかった。
それに比べ私達はどうでしょうね?
定期的に拠点を変えるとはいえ、そこにプレイヤーがやってこない訳ではないのね。何せこの狭い世界に十万ものプレイヤーがいるのだから。
それからも、私達は理不尽を行使し続けた。
第二陣のプレイヤーがAWOにやって来だからと言っても私達が理不尽なことは変わらない。むしろ標的が二十万人も増えたと歓喜したわ。
そして、二十万人もの第二陣プレイヤーがAWOにやってきて直ぐに攻略組の戦闘職トップギルドに動きがあった。攻略組が前線を引いたの。なんでも攻略に必要な装備の情報を手に入れたのだとか。
その後、戦闘職トップギルドはカンベリ付近の草原にてスライム狩りを始めた。恐らく、情報関連でのことね。
ともあれ。
私達はこれを機に鉱山麓の南部鉱山入口に拠点を変えたわ。強い魔物と戦うことは私達の戦力をあげる為にも必要なことだから。
そんな時のことだわ。
またしても一人のプレイヤーが私達の拠点へとやってきたの。
だけど、そのプレイヤーはどう見ても初期装備の第二陣プレイヤーだったわ。
きっと、運良く魔物に遭遇せずにやってこれたのね。
でも、その運もここで尽きたわ。
何せ、理不尽である私の拠点へとたどり着いてしまったのだからね?
私は仲間達に言ったわ。
「あの、第二陣の初心者にこれとない理不尽を叩きつけなさい」
それからの仲間達の行動は早かったわ。
その、初心者目掛けて一斉に魔法を放ったの。
なんて理不尽。
なんて言うほどの理不尽。
私は嬉々とした表情で、その初心者プレイヤーを見やる。
……その時だったわ。
彼と目があった気がしたの。
それと同時に物凄く嫌な予感がしたわ。
前回の比にならない程のとてつもない嫌な予感。
だけど、杞憂に終わったわ。
その初心者プレイヤーは一斉放たれたはずの魔法の一撃目で為す術もなく、死んでしまったのだから。
でも、その初心者プレイヤーが死んでなお残る、この嫌な予感は一体どこから来るのかしら?
だいたい、本当にここまで魔物と遭遇せずにこれたの?
威力の弱い魔法一撃で死んでしまうような雑魚プレイヤーが?
「頭、次の標的がきましたぜ?」
私は嫌な予感への考察をしたわ。
だけど、答えは出ないまま。
仲間の一人に声をかけられた私は、そのまま考えることをやめることにしたわ。
「私がやるわ。リセット期限も近づいてるこどたしね」
そう言っていつもの様に私は理不尽を行使する。
今回、殺した初心者プレイヤーが私達に多大な影響を与えることも知らずに。
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