19 新兵器対談 4
「巡洋艦ですが、こちらは駆逐艦より厳しくなります」
「それほど難しいのか」
「古いものを再生するより、新しいものを作った方が安くつきます。
建造時間も含めて」
「それは、厳しいな」
作り替える事でどうにかしたいが、そうもいかない。
それほど旧式化してるのだから。
「これらはまず3割を保管状態にします。
そのまま復活させずにスクラップにする予定です。
その上で、新しい艦艇に置き換えていきます」「その案もできているんだろう?」
「はい。
才能のある者達が色々考えてくれましたよ」
言いながら提案書が出される。
出された内容は確かに凄いものだった。
重巡洋艦は8000トン。
軽巡洋艦は5500トン。
どちらも筆追う最低限の大きさだ。
昨今の艦艇に比べると小さいとすら言える。
武装もかなり整理されている。
連装砲塔を3つ。
軽巡洋艦には魚雷。
そして両方に機銃座が8~10。
これらが武装になっている。
「細々としたものは取り付けねばならないでしょうが、基本としてこうなる予定です」
「戦力として大丈夫なのかね?」
「必要な分は確保しています。
十分かどうかはなんともいえませんが。
こればかりは戦争にならないと」
「それは、確かめる手段としては絶対に使いたくないな」
だが、必要最低限は揃っている。
何より、航続距離と居住性。
必要なこれらが確保されている。
限界はあるが、今までより極端に劣る事は無い。
長い後悔で乗員が疲れて動けなくなる事が減ってくれる。
「ただ、置き換えていくにしても、金がかかります。
巡洋艦ともなると、作るのに2年から3年はかかります。
金も相応に」
「それはそうだろうな」
「なので、これらはまずは後回しにします。
まずは駆逐艦の作り替え。
それと新造する駆逐艦。
まずはこれで必要な数を確保しないと」
「そうしてくれると助かる。
こちらも町の作り直しに必要な金を削るわけにはいかないので」
「むしろ、そちらにこそ金をまわしたい。
これもまた俺の本心です」
チャーチルとて町の造り直しに賛同している。
軍の再建よりも重要だとすら思ってる。
ここが滞ってると、必要なものの行き来すらままならなくなるからだ。
道を塞ぐ縦隊の発生。
これだけで荷物の到着が遅れる。
それは、艦艇の建造などにも影響が出て来る。
ネジが届かないだけでも、建造が止まるのだから。
これを無くすためにも、縦隊の解消、せめて緩和はしておきたい。
軍だけでは無い。
町全体で、国全体でこういった問題が解消される。
ならば、その時にイギリスが得る利益はどれくらいか。
想像すら出来ない。
それをやろうとしているのがチェンバレンだ。
応援するに決まってる。
確実にイギリスの為になるのだから。
「まずは3年間。
町を、道を、線路を作り直す。
これで土台を作る」
「それと、下水道もでしょう。
保健大臣として絶対にやらねばならない」
「そうだ。
衛生を保つためにもな。
もちろん、上水道も」
「おまけに浄水施設に下水処理場。
やることは多く大きいですな」
「頭が痛くなるよ。
でも、ここでやらねば未来がない」
「応援します。
できる事ならなんでも」
「頼むよ」
チャーチルの言葉に感謝をする。
この男が味方なら頼もしいと。
「ただ、一つ懸念がありまして」
「何だろう?
見落としがあるならもちろん修正するが」
「いえ、まあ、冗談として受けとってもらいたいのですが」
「うむ」
「……ベイカー街の作り直しだけはご注意を。
熱烈な愛好者が黙ってないので」
「…………」
それを聞いてチェンバレンは呆気にとられ。
意味を理解し。
「…………そうだ、そうだな、あははははは!」
久しぶりに大声で笑った。
「なるほど、なるほど、それは大変だ」
ひとしきり笑ってからチャーチルの意見に賛同する。
「ええ、面倒なものです。
愛国者よりはマシですが、自称してるだけの方の」
「そうだな、愛が強すぎるのも困りものだ」
「悪意がない、好意でやってるだけならかわいげもありますが」
「そうではないと、厄介なだけでは済まないからな」
「はい。
なにせ、彼らは首に値札をぶらさげてますから。
自分の値段を」
「ウォルポール首相もこんな気持ちだったのだろうかな」
「察するしかありませんが、おそらくは。
できれば自分が当事者になりたくありませんでしたよ」
「同意するよ、心の底から」
そう言うと2人は互いに苦笑をしていった。
「それで巡洋艦ですが。
重巡洋艦は12隻。
軽巡洋艦を30隻。
最終的な保有数はこれだけにしようと考えています」
「どちらも今の保有数から3割減ってると。
そうしてくれると助かる」
「数もですが、人数も減らせます。
1隻あたりの乗員が減るので」
「それは何よりありがたい」
どこでも人件費というのは大きな割合をしめる。
それが減らせるのはとてもありがたかった。
これで海軍内の虐待に苦しむ者達を救う事ができる。
「それと、空母の建造と整備。
これもしばらくは凍結。
また、小型の空母の建造も計画しています。
大型より小回りがきくものも欲しいので」
「条約の範囲で頼むよ」
「もちろんです」
近年、発展が著しい航空機。
これを用いる空母の保有と運用は避けて通れない。
ただ、金も時間もかかるから、これらも慎重に進めていくしかなかった。
「それと戦艦ですが。
一つだけどうしても改修しておきたいものがあります。
これだけは出来るだけすぐに、可能なら今にでも始めたい」
「ほう」
チャーチルの言葉に目を向ける。
「いったい何を?」
「フッドです。
これを改修したい」
在庫がなくなった。
次はいつになるかわからない。
でも、なんとか続きを書きたい所存。




