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7.火星プチ観光~ブラックカードが光る~

テロリスト鎮圧後の休息(食事)。




「負傷者は幸いなし。ロボットの被害も最小限、建物の一部は破損しましたが修復は可能です……テロリストたちも全員捕まりました。碧さん、ありがとうございます!」


 盗聴器がない私の戦艦の一室で後からやって来たレティシアさんがそう言った。


「しかし、随分御間抜けなことしますね。火星とはいえ、大企業のモナル社に喧嘩売るとか死亡フラグなのでは?」


 あの天下のモナル社だぞ、大企業の中でもトップレベルの扱いだぞ?


「社長、残念ながら各惑星、コロニーはまだ開発が一段落した状態で、モナル社の様な娯楽や、日用品の提供に手が回っていないのだ」

「え、他の所はやってないの」


 地球で暮らしていたから他の星やコロニーの事情なんて全然知らなかった。

 宇宙歴になって300年も経ってるんだから娯楽とかも充実しているだろうと思っていただけど現実は違ったみたいだ。


「火星開発はまだ途中なんだ」

「だからモナル社みたいな企業が生活を支えている」


 モナル社みたいな大企業が支えてるのか……

 モナル社の長年の努力の積み重ねという訳ですね……凄い!


「その分、恨みも買うのよ……」


 ああ、でも、恨みもその分半端ないと。


「な、なるほど……」

「利益を奪われたと考える者もいる」


 理解できた私に、ノウェムさんが更に事実を伝えてきた。


「あー……」


 納得した、宇宙の各惑星などの開発を進めたのはモナル社が後ろ盾にいて、常にその場に必要なもの、必要では無いがあるとありがたいものまで提供していたのだ。

 日用品だけでなく、保育、学校、それだけじゃなく娯楽などまで。


 私の学校は公立だけど、モナル社の偉業と呼べる数々の行為は聞いている。


 そう言えば数年前、ライバル会社だったツヴァイフルング社とテトラ社との和解というビックニュースがあったよね。

 そう言えば、和解後にテトラ社とツヴァイフルング社も何度か関連企業がテロリストや強盗なんかに襲撃されている……


 これって何かある?


「碧さん?」

「⁈ いえいえ、何でも無いです! とにかく負傷者なしが一番です! ……子どもたちのトラウマになってないといいんですが……」


 レティシアさんに言われて私は我に返る。

 慌てて、気になっていた子どもたちのトラウマになってないこと気にした。

 ……そういえば。

 パワードスーツも着てなかったのに蹴り飛ばしたテロリスト、生きてたな。

 私、思ったより力加減できてたのかな?


「ええ……」

「ところで、聞いた話だと保育エリアの園長さんたちは出払ってたそうですね? なんでですか?」


 レティシアさんは渋い表情、あこどもたちのトラウマになってるんだな。

 話を変えたいが、思いつかず、苦肉の策で園長たちがいない理由が気になったので尋ねた。


「次の遠足の下見に行ったから免れたという訳です」


 そっかぁ、だからか。


「何かあったとき保育エリアには園長や病院とつながる特殊な通信機が置いてあります、妨害電波などを無視して通話ができ、同時に盗聴もされません」

「ワーオ、だから対処が早くできたんだ……爆発一個させちゃったけど……」


 初めて知ったよ、モナル社さん。

 狙われているだけあって対策とか色々取ってるんだなぁ。


「テロリストがそれを知らなかったから運良く救助の依頼を貴方がたに早く出すことができました」

「そう、なんですね」


 よかった、お陰でこどもたちが無事で、他の人達も無事で。

 犯人は無事じゃなくても別にいいけどね。


「あ、今の話は内密にお願いしますよ」


 私はこくこくと何度もうなづいた。


「では、私は色々ありますので……また後で」

「はい、後で」


 そう言って、部屋を出ると、ロゼッタさんが待機しており、私に頭を下げて立ち去って行った。


「大変だなぁ、社長って」

「お嬢、アンタも社長じゃ!」


 とガンツの突っ込みが入る。


「そう言えばお腹空いた、早く帰ってご飯食べよ」

「……なら帰る前に、レストランにでも寄ってみたらどうか?」


 ノウェムさんがめずらしい提案をしてきた、ちょっと驚いた。


「え、お金持ってきてない……」


 と、言おうとすれば──


 黒いカードが光を反射した。


「……え?」

「ブラックカードだ」

「わ゛ー⁈⁈」


 思わず混乱する私。


「クラレンス、君なら戦艦を移動できるだろう、管制室の指示に従って移動させてくれ、集合場所はここだ」

「了解しました」


 ノウェムさん、勝手に話を進めてクラレンス指示だしてるし!


「では、行こう」


 クラレンスは戦艦のある方へ向かい、私たちはそのまま食事処のエリアへ。

 火星って来た事ないからな~この間の仕事でしか。


 私の学校修学旅行に国内か海外か、月か、火星があったけど、私は小心者だから国内の夢の国ツアーを選んだ。

 海外組も意外と少なかった気がする。


 海外か月か火星はお金持ちの子が興味本位で行ったって聞いたけど、なんか興奮してたのは思い出す。

 小心者だけじゃなくて、お金のところで親に負担かけたくなかったからそうしたのもあるんだけどね。


 ……そんな私が火星で食事か。

 どんな料理が出るんだろう。


「なじみのある料理がいいだろう」


 と、言われて日本食のとあるお店へ。

 私日本食好きだけど、カオマンガイとかフォーも食べたいんだよなぁ。

 いや、流石にこのエリアにはないか?


「このエリアには世界有数の国々の料理店がある、もし時間があればそこも巡ろう」

「! はい!」


 ノウェムさんが、私の考えを見通しているかのような発言をしたが、純粋に嬉しくて笑ってしまった。

 そしてノウェムさんの口元は少しだけ微笑んでいるのが見えた。


「お嬢様ー!」

「クラレンス!」


 私たちの姿を見つけたクラレンスが駆け寄ってきた。


「無事移動は終わったか、ロックはしたか?」

「勿論ですよ」


 クラレンスのその言葉に少し安心の息を吐き出す。

 乗っ取られたら借金どころじゃない、と。


「さて、入ろう。幸いロボット用の席もある」

「何でブラックカード持ってたの?」


 疑問を口にするとノウェムさんは即答した。


「一応もっていた方がいいとレティシアが」

「……」


 あーレティシアさん社長だもんねー。

 凄いもんねー。

 ……私が使えるクレカは一般人のだし……


「取りあえず食事だ」


 そう言って中にノウェムさんにずるずる引きずられていった。


 出された料理は所謂家庭料理だった。

 高級料理よりも、私にはしっくりくる。


 火星産の養殖わかめと火星産大豆の油揚げと豆腐のお味噌汁、優しい塩みの火星産洋食鮭、噛むとほんのり甘いご飯など……その中に火星フグがあったのに気付いて硬直したのは今は言わないでおこう、美味しかったけど。

 出された定食料理を平らげた。


「美味しかったぁ」

「それは良かった」


 ノウェムさんが微笑んでいるように見えた。

 店主さんがきたので美味しかったことを伝えるととても喜んでくれた。


 ちなみにお酒のエネルギードリンクもあったんだけど、レイジングとガンツは「酒のエネルギードリンクは飲むな」とメフィストとクラレンスに言われてしぶしぶ、出されたエネルギードリンクと、キューブを食べて居た。


「中々味がいいな」

「想像つかないけど……」

「お嬢は人間だしな」


 ガンツがそう言って最後のキューブ一個を食べた。


「よし、支払おう」


 といって、立ち上がり支払いをしようとすると、なんと拒否された。

 理由は保育園エリアが併設されている百貨店、あのヒバナに娘さんと息子さんを預けているご夫婦だった、この店の店主は。

 それを解決したのが、私達だとレティシアさんから聞いたので、子どもたちの恩人の貴方たちからお金は受け取れないと拒まれた。


 こんなこともあるんだと思ったが、ノウェムさんが支払いを強行した。


「その気持ちはわかるが、その度にあれだけの料理をタダで提供することになったら赤字になる、黙って払わせろ」


 有無を言わさぬ圧に、最終的にはお会計はできた。


「今回の食事代、経費にいれてくださいね」

「分かっている」


 ノウェムさんにそういうと、私たちは戦艦へ移動し、乗り込み、火星のワープ許可範囲にまで上昇してからワープして家に戻った。


 ちなみに、火星でご飯を食べたことをいったら、順兄さんと涼兄さんからどんな高級飯かと聞かれたので家庭の味の定食と答えた。

 がっかりした様子だったが、ノウェムさんから後で「火星フグ」なる無毒化されたフグがあり、ブランドになっている、そのフグの料理も出てたと言われた。

 はい、知ってます。

 食べました、美味しかったです。


 そう言えば薄いお刺身でたな、かなり美味しかったし歯ごたえもあったしと思い返す。

 地球でも高値で取引されているらしい、何か私より世間知らずと思いきや結構知ってる?


 後日、その火星フグがご夫妻からレティシアさん経由で届いた。

 なお、その後一週間ほど「誰が捌くんだ問題」で社内会議が紛糾した。

 だが、一週間後。

 まだ決まっていなかった。

 本当に、なんでじゃ。






はい、実は碧はブラックカードを持ってません。

持ってても、使い所が分からないだろうから護衛のノウェムにレティシアが持たせました。

火星フグは、とある漫画で山の中でフグの養殖をしているというのを参考にして思いつきました。

他の魚などもきっとブランドになっていると思います。


ここまで読んでくださりありがとうございました。

次回も読んでくださるとうれしいです。

2026/05/28加筆修正しました。

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― 新着の感想 ―
買い物ではなくお食事でブラックカードでしたかー。うーん、惜しい…のか??そして、高級料理店でもなく家庭料理、うん。やっぱり惜しくもなかったですわ〜。ブラックカードだけは合ってたけど、その使い方が合って…
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