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21.花屋で出会う

王城でオリヴァー殿下と別れた次の日、今日も王城に出向こうとしたが、王子に会う……しかも案内してもらうのに手土産もなしってどうなんだ?まぁ手土産って言うか、お礼の品に近いけど。


でもなにかをあげるとして何渡せばいいんだ?

花束?宝石のついた装飾品?シンプルにお菓子とか?この世界のプレゼントが分からない。


でも王子だしな……お菓子は既製品であってもまずいか?宝石とかも自分で買えるだろうし……。


花束……花なら、喜んでもらえるか?あんまりセンスはないけど、お店の人に手伝ってもらえば大丈夫だろう。

そうと決まれば、街に行ってみるか。今日買いに行って、明日にでも王城に行こう。


頭の中で渡すものを考えた俺は、支度をして街に下りた。


___________________


ここか。街の花屋。王子に渡す花って貴族御用達の花屋とかで買った方が良いのかもしれないけど……花束1つのために呼びつけるのもな……。

まぁオリヴァー殿下は挨拶とかも省いていいって言ってたし、安物だったとしても怒ったりしないだろう。いざとなれば顔で誤魔化そう、うん。


でも綺麗な所だけどな。花の種類も多いし。

入っていくと、「いらっしゃいませ!」という元気な声は聞こえたものの、他の客を担当しているのか店員が出てくる気配はない。


仕方ないので1人で周りの花を観察していると、後ろから誰かに声をかけられた。


「なんの花をお探しですか?」


この質問……お店の人か?

そう思い後ろを振り向くと、フードを被った少し怪しげな人がそこにはいた。

「あ、もしかして、花束をご希望ですか?」

怪しげとは言ったものの、物腰柔らかで人の良さそうな雰囲気が漂っている不思議な人に見える。


『……えぇと、貴方は?』

俺が少し間を置いて尋ねると、彼は焦ったように口を開いた。

「すみません……!私は………ま……マット、です」

彼は名前を言うのを躊躇ったあと、遠慮がちにそう言った。


『マット……さん?』

「いえ、呼び捨てで大丈夫ですよ。さん付けはちょっと、違うので」

マットさん……もといマットがそう言うので、呼び捨てにさせてもらうことにする。俺の名前も言っておいた方が良いよな?


『じゃあ、マット。俺はアルバート。なんで俺に声を?』

家名を言わなくてもバレるだろうけど、一応家名は伏せておく。


「ああ……私、植物が好きでして、実家で育てたりなんかもしているんですよ。それでこの店にはよく来るんですが、入り口近くできょろきょろと花を見つめる貴方を見かけたものですから、ついアドバイスをしたくなって……」


なるほど。花の知識が多いだけに、目の前で花を見ながら悩む俺を放っておけなかったと。

…………え、ただの良い奴では?


『そうか……お前の言う通り、花のことはよく分からなくてな。今度花束をお礼の品として渡したいんだが……なにか決まりはあるのだろうか?』

俺がそう言うと彼は顎に手をあて思案して、

「そうですね……この国では花束の色で意味が変わってくる風習があります。」

そう教えてくれた。


『色が……へぇ、どんな種類のものが?』

という俺の質問に対し、マットはすごく丁寧に答えてくれた。本当に性格いいなこいつ。

「はい。黒は醜悪、紫は嫌悪、黄色は感謝、緑は親愛、青は尊敬。ピンクは告白の意味合いで使われることが多いです。赤は恋人に愛を伝える際に。」


『……なるほど。黒と紫はなにが違うんだ?』

醜悪と嫌悪って、言い方はともかく嫌いってことだよな?なんで別にされてるんだか。

「そ、れは……紫は性格的に苦手な人に渡すものですが、黒は……顔の醜い人に嫌がらせとして押し付けるものなんです。そういう違いがあって」


は?なんだよそれ。最低だな。

花束嫌がらせで押し付けるとか聞いた事ないぞ!しかも黒色の花って品種改良とかしないと育たないんじゃないのか?わざわざ嫌がらせのために用意するとか暇人かよ!


『酷いな、それ。そんなことに使われる花も可哀想だ。』

俺がそう言うとマットは少し戸惑ったように言った。

「そ、そうですよね。貴方もそう思いますか。実際送り付けられても、良い気はしなかったですから……黒と紫の意味は、無くしてほしいですね」


この言い方……マットは送られたことがあるのだろうか?そりゃあ誰だってわざわざ嫌いだと言われたら、良い気はしないだろう。


しかし、こう説明を聞くと選ぶのが楽になるな。今回は案内してくれるお礼だから……黄色の花を中心に選べばいいんだろ?

分かりやすい意味があって助かった……。


リューとかと恋人になれたら、赤い花束も買いに来たりするのだろうか。その日が楽しみだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] また更新されて嬉しいです!癒し提供感謝であります!
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