小学生じゃ、ないです…
夏の大会が終わり、小紫を始めとする3年生方が引退した。
新しいキャプテンには緑谷が選出された。
次の大会は丸一年後だ。現実の高校野球では秋の大会、そこで勝ち抜けば春の甲子園という流れなのだが、熱プロ11において大会は夏の大会しかない。
つまり、泡沫の夢に勝つチャンスは2回。
これから一年間、しっかり準備をして望まねば‥‥
僕自身もそうだが、チームの戦力を底上げすることが何よりも重要になってくる。
今のままでは、戦力差がありすぎてとてもじゃないが勝負にならないからな。
なので‥‥
友情イベント→固有練習→選手覚醒
といった感じで、どんどんメンバーを強くしていこう。
問題は、友情イベントを起こせるほどメンバーと仲良くなれるかだな。
ルナちゃんの時は、僕自身が元々ルナちゃん大好きだったから、どんな罵声を浴びせられても食らいついていけたが、他のメンバーに対してそんなガッツ見せられるかなぁ‥‥わて、人見知りやねん。
って、いかん、いかん!!!そんな弱気になっている場合ではないのだ。元の世界に戻るには勝利しかない。くそったれな人生を逆転させるためにも、この勝負負けるわけにはいかんのだ。
賽はすでに投げられているのだから
ーーーーーーーーーーーー
今日から新チームでの練習開始が始まる。
泡沫の夢戦まで無駄な日は一日もない。
さて、誰から攻略…もとい、一緒に練習をするか…
やはりキャプテンの緑谷か、投手力アップを狙って変木という手も…
「あ、あのぉ……」
ん?今誰かに呼ばれたような…
後ろを振り返るがそこには誰もいない。
………気のせいか
さて、早くグラウンドに向かわないとな…
「あっ、あのっ!!!」
えっ!?やっぱり聞こえる。
誰なの?ねえだれなのよ!?
360度必死に見回すが…誰もいない
こわい、こわい、こわい
獅子に立ち向かうほどの勇気を持つ尾間加瀬といえども、実体のないものにはめっぽう弱いのだ。
祟られたら……いやじゃん?
「こっちです、こっち!!!」
声が下から聞こえていることに気づいた。
目線をパンズダウンすると
小っちゃくて可愛い女の子がぷくーっとほっぺを膨らませて僕を見ていた。
身長は…140センチくらい。小学生かな?
「あれぇ、どしたのかなぁお嬢ちゃん。お母さんとはぐれちゃったの?じゃあ、おじさんと一緒に職員室まで行こっか。あ、変なことは絶対しないよ?おじさんは紳士だからねぇ」
「え…あのぉ…へんたいさんですか?そもそも紳士と名乗る人に紳士は一人もいないです。それと!わたしは小学生じゃないですっ!!!こども扱いしないでください!!!ますたー!!!」
…………ん、マスター?
「えっと……君はいったい…?」
小っちゃい女の子はぷんすか怒りながら
「もぉ!!!なんでわからないんですかっ!すずかぜちゃんは一発で分かったっていうのに!わたしですよ、わたし!!!」
一応、心当たりはあるが……
「もしかして…小梅か?」
小梅は弾けるようなお子様スマイルで
「はいっ!こうめですよ、ますたー!!!」
どういうことやっ!一体!!!




