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カエデ  作者: アザレア
討滅戦~新たなる力解放~
37/86

"リンドウ"協会

ヴァレアが呼んだ協力者、シスイ・リア。シスイはディーナ達が来るのを待って来たらヴァレアの元に案内するようだった。


「シスイって呼んだらいい?一緒に戦うって事は貴方も"リンドウ"よね」ディーナはシスイからは一切"リンドウ"としての覇気が何も無いことに改めて"リンドウ"かどうかを聞くと「はい~わたくしも"リンドウ"のお一人です~皆様のようにとってもお強いお力を持つわけではありませんが、ヴァレア様に協力して欲しいとお言葉を頂いたので今回超大型"マリー"討滅戦に微力ながらお力を添えたいと思います~」ゆっくりとした口調であまり緊張感を持ってない様子に見えてしまったディーナ。だがヴァレアから頼まれた"リンドウ"と言うので信頼には足る人物だと思い込んだ。


「シスイねぇ。悪ぃがあんまし名前を聞いたことがねぇ。アタシのリサーチ不足かもしれないが、ディーナとスイレンはどうだ?」チハツは名の知れた"リンドウ"であればある程度分かるがシスイに関しては何一つ分からなかった。


「私は分からなかったかな。そもそも"リンドウ"の名前自体あんまり覚えていないから」「申し訳ありませんが私もシスイさんの名前はご存知ではありません。私の勉強不足ですね」

二人もシスイの名前を知らなかった。ディーナはともかくスイレンは"リンドウ"の名前をある程度は勉強をして覚えているがシスイの名前は一度も聞いたことがなかったようだ。


「いえいえ~スイレン様が謝罪することはありません~未だに有名になっていないわたくしのお力不足ですから~」自分が非力だと言って名の知れていないと言ったシスイだが「それでもヴァレアが見込んでいるのは確かよね。半端な人はヴァレアの目にも留まらないから」「運が良かったからです~ヴァレア様からお声をかけられた時はすごく嬉しかったですから~」ヴァレアの話題になるとさらに穏やかな表情になり満面の笑みになるシスイ。


ヴァレアとシスイの関係を深堀しようと思っていたディーナだが今回は討滅戦が主題のためこれ以上は踏み込まなかった。


「…その前にシスイさん、超大型"マリー"討滅戦と言いましたがまさか今回の依頼とはかなり大規模なのでは」何も聞かされていなかったスイレンが超大型"マリー"と聞いて戸惑いを見せていた。


「なんだスイレン、お前何も聞いていないのか?ルムロ近辺に超大型"マリー"が接近してるらしいぞ。だからアタシ達を呼んだんだ。それにそこのシスイは知らんが全員二つ名持ちをな」


チハツが簡易的に説明するとスイレンは少し考える素振りを見せて「なるほど、ヴァレアさんが手紙ではありますが詳細を書かなかったのは何かしらで漏洩してしまったらパニックになる恐れがあるため。概ね納得は出来ますね」


スイレンはヴァレアの依頼文が届いた時、内容に少し違和感を感じていた。ヴァレアから送られてくる依頼文には基本的に状況や被害、"マリー"の目撃証言等が事細かに書かれているが今回の依頼文は『依頼だがある理由で詳しくは言えない。協会に到着次第詳細を直接言う』とだけ書かれた依頼文が来た。

いつもの依頼文では無い事に重大な依頼と思っていたスイレンだがチハツの説明で依頼文の件は理解した。


「それでは皆様をヴァレア様の元にご案内します~手続きは済ましてありますのでご安心を~私についてきてください~」シスイは手招きをして協会へ入るように促すと、ふとディーナの見て目線を下ろして紫黒の髪色の女の子を見つけて「おやおや~ディーナ様のお後ろにいるお方も"リンドウ"のお方ですか~?」ディーナ、スイレン、チハツの三人と聞いていたシスイだがもう一人いることは知らなかったため。


「あぁこの子は私の家族。ヴァレアも知っているから協会には入れると思うよ」自己紹介は自分の口で言うのにあえて名前は言わなかった。


シスイはディーナに近づいて少女の目線までしゃがんで「初めまして~わたくしシスイ・リアと申します~お名前を伺ってもよろしいですか~?」皆と変わらない優しく緩い口調で少女に話しかけた。


自分に話しかけられて少しビクッとなっていたが、ディーナの裾から手を離して少し間を置いて「ふぇ、フェリス、アスルロサです!よ、よろしくお願いします!」大声とはいかなかったがフェリスなりに精一杯の声でシスイに挨拶をした。


「フェリスさん~可愛らしいお名前ですね~こちらこそよろしくお願いします~」両手を合わせて笑顔のシスイ。シスイの笑顔としっかり相手に伝わったことでフェリスも安心してシスイに笑顔で返した。


「それではフェリス様も皆様とご一緒と言うことを"リンドウ"協会の関係者にお伝えしておきます~改めてわたくしにご同行をお願いします~」そう言ってシスイは協会の中に入っていった。


シスイにしっかり挨拶をしたフェリスは緊張が解けてその場に座り込んでしまった。ディーナは座り込んだフェリスを持ち上げて背中にフェリスを乗せた。

「お姉ちゃん?」「よく頑張ったね。ちょっと間だけど私の背中で休んで」ここまで知らない人や知らない土地、見慣れない人や建物にフェリスは疲れているのを察していたディーナはシスイに挨拶を出来たご褒美としてフェリスを自分の背で休ませることにした。


「お姉ちゃん、ありがとう…お姉ちゃんの背中、暖かくて落ち着くよ……」かなり疲れていたのかフェリスはすぐに眠りについてしまった。「朝も早かったからよけいかな」


少し前まで挨拶するのも怯えていた少女が急成長している姿を見てチハツは「この子の成長を見届けられるなんて幸せな奴だな」と、言ってシスイの後を追って協会に入った。


スイレンも最初に出会ってからのフェリスと比べるとまだオドオドとしているがそれでも他人に対してハキハキとした言葉で挨拶する姿を見て「驚きました、初めて出会った頃よりも数段も見違えた姿でした。フェリスさんは日々成長しているだと改めて実感しました。ディーナさんがお傍にいることもあると思いますが」

スイレンもフェリスの成長に驚いていた。


「色んな人に出会って、少しずつでいいから踏み出して行けたらいい。フェリスのペースでいいから、この子がどんな風に生きていくのかを私は見届けなくちゃいけないからね。スイレンもフェリスには優しくしてあげてね」「もちろんです、私もフェリスさんの友人の一人ですから」二人は微笑み合って協会に入っていった。


----------


ディーナはフェリスを抱えたままスイレンとチハツと共にシスイの後について行くと、大勢の"リンドウ"が集まる集会所のような広間に来た。ある"リンドウ"は沢山の依頼紙が貼ってあるボードの前で一枚の紙を手に取りカウンターまで持っていき受付であろうスーツの女性に渡していた。またある"リンドウ"は仲間を募集して"マリー"に挑もうとしていたりと各々好きなように"マリー"の依頼や対策を取っていた。


四人を連れてきたシスイは振り返って「こちらでお待ちください~」と、言って小走りでどこかに立ち去った。集会所のど真ん中に待たされる三人。


「久しぶりねここに来るのは、事務所を建ててからはもう来ることは無くなっちゃったから」ディーナは過去にここで何度も依頼を受けていた。基本的に"リンドウ"の依頼はこの集会所に集まっていくため仕事が欲しい"リンドウ"にとってはうってつけの場所である。


「アタシは来ることはねぇと思っていたがこんな形で来るなんてな。だがここも"リンドウ"の奴らからの視線が鬱陶しいな」三人の二つ名持ちが一同に集まっている光景は他の"リンドウ"の目を奪っていた。


「少々仕方の無い事ではありますが、ここまで見られるとは少し恥ずかしいですね」注目を集める目線に少しだけ顔を赤らめるスイレン。「スイレンって最近忙しいの?エニーの一件からスイレン宛てに依頼が殺到してるって聞いてるけど」

「あらから時間も経って以前に比べれば落ち着きました。二つ名を貰って間もない頃に国の依頼をこなしたことで私の知名度が上がりましたので依頼が沢山来ています。ですが今の内に依頼を沢山こなしてしっかりと経験を積まないといけないので」


「真面目ね~少しは肩の荷を下ろさないと体を壊しちゃうよ」多忙なスイレンの体を心配するディーナ。「お気遣いありがとうございます。さっきも言った通り今は落ち着いていますのでご安心ください。

ですがディーナさんも依頼に関しては個人で依頼を受けるのは大変なのでは?こちらからの依頼を受けることは無いのですか?」


逆にスイレンはディーナの事務所の心配するとディーナは「ヴァレアがたまに依頼を持ってくるけど、こっちに来るのはもういいかなって。そもそも私が事務所を建てたのは…」事務所を建てた経緯を話そうとすると、小走りでこちらに来たシスイ。


「お待たせしました~"リンドウ"協会の現会長であって沢山いらっしゃる"リンドウ"の中でも最強の実力をお持ちになさるヴァレア様でございます~」シスイは一人パチパチと拍手した。その後ろから少し不服そうな顔をしているヴァレアが歩いてきた。


ディーナ達に合流したヴァレアは小さくため息をつくと「その紹介をしかたはやめてくれないか?」シスイの主張の強い紹介に断りを入れたヴァレア。「どうしてですか~?わたくしはヴァレア様の魅力を皆様にお伝えしたかっただけなのですが。それに全て事実ですよ~」「ここにいる三人は私の事を知っている、紹介は不要だ。それに全てが全て事実とは限らないぞ」


ヴァレアが来たことにより集会所はどよめきを隠せずにいた。「ディーナにスイレン、チハツとヴァレア?こんな面子が集まるなんてそうそう見れないぞ」「二つ名持ちの三人と会長のヴァレア…一体何が起ころうとしてるの?」

四人が集ったことによりただならぬ事件が起ころうとしているのが瞬時に分かった"リンドウ"達。


「やっぱり貴方の影響力って言うのはすごいものね。来ただけでこんなにも皆がざわついてるんだから」「騒々しくなってきたな、ここで話し合う訳じゃないだろうな?」騒々しい場所になり超大型"マリー"討滅戦の話をここですればさらに大騒ぎになると分かっているチハツ。


すると、ヴァレアはディーナの背中に眠っているフェリスを見るとすぐさま受付の女性に話しかけに行き少し経つとディーナ達の元に戻ってきて「部屋を手配した、そこでなら静かに話せる。それにそこならベッドもある、フェリスをゆっくりと寝かせてやれるだろ」わざわざベッドのある部屋、休憩室のような場所を手配したのはヴァレアなりの気遣いだった。


「ありがと、静かな場所ならフェリスもゆっくり出来ると思うから」ヴァレアに感謝したディーナは早速集会所から離れようとすると「それと、フェリスに会わせたい人が来ている」「えっ?」ヴァレアがそう告げるヴァレアの後ろから走ってきた女性が。


「皆さんお久しぶりです!」その姿を見たディーナとスイレンは驚いて「た、タイムちゃん!?」こちらに来たのはかつてディーナ達が救った国、エニーの国長であるタイムが"リンドウ"協会に来ていたのだ。

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