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カエデ  作者: アザレア
討滅戦~新たなる力解放~
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"リンドウ"集結

超大型"マリー"が接近しつつある。ヴァレアの言葉に二人の"リンドウ"とケイは驚きを隠せなかった。


「超大型"マリー"?まさかこんな穏やかな地域に生息している訳がないんじゃ」ディーナは今回の超大型"マリー"が来ることはかなり異例だと思っていた。


「前例のない事ではあるが事実だ。先程"マリー"調査員が報告に来たが既にここよりそう遠くない街が被害にあっている。街のほとんどが壊滅する程にな」通常の"マリー"よりも規格外の力を持つ超大型"マリー"。その危険性を説明するヴァレア。


「先んじて街に住んでいる人はルムロに避難させているから死者自体はそう出ていないよ。でも、あくまで避難を希望した人だけだから街に残っている人は少なからずいた。その人達はもう…」ネルルが最小限に抑えたものの、救える命を救えなかったことに顔を曇らせる。

住む場所が違えば環境が変わる。それを拒んだ人達は街に残った、"マリー"の脅威をがどれほどなものかを分からなかった。街が壊滅するその一瞬で残ったことに後悔する人は絶えなかったはずだ。


「なるほど、以前に急遽移住者を受け入れたのはこのためだったのですか。しかし私は納得いきません、ネルル様の側近である私に伝えないのはどうしてですか。私もこの事を知っていれば何かしらは対策を立てられるのではなかったのでは」ケイは何一つ事前に教えられなかった超大型"マリー"接近に納得出来なかった。


「"マリー"が襲撃されているのにケイにはよりプレッシャーをかけたくなかった。騒動がある程度終息したら皆に打ち明けるつもりだったの、だから私とヴァレアだけが情報を共有して"マリー"の動向を確認してもし何かあったらヴァレアが一人で行くつもりだった」

ここでヴァレアも説明を補足した。「現状、超大型"マリー"の進行は遅い、ルムロに襲撃する"マリー"を討伐してからでも遅くはないと考えていたが予想以上に息を潜めていたからな。こちらの動きも遅くなった、猶予自体はまだあるが準備に時間をかける訳にはいかない。だからこそ私とネルルだけで水面下で動いていた、お前達に悟られるとルムロ襲撃に集中出来なくかるかもしれなかったからな」

ヴァレアはディーナとケイには目の前のルムロに襲撃する"マリー"だけに一旦は集中して欲しかったために、あえて情報を隠していた。そちらの方が迅速に"マリー"を討伐出来ると思っていたからだ。


一通りの説明を聞いたケイは少し黙り込んで「…確かにお二人の言い分は分かりました。まだ納得出来ない所もありますがそれ所ではありません。今は作戦が優先です」緊急事態の状況にケイは口を挟むことはなかった。

「ありがとうねケイ」ネルルが感謝を述べた。


「それでどうするの?作戦って言っても私達だけで太刀打ち出来る規模じゃないと思うけど」相手は超大型"マリー"、一つの街を軽く壊滅させてしまうほどに脅威。ディーナでも一人で立ち向かうのは無謀だと分かっていた。


「言っただろ、水面下で私達は動いていたと。だが今ここで詳細な作戦を伝えても意味がない。ディーナ、チハツ、明日協会に来い。既に協力者にもこの事態を話してある、全員が集まってから作戦を伝える」ヴァレアはディーナ達が知らない所で密かに声をかけていた人もおり今回に関わる人達を集結してから作戦を伝えるようだ。


「おいおい、アタシにも来いって言うのか?そりゃ"リンドウ"の一人だが今の専門は鍛冶屋だ。アタシが戦力になるとは思えないが?腕も訛って仕方ない」前線からは退いているチハツは自分は実力不足と言うがディーナは「あれで訛ってたの?本気の実力ってもっと凄いんだ…」改めてチハツの実力は底なしだと思っていた。


「いやチハツには別の事を頼みたい、少女を頼みたいと言ったら来てくれるか?」ヴァレアの一言にチハツは眉を上げた。そして同行の意味を知ると腕を組んで「そういう事か、なら仕方ない。少しだけそっちに行ってやるよ」協会に行くことを了承した。


ディーナも二人のやりとり聞いて一人で理解して「なるほど、確かにそれが一番ね」二人共理解しているが未だに何の話か分からないフェリスはずっとキョトンしていた。


「ディーナもいいな、一つの依頼だと思えば足取りが軽いだろ?」「別にそんなこと思ってもないし、ルムロとかここらの地域が危険にさらされるのなら私は行くよ。それに、守らなきゃいけない人も増えたしね」

ディーナの言葉にヴァレアは微かに驚いた表情になった後に微笑んで「そうか、もう昔のままではないか」誰にも聞こえない声で言うと「何か言った?」微かに少し聞こえていたようだ。


「いや、気にするな。今日は"マリー"との戦いで体も疲れているだろう?明日に備えてしっかり体を休めておけ。私は先に協会に戻っている、"マリー"の状況を把握しておかないとな」

ヴァレアはネルルと目を見合せて頷いた後に部屋を後にした。


「忙しいヤツだな、先急いでも休息ってのは必要だろ」「まぁヴァレアだからね。正義感が強い人なのよ」

ディーナとチハツがヴァレアについて話しているとネルルが「それじゃあディーナとチハツに後で報酬を渡すね。国を守ってくれてありがとうね、今日はお疲れ様。それでも明日からまた討伐戦が始まるけど無茶をしないでね、私の友達が減ったら嫌だから…」大規模な討伐戦、それは命を賭した戦いになるかもしれない。ネルルはディーナとヴァレアが心配だった、自分の友達が"マリー"の手によって奪われてしまうかもしれない。


そんな不安げなネルルに対してディーナは「無茶をしないと倒せない相手かもしれない、それでも必ず生きて帰るよ」と言ってフェリスの頭に手を置いて「この子をほおってどこかに行けるわけないからね」優しくフェリスの頭を撫でて穏やかな微笑みを見せるディーナ。

それに反応するようにフェリスもディーナに掴み手をぎゅっと握りしめた。


ネルルは二人の絆を見て「そうね、貴方にはフェリスがいるもんね。ごめんなさい、私が不安になってても仕方ないね」「友達を想う気持ちは大切だよ」


不安な気持ちを頭を左右に振って振り払ってネルルは「改めてお疲れ様。ディーナとフェリスがルムロに来て泊まっていくならここに来てね。今泊まっている部屋をディーナとフェリス専用の部屋にしておくからいつでも来てね」

ディーナとフェリスを友達として数多ある部屋を一つだけ二人の部屋にしたネルルに「気遣いありがとうね。それじゃあお言葉に甘えて今日も泊まらせてもらおうかな」明日また協会に行くにあたって事務所に戻るのは非効率だと考えたディーナは王宮に泊まるようだ。


「どうぞご自由に。ケイ二人に食事を用意させておいて」「分かりました」ケイは全員に会釈して小走りで部屋から出ていった。


「じゃあアタシは工房に戻る。時間が来たら呼んでくれ、一緒に行く方が都合がいいだろ?」「それもそうね。協会に行く時に声をかけるね」「おう、それじゃまた明日な」

チハツはネルルに向けて手を挙げて左右に手を振った後に部屋を後にした。


チハツのどこかに行く時の手癖のようで、ネルルは手癖を見て自分も同じように手を挙げて手を左右に振った。


「私達も部屋に戻ろうか。明日もまた大変な一日になりそうだからね」「うん!」フェリスは頷いた。「ネルルも今日はお疲れ様。王集会議もあって大変な一日だったけど今からはしっかりと休んでね」

自分に気遣ってくれたディーナに頷いて「そうする予定よ。大丈夫、殿下の私でも休息は大切だって知ってるから」

ネルルの意思も聞いてディーナとフェリスは二人揃って手を振って部屋から出て自分達の部屋に戻った。


「さすがに私も疲れちゃった。でもとりあえずは国を守れて良かった、皆に感謝しないとね。そうだ、休む前に…書類を確認しないと……」

立ち上がろうとしていたが座りながらそのまま眠りについてしまった。ルムロの危機や王集会議、精神的に疲れることが多かった一日だったがなんとか全て上手く行った安堵から気が抜けて眠ってしまった。


深い眠りについたネルル。少し時間が経った後にいつの間にかネルルに暖かい毛布をかけて眠りを妨げないように見張るケイの姿が。


「貴方を守るのが私の使命です。なので安心してお休み下さい、寝顔を見られただけでも私は幸せです」


その後、起きたネルルはまだ手を付けていない仕事を速攻で終わらせて今度はベッドで眠りについたのは別の話。


----------


翌日、朝早くに珍しく起きて出かける準備をしていたディーナにフェリスは驚いていて「お姉ちゃんって早く起きれたんだね。お昼からしか目を覚まさないと思ってた」「…どういう意味それ?」ディーナは朝に弱いのではなく昼以降しか起きられないと勘違いしていたフェリスだった。


その後王宮から出てチハツを誘ってルムロからさほど遠くない協会に向かった。

そして、電車で揺られること十分と徒歩約五分後に協会と呼ばれる場所がある街"リュウサ"に着いた三人。


リュウサはルムロの王女であるネルルが管理する街。そのためルムロの国として扱われるがルムロ本国とは少し距離が離れているためネルルも全てを管理しきれていない。そこでリュウサにはある協力者に管理を任せてネルルの管轄下ではあるが殆どはその協力者に一任している。

街として規模は他に比べて狭く住人もそこまで多くない。だが協会が呼ばれる建物があることにより毎日のように"リンドウ"が行き来しているため、住人のほとんどは"リンドウ"のようだ。


フェリスは街に来て武装している"リンドウ"達が多数いることに驚きとディーナ達以外にも"リンドウ"が沢山いる光景を初めて見ていた。


「すごい、皆お姉ちゃんやヴァレアさんみたいな物を持っている。お姉ちゃん、ここってフェリスが来ていい場所なの?」完全に自分は場違いじゃないかと不安になるフェリスだが「"リンドウ"はいっぱいいるけど街自体は普通だから。そんなに不安にならなくても大丈夫」フェリスを安心させるディーナ。


「にしてもやっぱ視線は感じるな、アタシもアンタもな」チハツは目線を左右に動かすと、"リンドウ"の中でも異質の属性を持つディーナと前線には立っていないが確かな実力と二つ名持ちのチハツが共にここに来ていることを物珍しそうに見る"リンドウ"が後を絶たない。


「仕方ないよ、私は自分に関わる"リンドウ"しかあんまり分からないけどチハツも"リンドウ"としては有名だったんでしょ?私もそれなりに有名人なんだから。二人揃うなんて何かあるって暗示させてるもんでしょ?」「まぁそれもそうか。ならさっさと行くぞ、ヴァレアが待ちくたびれそうだからな」

ディーナは頷いてフェリスと手を繋いで協会がある建物に向かった。


歩いている途中もディーナとチハツの二人が並んで歩いている事に視線を向ける"リンドウ"達。時にはディーナに話しかけてサインを求められたり、勝手にライバル視する"リンドウ"もいた。だがディーナは自分と関わらない"リンドウ"にはそこまで興味が無い。フェリスと言う少女がいる中でなるべくフェリスに近づく輩を少なくさせる理由もあった。「変な人がフェリスにいらない知識を教えさせないように私が守らないと」と、姉と言うか母のような気持ちが湧いていた。


歩くこと数分、ディーナ達はある建物の前に着いた。木造建築だが普通の家に比べればかなり大きい、"リンドウ"が沢山出入り出来るように造られているのか。"リンドウ"達が建物に入ったり出て行ったりしてる所を見てフェリスはここが目的の場所だと分かった。


「ここが目的の建物、"リンドウ協会"って呼ばれる"マリー"の依頼を基本的に請け負って派遣された"リンドウ"が依頼をこなす、会社みたいな協会だよ」

"リンドウ協会"、それは蔓延る"マリー"を討伐する依頼を受けて適切な"リンドウ"を送り"マリー"を討伐する。個人の事務所を開いているディーナのような"リンドウ"に直接依頼を頼む以外は基本この協会に依頼を送る。すると適切な"リンドウ"か依頼をこなし報酬を要求する"リンドウ"かどちらかが依頼現場に向かう、これが"リンドウ協会"の実態である。


「それじゃあ、ヴァレアさんが依頼を頼むのってここからの依頼からってこと?」「そういうことになるかな。私が適切な"リンドウ"になることってそこそこ多いから、属性的に」他の"リンドウ"では難しい依頼はヴァレアがディーナの事務所に行って依頼を渡す。ディーナの全ての属性を扱えるのは言うなれば"マリー"が持つ属性のほとんどの弱点をつける。優位に立てる事をヴァレアも分かっており、ディーナに依頼を送ることがあるのだ。


「とりあえず中に入るか。手続きとかは…」チハツが"リンドウ"の証明書を探していると「ディーナさん!フェリスさん!」二人を呼ぶ声が聞こえた。後ろを振り返って先を見ると走ってこちらに来る"リンドウ"が。

「あれ、スイレン?」そこには以前エニーと呼ばれる国を共に救ったスイレン・メリアージュが。


二人元まで走ったスイレンは嬉しそうな顔で「お久しぶりです。またこうして共に戦えるなんて光栄です!」スイレンはディーナ達がここにいる事を知っているようだがディーナは状況を整理しつつあった。

「ちょっと待ってね…昨日協力者がいるってヴァレアが言ってたけどもしかしてスイレンの事だったの?」「協力者?いえ、私はヴァレアさんにある依頼があると聞いてこちらに赴いた次第です」「依頼の内容とかは聞いてないの?」

「はい、依頼内容はリュウサで伝えると聞いていてディーナさんともう一人の"リンドウ"も一緒と聞いていました。ディーナさんとフェリスさんに会える事を楽しみしていました!」


スイレンに依頼内容を伝えなかったヴァレアの真意を考えるディーナは「現地で伝えた方が大事になる心配もない、多分情報が漏洩するのを防いだのかな」と、解釈した。


「スイレン、さん?」エニーで共に過ごしたスイレンがここにいることにまだ理解しきれていないフェリスにスイレンはフェリスの目線まで腰を曲げて「フェリスさんもお久しぶりです。お元気にしていましたか?」改めてフェリスにも挨拶をするスイレンの事をようやく認識して「スイレンさん!スイレンさんもお仕事?」「そうですよ、今回もディーナさんとご一緒です」


フェリスとスイレンの再開で話に花を咲かせていると「あぁあったあった。いるかこの証明書?悪ぃなディーナ、待たせて…ってスイレンじゃねえか、何やってんだこんな所で?」ずっと証明書を探していたチハツはようやくスイレンを見て驚いていた。


チハツの声がしてフェリスと話していたスイレンも近くにいたスイレンに気がついていなかったようで「えっ、チハツさん!?何故リュウサに、もしかして"リンドウ"としての活動を再開するのでは…」「んなわけねえだろ。アタシ達もヴァレアに呼ばれたんだよ」「ヴァレアさんに?」

どうやらスイレンとチハツは二人共面識があったようだ。


すると"リンドウ協会"から一人の女性が出てきて四人を見て微笑んで「あらあら~?皆様もう集まっていらっしゃいますね~。どうぞこちらに~ヴァレア様がお待ちですわ~」語尾を伸ばし穏やかな口調の女性が四人に話しかけた。


ディーナは穏やかな口調の女性に「私達がここに来るのを待っているってことは貴方がヴァレアに呼ばれた協力者?」事情を知る人という事で恐らくは協力者だと考えたディーナだが本当に"リンドウ"かどうかも分からない程の穏やかな顔立ちに少しだけ疑問を持っていたが女性はディーナの質問に答えた。


「はい~私が今回皆様と共に戦わせていただく事になりました~。名前はシスイ・リアと申します~ご贔屓をよろしくお願いします~」

彼女の名はシスイ・リア。超大型"マリー"討滅戦において協力者は彼女だった。

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