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001 異世界へ

「集合!!」



陽が沈み、暗いはずの学校のグランドは、煌々と光るナイター照明で明るかった。

上級生の掛け声により、グランドにいた面々は声をかけた人の元まで走っていった


「明日から期末テスト期間だ!その間は知っての通り部活は休みになる。だからと言って、怠けるなよ!」


グランドにいた面々は整列をして、正面に立つ青年を見ていた。


「……テストか―――…」


少年は正面に立つ青年を見ながら、はぁ…とため息を着いた


「なぁ、杉浦」

「ん?何だよ、廣瀬」


隣にいる杉浦という少年に話しかけた。


「やってるか?」

「やってる様に見えるか?」

「ははっ、見えねぇ――ww」

「まぁ、やってんだけどな」


意外な杉浦の答えに少年は周りを憚らず「うっそぉ!!?」と声を荒げた

少しざわざわとした声が一瞬で止み、正面に立つ青年が少年に声をかけた


「おい廣瀬!お前、今回も赤点取ったら夏休み返上で補習だからな」

「うっそぉ!!!??」


さっきよりも大きく驚愕をしている少年に青年は小さく笑って続けた


「精々頑張れ」


―― ガ――ン…


と言う効果音でもついているかの様な少年を見て、周りにいる面々は笑っていた。

少年は涙目になりながら、隣にいる杉浦に声をかけた


「す、杉浦ぁ……」


まるで子犬の様に目をうるうるさせながら見てくる少年に杉浦はため息を付いた。


「……ったく。明日、友田たちと俺ん家で勉強会するけど?」

「行く―――!!!」


一瞬で顔を笑顔にさせ、まるで尻尾を振っているかのように喜ぶ少年


「……はぁ、…頼んだぞ、杉浦」

「…うぇ―――い…」


青年の言葉に、杉浦は明日の勉強会が成功することを祈った。







「スーパームーン?」

「そうそう!」

「何だその美少女戦士的なのは…」


グランドの片づけを終えて帰る道すがら、少年が言った言葉に杉浦は疑問を投げかけた


「ちげーよ!セーラー服の話じゃなくて、月が地球にめっちゃ近づいて、めっちゃでっかく見えるんだよ!」

「へぇー、それが昨日だったのか?」

「そうなんだよ!めっちゃでっかくて、凄かったぜ!」


テンション高く話をする少年に、杉浦はへぇーっと余り興味を示していなかった。ただ「何でコイツ、その記憶力を勉強に活かせないんだろう?」と思いながら見ていた。



―― チャリン…


「ん?」


少し高い鈴の音が聞こえた。


「どうした、廣瀬?」

「いや、さっき…誰かに呼ばれたような…」

「え?」


キョロキョロとする少年に、杉浦も周りを見る。

でも、あるのはいつもの帰り道。

街灯の明かりと、昨日より少し欠けた月が二人を照らしていた


「誰もいねーよ?」

「んーー…気のせいかな?」

「それよりも、早く帰ろうぜ。俺、腹減った」

「おれもハラヘッター!」


汗まみれの泥だらけの二人は、夜道を歩いて帰って行った。

閑静な住宅街、照らすのは街灯と少し欠けた月


―― チャリン…


少し高い鈴の音がもう一度聞こえ、街灯の明かりの下には一匹のネコがいた。












――――――――――



―― コンコン


「おい、まだ寝てんのか?」


ドアをノックして入って来た青年は、ベッドで大の字で寝ている少年に声をかけた


「ぐぉ―――…ぐぉ―――…」

「おい、起きろ!」

「ぐぉ―……んぁ、…兄…ちゃん?」


眠たそうに聞き返してきた少年に、青年はため息を付いた


「お前、俺の英和辞典持って行ってるだろ?」

「え?…あ――…そうだっけ?」

「俺の元にないって事はそうだろうが。…どこにあんだよ?」


少年は起き上がり自分の勉強机を見ながら、首をかしげる


「あれ?…ないなー」

「ないなーじゃねぇ、探せよ」


勉強机の引き出しや近くの棚を軽く探してみても何もない。


「ってか、お前の机、全然教科書もノートもねぇな」

「まぁな、全部学校置いてるから」

「お前は……」


青年は呆れてため息をついた


「じゃあ、多分学校だな……。明日使うから、今日ちゃんと持って帰って来いよ」

「わかったー」


少年は、軽く伸びをして着替えを始めた


「ってか、今日は朝練ないのかよ?」

「テスト期間入ったから、朝練もねぇんだよ」

「あぁ、なるほどな」


青年はそう言うと、少年の部屋を出て階段を下りて行った。

少年は臙脂色のジャージを履き、白地に首元が同じく臙脂色のTシャツを着て、同じ臙脂色のジャージに袖を通した。


「あ、今日服装チェックあるのか」


スマホを見ると、クラスの友達――杉浦から連絡が来ていた。

ハンガーに掛かってる黒い学ランとスラックス、Yシャツをいつものエナメル性の大きめのバッグに詰め込む。


「持つべきものは、やっぱ杉浦だな!」


階段を下ってリビングに行くと朝ご飯が出来ていた。

それを食べながら、母親に今日の勉強会の事を話したりしながら、準備を終え少年は玄関からリビングにいる家族に声をかけた


「行ってきまーす!!」


少年の元気な声に、家族のいつもの声が返って来る。

家を出ると、隣の家のおばあちゃんが箒で掃いていた


「トミーおばあちゃん、おはよう!」

「あら、おはよう…今日は遅いのねぇ」

「今日からテスト期間なんだー!」

「そう、頑張っといで。…これ、あげるね」


そう言って、おばあちゃんはポケットに入ってた飴を渡した。


「ありがとー!」


少年は手を振りながら歩いて行く



―― チャリン…


「ん?」


昨日の夜と同じ鈴の音が聞こえて、少年の足が止まった。

少年は周りを見渡す


「にゃーん…」

「…ん?」


声のした方を見ると、塀の上からこちらを見下ろしているネコがいた。

黒に近いぐらい濃い灰青(グレイッシュブルー)のネコ


瞳は瑠璃色をしていた。


―― チャリン…


「この音、昨日も聞こえてたけど…お前だったのかー!」


合点が言ったかの様に笑う少年


「そういや、お前この辺じゃ見ない顔だなー?」

「にゃーん」


ネコはぴょんっと塀から飛び降り、少年の腕の中に納まった


「おっと!…ははっ、お前人懐っこいなー!」


顎の方を撫でると、ゴロゴロと喉を鳴らした。

人懐っこく艶やかな毛並み、大きくくりんっとした瞳、首には鈴の付いたリボンをしていた。おそらく、野良猫ではないだろうと思っていた。


すると、少し強めの風が吹き、木々がさわさわと揺らした


―― チャリン…


少し高い鈴の音が鳴り、ネコは少年の手から離れて、目の前に降り立った。


「…どうした?」


さわさわと吹く風


「にゃー」


ネコの声がやけに脳に響く

歩き出したネコ、それを見ている少年


「にゃー」


止まって振り向いた


「…えっと、ついて来いってこと?」

「にゃーん」


「そうだ」とでも言うかの様に一鳴きしたネコを見て、少年は胸が高鳴った。


アニメや漫画でしか起こらないような出来事。


少年はネコについて行く。ネコもそれが分かっているかのように、離れたら止まって、また離れたら止まって待っていた。


少年はネコを全力で追いかけた。

そのまま追いかけて路地に出たら、大きなトラックのクラクションが聞こえた


「え?」


道の真ん中には、ネコが座ってこっちを見ていた。


「危ない!!」


考える間もなく、少年は飛び出して手を伸ばしていた。



―― チャリン…


「…ふむ、合格じゃ」


どこからか聞こえた声。すると、ネコを中心に辺りが眩しく光り出した。

少年は伸ばした手を止める事はなく、あまりの眩しさに目を瞑った。



―― きゅぽんっ



栓抜きが抜けるような音と共に身体が宙へ浮いた。

次の瞬間、重力を思い出したかのように身体が……落下していた


「……へ?」


目の前に広がるのは綺麗に澄んだ蒼い空と白いふわふわとした雲

それらが追い抜かれていく様に、どんどんと空と雲が遠ざかっていく


「うそぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!!」


そして、少年にとってはあまり馴染みのない浮遊感を感じていた


「ヤバいってヤバいってヤバいって!!おれ、スカイダイビングの道具なんか持ってねーし!!」


背中から落下していることに気付き、何とか後ろを振り返ってみた。

広大な緑が広がる大地を見て少し圧倒される


いや、そんなことより、ものすごい風圧が顔に当たって結構痛い


「ムリムリムリムリムリ―――!!!」


どんどん地面が近づき、「あぁ、もうぶつかる!!」と思い、目を思いっきり瞑った瞬間


「風よ!薫風纏いて舞い上がれ!『フェザーウィンド』!!」


少女のような声が響き、少年の身体は優しい風に包まれ勢いは止まった

…が、その位置から落ちた。

どしんっと、重そうな音が聞こえた瞬間、お尻に痛みが走る


「痛ってぇ……ケツが割れる…いや、もう割れた…」


お尻を摩りながら、ふと気づく


「って、……あれ?おれ、生きてる?」


何よりも痛みがあるのが証明かと思い、手を握ったり開いたりしている

そして、周りを確認すると、少し遠くに木々がある。ここは森の中でも少し開けた所の様だ。


「……何だ、ココ?…俺、ネコを助けようとして…えっと、それから…」


少年は少ない脳みそをフル回転させながら、自分の身に起こった事を思い出そうとした。


「ノアール先生、成功です!!」


声が聞こえた方を見ると、少女がいた。


瞳は透き通るような翠玉(エメラルド)

髪は金糸のように細やかで美しい金髪(ブロンド)

声は可愛らしくもどこか凛としていた

耳は左右にピンっと張って綺麗


見上げた少年の目には、下から覗く豊満な山二つ

綺麗にくびれたウエストに、バランスの良いヒップがあった。


ただ、少しだけ挙げるなら、太ももの肉付きが少しだけ良いだろうか?

いや、これも好みの問題だろう。


「にゃぁ」


もう一つ声が聞こえ、視線を落とすとそこには濃い灰青(グレイッシュブルー)のネコがいた。


「あ、あん時のネコ!!」


少年はそう言って、ネコを抱き上げた。


「よかった―――!!無事だったんだなぁ!!ホント、ビックリしたぜ!!」

「うむ、苦しゅうない」


へ?と少年は止まった。隣の少女を見ると、少女は首を振る。

それを見て、少年はまたネコを見た。


「なんじゃ、小僧?」

「ネネネネネネネネコが、しゃ………しゃべった――!!!!」


少年の声が辺りに響き、その声に少女とネコは耳を塞いだ。




そう、この少年 廣瀬勇樹の―――もとい、ユーキ・ヒロセの物語が今、始まった。







少なそうなら、修正込みで書き直します。

誤字脱字多いタイプの人間なので、報告して頂けるとありがたいです。

ただ、あえてしている所等ありますので、その場合ご容赦ください

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