それぞれの道
あのあとオレ達3人は場所を近場の喫茶店に移し、これからの行動について話あっていた
「さて、黒幕を掴んだところで……これからどうする?」
省吾が口火を切った
「まず今の私たち3人で実質戦力になるのはあなた達2人。わかってるとは思うけどたった2人で倒せる相手じゃないわ」
「それならアテがある」
あっち側の世界で出会った男
オレが呼び寄せた協力者、炎鬼 マイティ
「アテって神倉、力を貸してくれるヤツがいるのか?」
「あぁ」
それからオレはあっち側での出来事を一から話した
「………とゆう事や。その男、マイティとコンタクトを取るのを将吾に任したい。…やってくれるか?」
「僕はいいけど…面識のある神倉の方が事を進めるのには良いんじゃないか?」
「ヤツは"元の世界に戻ったときこの記憶は残らない"て言ってた。やからオレの名前とか伝えたら将吾でも大丈夫やろ」
「わかった、"white night"ってバーだな??」
「white night…"白夜"。素敵なネーミングセンスね。」
「眠らない夜…か。」
将吾は呟きながらケータイを取り出して場所を探しだした
「あ、見つけた。」
そのバーはちょうどこの前将吾がSCDの追っ手に狙われた歓楽街にあるらしい
「…やってくれるか?」
「余裕で。そういや神倉があっち側にいる間に能力もだいぶ使いこなせるようになったんだ。ここからなら単車でも出して走らせたら1時間くらいで着くさ」
「よし、頼んだで」
「で、私は何をしたらいいの?」
「実はもう1人協力してくれそうな男がいてるんだ。オレの後輩で世話してやってたヤツなんやけど」
「その子は能力者なの?」
「それはわからん。だから高島にはそれを確認して能力があるなら引き込んでほしい」
「仮に能力者だとして協力してくれる根拠はどこから来るの?たかが良くしてくれただけの先輩の為に命をかけるとは私には到底思えないけど」
「男ってのはそんなもんや。助けてもらったら次は助ける、義理には義理で返すってやつや。それにアイツは人情深くて義理堅い男の中の男や。オレの名前出したら喜んで力になってくれるやろ」
「そう、男は単純で良いわね。わかった、私の役目はその子の引き込みね」
「任せたで高島。そいつの名前は郷田力。隣町の工科高校の近くに住んでる。ケータイの番号教えとくから後は任せた」
「了解」
「で、神倉は何をするんだい?」
「オレは今から能力の特訓するつもりや。ほら、あのヒットマン倒した時の事覚えてるか?」
「ああ、死体が消えて塵になって…「そう、そこや。あれからオレの中に別の力をガンガン感じるんや」」
「つまり…ヒットマンの能力を吸収したという事?そんな能力聞いた事ないけれど」
オレは右の手を銃の形に模し、将吾の横のソファーの背もたれを狙って引き金を引いた
指先から力が放たれ、背もたれに1円玉程度の穴があいた
「音が出なかった…しかも声も出さずに撃てるなんて…」
「どや?使えるやろ??力こそあのヒットマンより弱いけど念じるだけで撃てるし」
「一体アナタの能力はどこまで強力なの?まるで限界がないよう…」
「ま、今はこんな所や。せやから今から猛特訓って事や。………さ、そろそろ各自行動に移ろか!!」
オレ達3人は店を出た
店を出ると将吾は能力を使って単車を作り出した
「じゃ、僕が一番距離的に遠いし先に出発するよ。じゃあ2人とも頑張って」
「ああ!飛ばしすぎて事故んなよ!!」
「相手が協力者だといって気を抜かない事よ」
将吾は笑顔で手を振ってクラクションを短く2回鳴らして出発した
「さーて、オレらも行くとしよか」
オレは手を挙げ高島と逆の方に歩き出した
すると突然服の裾を掴まれた
「………行くんでしょ?」
「え、どこにや???」
「白を切らないで。単純なアナタの考えそうな事くらいわかってるんだから…」
「…もう決めたんや。」
「また1人で無茶して。…私も力って子を引き込んだらすぐに向かうから」
そこまで言うと高島は俯いて哀しげな顔をした
「……………それまで何があっても生きてなさいよ。死んだりしたら………絶対許さないから………」
オレは高島の頭にぽんと手を起き、再び道を歩みだした