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Dreamer  作者: ジャムさん
12/20

Minority

ここがどこかもわからない、ただひたすら真っ黒な空間をさまよい続けていた

自分の姿も、五感も、何も存在しないその空間は自ずと"死"を連想させた


一体どれほどの時間こうしているのか

世界が消えたのか、あるいは己が消失したにすぎないのか

様々な感情が胸を駆け巡る


フラッシュバックとも思えるそれは、その時ふと現れた



胸を貫かれた女


燃える街


涙を流し、男の手を握りしめる誰か


血の滲んだナイフ


消えゆく世界...



莫大な景色、情報、想いが

脳に直接働きかけてくる


頭部に刺激を与える

魂の躍動を感じる

体中の血がたぎる



五感が戻るのを全身に感じた

己の存在が生まれた


次に感じたのは激しい頭痛

脳が莫大な信号を処理できず悲鳴を上げる

あまりにひどい痛みに耐えきれずその場で頭を抱え込んでかがみこんだ



「くっ!オレは…オレはっ!!」

次に目を開いた時そこに広がった世界は先程さまよっていた空間とは異なる世界だった

脳に直接響くような強烈な頭痛はいつのまにか消えていた


ここは全く見覚えがないが、どこかの商店街のようだ

真夏のような煌々とした日差しがアスファルトに反射している

それにも関わらず人影は1つとして見当たらない

不信感を抱きつつも辺りを散策してみることにした



商店街の筋に沿ってひた歩く

どの店も開かれているもののやはり客の姿は見られず営業している様子はなかった


まるで人だけが消え、街だけが取り残されかのようだった


その時ふいに背中に鋭い感覚を覚えて後ろから声を掛けられた



「騒ぐな。一言でも声を出したら命は無い」



聞き覚えの無い男の声が告げた

窮地に立っているにも関わらずやけに頭は冷静だった



「神倉潤で間違いないな?俺の言っている事で正しいなら黙って右手を挙げろ」



男の要求通り黙って右の手を挙げた



「よし。オレが道を指示するから黙って歩くんだ」



それから男の指示で商店街を歩いた

やはりこの男以外は誰もいない

この男の目的はわからないがグルで姿を隠しているとはやはり考えがたい


適当な道を進んだ後狭い路地に入った

路地を少し進むと明らかに今は使われていないであろう廃ビルの前で止まった



「ここだ。この最上階でボスが待っている。振り返らず、奥の階段から最上階まで行け。決して逃げようだなんて考えない事だ」



男はそう告げると背中に突き付けたナイフとおぼしきものを離した

素直に指示に従い、導かれるように階段へと向かった

最上階まで登ると事務室のような扉があった

迷いも躊躇いもなく扉を開くと事務机があり、その奥にワイングラスを片手にこちらに背を向け椅子に腰掛けている男がいた



「やっときたようだな、小僧」

「アンタは?」



男はこちらに体を向けた

体格の良い筋肉質の体つきに、カーキ色の軍服のような服装、白い肌に自然な黄金の頭髪に異国の顔立ちの30歳くらいの風貌

異国訛を感じさせない日本語で男は語り出した



「俺は今やただの少数派反抗組織の頭だ。お前が俺を呼んだんだ。」


「それはどうゆう…」


「簡単な事だ、お前のチカラが俺を必要としただけの事」



これ以上詮索するのは危険な気がした

この男の体中から殺気にも似た溢れ出んばかりの力がそれを物語っていた



「神倉潤とかいったな、テメェの望みはなんだ?」


「望み...」



望み…

オレがこれからすべき事…



「ぜんぶ終わらせたい。この力の元凶、黒幕をぶっ殺してぇ…」


「ククッ、大きく出やがったぜ。この国全てを敵に回してもか?」


「ああ、何があっても…終わらしてぇ!!」


「ガキが大した度胸してやがる。じゃあま…」



不意に先程よりも強烈な衝撃が脳に走って、意識が遠のきかけた

ふらついたものの壁にもたれ辛うじて体勢を保った

「おっと、もう時間があまりねぇみたいだな。じゃあ今から言うことしっかり頭に叩き込んでおけ。」


「……ああ」



意識がまた飛びそうだ

男の声に全神経を集中させた



「次に目覚めたらまずは俺を探せ、全てはここからだ。大抵は"white night"ってバーにいるからそこを当たってくれ。もし俺がいなくても"(もと);対能力者特殊部隊第0部隊、炎鬼 マイティに会わせろ"とでも言ったら通してくれるだろう。その時俺に今の記憶はねぇが、必ず力になってやろう」



「全ての始まりは…力の始まりは誰なんだ!?」

「変化の始まりは身近な所の変化からだ。思い返してみろ、力の始まりを」



身近な変化、力の始まり…

オレが力を得たときの周囲の変化…



「そして全ての元凶はこ……の………――――――」





その時世界は歪み、意識が遠のいた


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