魔法体系
魔法体系
第一章 世界を満たす根源物質
■ 魔素
世界に満ちる根源エネルギー。
生命。
大地。
大気。
植物。
鉱物。
あらゆる存在へ遍在する世界の根源物質であり、すべての魔法と魔導文明の源となる。
魔素そのものは、まだ特定の属性や性質を持たない未分化のエネルギーである。
そのままでは高度な魔法として利用できず、生物の体内に存在する魔力回路を通して術者固有の魔力へ変換するか、火、水、風、土の魔粒子へ分解して制御する必要がある。
生物は呼吸するように周囲の魔素を取り込み、魔力へ変換する。
魔法として使用された魔力は、やがて再び魔素へ還元され、自然界へ戻っていく。
また。
魔素には、互いに引き合う性質がある。
魔素濃度の高い場所には周囲の魔素が集まり、近くに一定方向へ流れる魔素があれば、滞留している魔素もその流れへ引き込まれる。
しかし。
自然界の魔素が一か所へ集まったまま、永遠に静止することはない。
地核から放出された魔素は、星の自転による影響を受け、常に世界を流動している。
一か所へ集まった魔素も、やがて星を巡る大きな循環へ取り込まれ、世界を巡ったあと再び地核へ帰っていく。
魔素同士が引き合う性質。
そして。
地核と星の自転によって生じる、止まることのない循環。
その二つによって、世界の魔素は流れ続けている。
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■ 魔粒子
別名。
エレメント。
魔素を構成する最小単位であり、通常魔法を成立させる基本的な存在。
魔粒子には、次の四つの基本属性が存在する。
* 火の魔粒子
* 水の魔粒子
* 風の魔粒子
* 土の魔粒子
現在広く普及している属性魔法は、魔素から必要な属性の魔粒子を抽出し、術者の魔力と魔法式によって制御することで発動する。
魔術研究の分野では「魔粒子」が正式名称とされているが、魔術師や学生の間では「エレメント」という呼称が一般的である。
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第二章 魔素循環
■ 世界を巡る魔素
世界中の魔素は。
常に一定の流れを保ちながら循環している。
その様子は、水が山から川へ流れ、海へ至り、蒸発して雨となり、再び大地へ戻る循環にたとえられる。
生物は周囲の魔素を取り込み、魔力回路によって魔力へ変換する。
魔法として使用された魔力は、やがて再び魔素へ還元され、自然界へ戻っていく。
植物。
大地。
海洋。
大気。
生命。
それらすべてが、魔素循環の一部を担っている。
世界そのものが。
一つの巨大な循環機構として機能している。
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■ 地核起点説
現在、魔術学界で最も有力とされている魔素循環理論。
惑星の中心に存在する地核には、地表とは比較にならないほど莫大な魔素が蓄えられていると考えられている。
地核から放出された魔素は、星の自転による影響を受け、大地、海洋、大気、生物を巡る。
魔法や生命活動に使われたあと。
魔素は再び自然界へ戻り。
長い時間をかけて。
地核へ帰っていく。
つまり。
本来の世界では。
星の地核が、魔素循環の起点であり終点でもある
と考えられている。
地核から放たれ。
世界を巡り。
地核へ戻る。
ただし。
地核を直接観測した者はいない。
そのため、地核起点説は現在も完全に証明された学説ではなく、世界各地で観測された魔素の流れを最も矛盾なく説明できる有力説として扱われている。
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■ 魔素濃度
魔素の量は、場所によって異なる。
魔素濃度が高い地域では。
* 魔法の威力が上昇する
* 魔鉱石が形成されやすくなる
* 精霊が生まれやすくなる
* 生物が魔法的な影響を受ける
* 魔物が発生しやすくなる
といった現象が起こる。
一方。
魔素濃度が低すぎる地域では、魔法の発動が不安定になり、魔石や魔道具の効率も低下する。
魔素には互いに引き合う性質があるため、高濃度の場所にはさらに魔素が集まりやすい。
しかし。
自然界では、星の自転によって魔素が常に流動している。
そのため、一か所へ集まった魔素も、通常であれば世界規模の循環へ取り込まれ、長い時間をかけて再分配される。
魔王因子や特殊な地形などによって循環が阻害された場合には、魔素が一か所へ滞留し続け、極端な濃度差や魔素災害が発生する。
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第三章 魔力回路と魔力
■ 魔力回路
すべての生命が体内に持つ魔法器官。
外界から取り込んだ魔素を、術者固有の魔力へ変換する役割を担う。
魔力回路によって生成された魔力は全身を巡り、魔法式へ供給されることで魔法となる。
一般的な魔法は、次の流れで成立する。
魔素
↓
魔力回路
↓
魔力
↓
魔法式
↓
魔法
魔力回路の太さ。
数。
伝導性。
安定性。
それらには個人差があり、魔法の使用効率や継続時間へ影響を与える。
ただし。
魔力回路が優れているだけで、高度な魔法を扱えるわけではない。
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■ 魔力
魔力とは。
魔力回路によって魔素から変換された、術者固有のエネルギーである。
魔力量が多い者ほど、長時間にわたって魔法を使用できる。
しかし。
魔法の威力。
精度。
効率。
発動速度。
それらは、術者の技量と魔法式の完成度によって決まる。
そのため。
魔力量が多い者が、必ずしも優秀な魔術師とは限らない
莫大な魔力を持っていても。
魔法式の構築が不十分なら。
魔力の大半を無駄にしてしまう。
反対に。
魔力量が少なくても。
精密な魔法式と高い制御能力を持つ者は。
少ない魔力で高度な魔法を使用できる。
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■ 魔力伝導率
魔力が魔力回路から杖、魔法式、魔法陣へ流れる際の効率。
伝導率が高いほど魔力損失が少なくなり、少ない魔力で安定した魔法を発動できる。
魔法杖の主な役割の一つが、この魔力伝導率を高めることである。
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第四章 魔法と魔術
■ 魔法
魔素。
魔粒子。
魔力。
それらによって引き起こされる超常現象そのもの。
火を灯す。
水を生み出す。
風を起こす。
岩を操る。
雷を放つ。
傷を癒やす。
物体を浮かせる。
通常の自然現象だけでは説明できない現象を総称して「魔法」と呼ぶ。
魔法を扱うのは人間だけではない。
精霊。
竜。
エルフ。
ドワーフ。
魔法生物。
それぞれが異なる方法で魔法を使用する。
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■ 魔術
魔法を再現。
解析。
制御。
改良。
そして社会へ応用するために体系化された学問と技術。
魔術には次の要素が含まれる。
* 魔法理論
* 魔粒子制御
* 魔法式
* 魔法陣
* 魔道具
* 魔法医学
* 魔法工学
* 錬金学
魔法が「現象」であるなら。
魔術は。
その現象を扱うための学問と技術である。
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■ 魔法式
任意の魔法を発動するための理論式。
術者は魔法式を通じて、魔力や魔粒子へ命令を与え、望む現象を発生させる。
高度な魔法ほど魔法式は複雑になり、必要な計算量と制御精度も増加する。
同じ火球魔法であっても。
* 威力
* 温度
* 射程
* 魔力効率
* 発動速度
* 安定性
は、魔法式の完成度によって大きく異なる。
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■ 魔法陣
魔法式を図形として記録したもの。
人間が常に複雑な魔法式を頭の中だけで構築することは難しい。
そのため。
魔法式を図形化して固定し、安定して再現する技術が生まれた。
魔法陣は。
* 魔道具
* 建築術式
* 結界
* 転移術式
* 医療設備
* 交通機関
などに広く利用されている。
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第五章 魔法体系
■ 伝統魔法
別名。
基本魔法。
四大属性魔法が発展する以前から存在していた、最古の魔法体系。
現在では、属性魔法を学ぶ前段階の基礎訓練として教えられている。
伝統魔法は。
魔素を火、水、風、土の魔粒子へ分解することなく。
周囲に存在する魔素そのものへ直接干渉する。
魔素が持つエネルギーを単純な運動へ変換し、物体を押す、引く、浮かせる、動かすといった現象を起こす。
代表的な伝統魔法は次のとおり。
* 浮遊
* 念動
* 押圧
* 引力
* 衝撃
* 制動
現代では。
単純で古い魔法と見なされ。
高度な属性魔法に比べて軽視されている。
しかし。
属性適性を必要としないため。
魔法の基本原理を学ぶうえでは極めて重要な体系である。
ルシエ・フローレンスは。
四大属性への適性を持たないが。
この伝統魔法だけは、かろうじて使用できる。
魔素そのものへ干渉する伝統魔法の存在は。
後にルシエが無属性魔法を完成させる。
重要な手掛かりとなる。
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■ 護身魔法
伝統魔法から派生した、自衛を目的とする魔法体系。
攻撃魔法によって相手を傷つけるのではなく、危険から逃れること、相手の攻撃を妨害すること、戦闘能力を奪うことを目的とする。
王立魔法学校では必修科目に指定されている。
対人魔法
人間を相手に使用する護身魔法。
相手を殺傷せず、武装解除や転倒、魔法妨害によって制圧する。
武装解除
魔素による衝撃を相手の杖へ与え、手元から弾き飛ばす。
足払い
相手の足元へ魔素を流し、姿勢を崩して転倒させる。
呪文返し
発動された魔法へ魔素をぶつけ、相手の魔法式や魔粒子の流れを乱して相殺する。
相手の魔法をそのまま跳ね返すわけではない。
魔法式の構造を瞬時に読み取り、正確な量と位置へ魔素をぶつけなければならないため、護身魔法の中でも難易度が高い。
対魔魔法
魔物から身を守るための護身魔法。
魔物を討伐することよりも、距離を取り、逃走する時間を確保することを目的とする。
代表的な技術は次のとおり。
* 吹き飛ばし
* 拘束
* 転倒
* 牽制
* 進路妨害
* 簡易防壁
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■ 通常魔法
現在、世界で最も広く普及している魔法体系。
術者は。
魔素から必要な属性の魔粒子を抽出する。
そして。
術者自身の魔力を燃料として魔法式を駆動し。
魔粒子を媒体として。
特定の現象を発生させる。
火、水、風、土の四大属性魔法は、すべて通常魔法へ分類される。
一般的な工程は次のとおり。
魔素
↓
魔力回路によって魔力へ変換
↓
特定属性の魔粒子を抽出
↓
魔粒子によって干渉対象を決定
↓
魔力と魔法式によって制御
↓
属性魔法
通常魔法は体系化が進んでおり、教育、戦闘、医療、工業、生活など、あらゆる分野で利用されている。
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第六章 四大属性魔法
■ 火魔法
一般的に。
四大属性の中で最も難易度が高いとされる魔法。
炎を生み出す魔法として認識されていたが、その本質は長らく正確に理解されていなかった。
ルシエ・フローレンスは研究の末。
火魔法の本質が炎の生成ではなく。
温度への干渉
であると提唱する。
火の魔粒子を媒体とすることで、物質の温度を上昇させるだけでなく、低下させることも可能である。
この発想によって。
* 魔導冷房機
* 魔導冷蔵庫
* 医療用冷却器具
* 食料保存設備
などの新たな魔道具が開発されることになる。
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■ 風魔法
空気や気体の流れへ干渉する魔法。
一般的には、火魔法に次いで難易度が高いとされる。
風を起こすだけでなく。
* 気流制御
* 圧力操作
* 飛行補助
* 音の伝達
* 換気
* 空気の遮断
などへ応用できる。
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■ 水魔法
水分や液体へ干渉する魔法。
水の生成。
移動。
形状変化。
それらに利用される。
生活用水。
農業。
消火。
医療。
清掃。
日常生活での需要が高い。
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■ 土魔法
四大属性の中で最も習得しやすく、単純な属性だと考えられている魔法。
一般には。
土や岩を操る魔法として認識されている。
しかし。
錬金学の権威ジョルジュ・デュランは。
土魔法の本質が。
土への干渉ではなく、物質そのものへの干渉である
ことを実証している。
ジョルジュは土魔法しか使用できないが、その能力によって物質の構造を解析し、組み替えることができる。
彼は授業で。
鉛筆の芯をダイヤモンドへ変え。
さらに。
鉛を金へ変える技術を披露する。
ただし。
金の人工錬成は国家の貨幣制度を破壊する危険があるため、法律によって禁止されている。
ジョルジュの研究から、ルシエは。
魔法の本質は、目に見える現象ではなく、何へ干渉しているかによって決まる
と学ぶ。
さらに。
世間から低く見られがちな土魔法だけで、ジョルジュが錬金学の権威となった姿から。
才能が限られていても、発想を変えれば大きな成果を生み出せる
と知る。
この経験は、後にルシエが火魔法を温度干渉魔法として再定義し、魔導冷房機や魔導冷蔵庫を開発する発想へつながる。
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第七章 特殊魔法体系
■ 妖精誘導法
古代魔術文明における最高峰の技術。
妖精が持つ。
自らと同じ属性の魔粒子だけを自然に引き寄せる性質
を解析し、その流れを魔術として再現したもの。
妖精誘導法が扱うのは。
未分化な魔素そのものではなく。
火、水、風、土。
特定属性の魔粒子である。
術者が強引に魔粒子を集めるのではない。
魔粒子が自然に集まる流れへ寄り添い。
目的の場所へ導く。
そのため。
通常魔法よりも極めて高い魔力効率と純度を実現する。
本来は。
* 高純度魔法石の生成
* 魔道具の性能向上
* 魔力消費の削減
* 魔粒子制御の安定化
など、人々の生活を豊かにする目的で研究されていた。
しかし。
魔王ニコラスは妖精誘導法を極限まで応用し、闇魔法と魔王因子を完成させた。
その結果。
妖精誘導法は魔王を生み出した危険な技術として扱われ、魔王討伐後に歴史と教育課程から完全に抹消された。
後世。
ミア・ランベルトが断片的な記録と精霊眼による観測を基に、妖精学と妖精誘導法を復興させる。
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■ 光魔法
通常魔法とは根本原理が異なる特殊魔法。
魔素を火、水、風、土の四属性へ完全に分解し、その瞬間に発生する莫大な分解エネルギーを利用する。
光魔法の本質は。
光そのものを操ることではない。
魔素の完全分解によって生じるエネルギーを制御する魔法
である。
代表的な光魔法は次のとおり。
* 光治癒
* 浄化
* 光結界
* 光の剣
* 光の聖剣
* 聖光治癒
* 聖光結界
極めて高い魔素制御能力と特殊な適性を必要とするため、歴史上でも扱える者はごく少数に限られる。
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■ 闇魔法
魔王ニコラスが完成させた禁忌の魔法。
異なる属性の魔粒子同士を強制的に融合させ、その際に発生する融合エネルギーを利用する。
光魔法が魔素の「分解」であるなら。
闇魔法は魔粒子の「融合」である。
本来。
異なる属性の魔粒子は安定して融合しない。
ニコラスは妖精誘導法を悪用し、大量の魔粒子を一点へ収束させ、強制的に融合することで莫大なエネルギーを生み出した。
しかし。
融合は極めて不安定であり、制御を誤れば周囲の魔素循環や生命体へ深刻な影響を与える。
⸻
■ 無属性魔法
ルシエ・フローレンスが完成させた、世界初の新魔法体系。
通常魔法は。
魔素から特定属性の魔粒子を抽出し、それを媒体として魔法現象を起こす。
一方。
無属性魔法は。
魔素を四属性へ分解しない。
外界から取り込んだ魔素を。
術者固有の魔力へ直接変換する。
そして。
無属性魔法式によって。
複雑な魔法現象を制御する。
魔素
↓
術者固有の魔力へ直接変換
↓
無属性魔法式
↓
無属性魔法
伝統魔法も魔素そのものへ干渉するが、伝統魔法は周囲の魔素が持つ力を単純な運動エネルギーへ変換する技術である。
無属性魔法は。
魔素を術者固有の魔力へ変換し。
高度な魔法式へ供給する。
その点で。
伝統魔法とは根本的に異なる。
四属性の魔粒子を利用しないため、理論上は属性適性を持たない者でも使用できる。
無属性魔法は。
属性適性を持たず「無能」と呼ばれたルシエが。
伝統魔法の原理から着想を得て完成させた。
さらに。
未分化な魔素へ直接干渉できるため、魔力回路へ蓄積した魔素を取り除く。
世界初の魔素汚染治療法の基礎となる。
⸻
第八章 魔法適性
■ 属性適性
術者が特定属性の魔粒子を引き寄せ、制御する能力。
火属性への適性を持つ者は、火の魔粒子を集めやすい。
水属性への適性を持つ者は、水の魔粒子を集めやすい。
適性を持たない属性の魔法を使用することは非常に難しく、通常はほとんど不可能とされる。
⸻
■ 魔法適性理論
ミア・ランベルトが提唱した理論。
人間の魂そのものが、特定属性の魔粒子を引き寄せる性質を持つことを証明した。
つまり。
魔法適性とは、魂とエレメントとの親和性である
この理論によって。
* 属性適性
* 魔法才能の個人差
* 複数属性適性
* 全属性適性
* 属性を持たない者
* 無属性魔法との親和性
など、それまで説明できなかった多くの現象が理論化された。
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■ 属性魔法の一般的な難易度
一般には。
属性魔法の習得難易度は次の順だと考えられている。
火
↓
風
↓
水
↓
土
火魔法が最も難しく。
土魔法が最も簡単とされる。
ただし。
これは既存の魔法式と一般的な使用法を基準にした評価にすぎない。
ジョルジュ・デュランが土魔法だけで物質変換を実現したように、魔法の価値は属性の希少性ではなく、術者の理解と発想によって大きく変化する。
⸻
第九章 魔王因子
■ 魔王因子
正式名称。
魔核融合体。
学術上は。
魔素特異点とも呼ばれる。
魔王ニコラスが完成させた究極の魔導機関。
ニコラスは。
妖精誘導法によって。
周囲の四属性の魔粒子を集めた。
そして。
闇魔法によって。
異なる属性の魔粒子を強制的に融合させる。
融合によって。
新たな魔素と莫大な融合エネルギーが生み出される。
魔王因子は。
生成した魔素とエネルギーを宿主へ供給する。
同時に。
外部から新たな魔粒子を引き寄せ。
融合。
生成。
供給。
再収束。
その過程を繰り返す。
魔王因子は。
無から力を作り出す永久機関ではない。
自然界から魔素と魔粒子を奪い続けることで。
半永久的に稼働する魔導機関である。
宿主へ与える能力は次のとおり。
* 老化の停止
* 超再生
* 半永久的生命
* 莫大な魔力
* 継続的な魔力供給
* 肉体機能の維持
ニコラスは死への恐怖から魔王因子を生み出し、自身の肉体へ組み込んだ。
火の力で体温と代謝を維持する。
風の力で呼吸と体内の流れを維持する。
水の力で血液や体液を補う。
土の力で損傷した肉体を修復する。
さらに。
魔王因子から魔素とエネルギーを供給し続けることで。
老化も死も存在しない身体を作り上げた。
⸻
■ 第二の魔素循環
本来。
世界の魔素は。
星の地核を起点として循環している。
地核から放出された魔素は。
星の自転による影響を受け。
世界を巡り。
最終的に再び地核へ帰る。
しかし。
魔王因子は。
その自然循環へ強制的に割り込んだ。
妖精誘導法によって。
周囲の魔粒子を引き寄せる。
魔粒子を融合させ。
新たな魔素とエネルギーを生み出す。
生成した魔素を周囲へ放出する。
放出された魔素が自然界の流れへ戻るよりも早く。
魔王因子は再びその中の魔粒子を引き寄せる。
魔王因子の周囲だけを。
魔素と魔粒子が繰り返し巡る。
その結果。
魔王因子を中心とした、人工的な第二の魔素循環
が誕生した。
魔素には互いに引き合う性質がある。
魔王因子の周囲へ異常な流れが生じれば、さらに周囲の魔素までその流れへ引き込まれる。
本来なら地核へ帰るはずだった魔素が。
魔王因子の周囲へ滞留する。
魔王因子の周辺では魔素濃度が異常に上昇し。
遠方では一時的に魔素が不足する。
世界規模の循環異常が発生した。
この歪みが。
* 魔王領の形成
* 魔物の大量発生
* ダンジョンの形成
* 動植物の異常変異
* 魔素汚染
* 局地的な魔素災害
を引き起こした。
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■ 魔王討伐後の魔素災害
勇者一行によってニコラスが討伐され。
魔王因子が破壊されたことで。
第二の魔素循環は突然消滅した。
しかし。
千年以上にわたって。
世界の魔素は魔王因子を中心として流れていた。
循環の中心を失った大量の魔素は。
行き場を失う。
ある地域では魔素濃度が急激に低下し。
別の地域では、大量の魔素が一気に流れ込んだ。
星の自転と地核を中心とする本来の循環は。
失われた均衡を取り戻そうとする。
だが。
千年以上かけて歪められた流れは。
すぐには元へ戻らない。
その結果。
世界各地で魔素濃度の急変と局地的な魔素災害が発生した。
ルシエの母エレーヌが魔素汚染を発症したのも、魔王討伐後に故郷へ大量の魔素が流れ込んだことが原因である。
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第十章 魔素汚染と魔物
■ 魔素汚染
過剰な魔素が人体の魔力回路へ蓄積し、正常な魔力変換を妨げる病気。
通常。
体内へ取り込まれた魔素は。
魔力回路によって魔力へ変換される。
魔法として使用されたあと。
再び魔素へ還元され。
自然界へ戻っていく。
しかし。
短時間に大量の魔素を取り込むと。
魔力回路の変換能力が追いつかない。
魔力へ変換されなかった魔素は。
魔力回路の内部へ残留する。
残留した魔素同士は。
互いに引き合う。
小さな滞留が。
次第に大きな塊となる。
魔素は魔力回路の内壁へ沈着し。
正常な流れを塞いでいく。
流れが滞れば。
新たに取り込まれた魔素も。
その閉塞部分へ引き寄せられる。
魔素が魔素を引き寄せ。
閉塞が。
さらに閉塞を生む。
蓄積した魔素は。
魔力回路を圧迫し。
変形させ。
やがて全身の機能を低下させる。
主な症状は次のとおり。
* 慢性的な疲労
* 発熱
* 魔力回路の痛み
* 魔法使用時の激痛
* 臓器機能の低下
* 意識障害
* 魔力回路の崩壊
従来の属性魔法では。
体内に蓄積した未分化の魔素へ直接干渉できなかった。
光魔法によって完全分解すれば。
莫大な分解エネルギーが発生し。
周囲の組織や魔力回路を傷つけてしまう。
そのため。
有効な根本治療法は存在しなかった。
ルシエは。
患者本人の魔力と同期した生成魔素を魔力回路へ流す。
沈着した魔素を。
力で剥がすのではない。
患者自身の魔力に同調した。
安定した流れへ感応させる。
止まっていた魔素を。
新しい循環へ引き戻す。
流れ始めた魔素のうち。
患者の魔力回路が処理できる分は。
患者固有の魔力へ変換される。
処理しきれない余剰分は。
体外へ誘導し。
空の魔水晶へ回収する。
こうして。
世界初の魔素汚染治療法が完成する。
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■ 魔物
過剰な魔素に侵食され、肉体と精神が変質した生命体。
魔素濃度の高い地域へ長期間生息した動物、植物、微生物などが変異し、通常の生物を超える力を得た存在。
多くの魔物は理性を失い、強い攻撃性を持つ。
例として。
* 微生物から変異したスライム
* 狼から変異したガルム
* 豚から変異したオーク
* 霊長類から変異したゴブリンやオーガ
などが存在する。
ただし。
すべての魔法生物が魔物ではない。
魔力を宿していても、理性と本来の生態系を維持している存在は、魔法生物として区別される。
⸻
■ ダンジョン
高濃度の魔素が長期間にわたって一か所へ集まり、周囲の地形や生態系が魔法的に変質した空間。
通常であれば。
一か所へ集まった魔素も。
星の自転による循環へ取り込まれる。
しかし。
特殊な地形。
地下構造。
魔王因子による循環の歪み。
それらによって魔素が滞留し続けると。
土地そのものが変質する。
内部では魔鉱石や魔石が形成されやすくなり。
高濃度の魔素へ引き寄せられて。
魔物も大量に集まる。
魔王因子によって世界の魔素循環が歪められた時代に、多くのダンジョンが誕生した。
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第十一章 精霊と魔法生物
■ 精霊
魔素を主な身体として持つ高位生命体。
肉体を持つ生物とは異なり、周囲の魔素を直接取り込んで活動する。
精霊は。
特定属性の魔粒子との親和性が極めて高い。
自らと同じ属性の魔粒子を自然に引き寄せる。
この性質が。
妖精誘導法の基礎となった。
⸻
■ 妖精
精霊の一種。
特定属性の魔粒子を強く引き寄せる性質を持つ。
火の妖精は火の魔粒子を。
水の妖精は水の魔粒子を。
自然に集める。
人間が魔法式によって魔粒子を強引に制御する通常魔法とは異なり、妖精は自らの親和性によって魔粒子の自然な流れを作り出す。
妖精誘導法は。
この現象を観測し。
魔術として再現した技術である。
⸻
■ 有身精霊
魔素の身体だけでなく。
物質的な肉体を得た精霊種。
代表的な種族は次のとおり。
* エルフ
* ドワーフ
* 竜
有身精霊は、人間に近い肉体を持ちながら、精霊としての高い魔素親和性も備えている。
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■ 魔法生物
生まれながらに魔力を宿し、魔法的な能力を持つ生物。
飛竜。
魔獣。
その他の魔法的な生態を持つ生物が含まれる。
魔物とは異なり、必ずしも魔素汚染によって変異した存在ではない。
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第十二章 魔鉱物と魔石
■ 魔鉱石
魔素が長い年月をかけて鉱物へ蓄積したもの。
地中。
高濃度魔素地帯。
ダンジョン。
そうした場所で採掘される。
すべての魔石の原料となる。
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■ 魔石
魔鉱石を精製し、不純物を取り除いた結晶。
内部へ大量の魔素を蓄えることができ、術者の予備魔力や魔道具の動力源として使用される。
⸻
■ 魔水晶
内部の魔素を使い切った魔石。
魔素を失っても結晶構造そのものは残るため、再び魔素を充填して使用できる。
ルシエが完成させた魔素汚染治療では、患者の体内から排出された余剰魔素を回収する容器として利用される。
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■ 魔法石
単一属性の魔粒子だけを高純度で蓄積した魔石。
次の四種類が存在する。
* 火の魔法石
* 水の魔法石
* 風の魔法石
* 土の魔法石
通常の魔石よりも効率が高く、精密な属性制御を必要とする高性能魔道具の動力源として利用される。
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第十三章 魔法石生成法
■ 第一法・妖精誘導法
古代に使用されていた最高純度の生成法。
妖精が同属性の魔粒子を引き寄せる性質を利用し、魔石へ単一属性の魔粒子だけを蓄積させる。
極めて高純度な魔法石を作ることができるが、妖精との協力を必要とする。
魔王討伐後。
妖精誘導法とともに失伝した。
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■ 第二法・魔石精製法
現代で最も一般的な生成法。
魔鉱石を精製して魔石を作り、その後、魔法式によって不要な属性の魔粒子を少しずつ取り除く。
大量生産が可能だが、不純物を完全に除去することは難しい。
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■ 第三法・自然濃縮法
自然界で偶然発生する生成法。
特定属性の魔粒子濃度が極端に高い場所で、魔鉱石が長い年月をかけて単一属性へ偏ることで魔法石となる。
非常に高純度だが、産出量は少ない。
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■ 第四法・人工妖精誘導法
ミア・ランベルトが完成させた新たな生成法。
妖精が特定属性の魔粒子を引き寄せる現象を魔法式によって再現し、人間の技術だけで単一属性の魔粒子を集める。
妖精誘導法に近い純度を維持しながら、魔法石の安定した大量生産を可能にした。
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第十四章 魔道具
■ 魔道具
魔法陣や魔法式を組み込んだ器具。
魔石や魔法石を動力源とすることで、魔法を扱えない者でも一定の魔法現象を利用できる。
代表的な魔道具は次のとおり。
* 魔導照明
* 魔導暖房機
* 魔導冷房機
* 魔導冷蔵庫
* 調理器具
* 医療器具
* 通信器具
* 輸送機関
* 結界装置
魔道具は魔導文明の基盤を支えており、特にアウローラ魔導国では生活のあらゆる場面に普及している。
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第十五章 魔法杖
■ 魔法杖の役割
魔法杖は。
それ自体が魔法を生み出す道具ではない。
術者は、杖がなくても魔法を使用できる。
魔法杖の主な役割は。
* 魔力回路の補助
* 魔力伝導率の向上
* 魔力損失の軽減
* 魔法式の安定
* 照準の補助
* 魔粒子制御の補助
である。
杖を使用することで、少ない魔力でも安定した魔法を発動できる。
アウローラ魔導国は魔法杖の製造技術が極めて発展しているため、他国に比べて一般市民の魔法普及率が高い。
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■ 杖と術者の同調
魔法杖は。
使用者の魔力を長期間流し続けることで、少しずつ術者へ適応する。
この現象を。
「杖が手に馴染む」
と表現する。
長く使い込んだ杖ほど、術者の魔力特性を記憶する。
魔力損失を減らし。
魔法の威力と精度を高める。
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■ 長杖
大型の魔法杖。
内部へ複雑な魔力回路や複数の補助術式を組み込めるため、潜在性能が高い。
一方で。
術者へ馴染むまでに長い時間を必要とする。
使い始めは扱いにくいが。
使い込むほど成長し。
術者とともに長く性能を高め続ける。
一生を共にする杖として選ばれることが多い。
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■ 短杖
小型で取り回しのよい魔法杖。
手に馴染みやすく、購入後すぐに安定した性能を発揮する。
狭い場所でも扱いやすく。
医師。
研究者。
役人。
一般市民。
幅広い者から人気がある。
ただし。
長杖と比べて内部へ組み込める術式が少なく、成長の限界へ達するのも早い。
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第十六章 主要魔法杖工房
■ ルーデル=カルテ
世界最高峰と称される名門工房。
すべての魔法使いにとって憧れの存在。
製作する杖は完全な一点物であり、注文者の魔力回路、属性、身体、魔法の使用目的まで調査したうえで設計される。
同じ杖は二度と作られない。
ルシエの父アルフォンス・フローレンスは、ルーデル=カルテ製の長杖を使用していた。
現在。
その杖は父の形見として。
ルシエが受け継いでいる。
属性魔法を使えないルシエにとって。
それは自分の力を証明する道具ではない。
父の意志と。
研究への情熱を受け継ぐ象徴である。
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■ ランポーネ
貴族から高い人気を持つ高級杖工房。
派手で華やかな装飾と、非常に高い出力性能を特徴とする。
一方で。
魔力制御が難しく。
扱う者を選ぶことから。
「暴れ馬」
と呼ばれている。
使いこなせれば強力だが、未熟な術者が使用すると魔力が過剰に流れ、魔法式が不安定になる場合がある。
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■ ゾイナー
堅実さと耐久性を重視する実用杖工房。
職人の確かな技術を感じさせる、丈夫な杖を製造している。
極端な癖がなく、初心者から熟練者まで幅広く使用できる。
価格と性能の釣り合いがよく、アウローラ魔導国内で最も人気が高い。
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■ オルジー
短杖のみを製造する専門工房。
軽量で取り回しがよく、術者へ馴染むまでの時間も短い。
医療。
研究。
護身。
日常生活。
それらで使用しやすいことから、魔法医師や研究者に愛用者が多い。
魔法医学の権威ホルトン・ラヴォワジエも、オルジー製の短杖を好んで使用している。
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第十七章 魔術学の専門分野
アウローラ魔導国では、魔術は高度に専門分化されている。
■ 魔法理論学
魔法が発動する原理や、各魔法体系の共通法則を研究する。
■ 魔粒子学
魔粒子の性質、属性、結合、分解、運動を研究する。
■ 魔法科学
観測と実験によって、魔法現象を科学的に解明する。
■ 魔法物理学
魔法によって発生する熱、運動、圧力、光、重力などの物理現象を研究する。
■ 魔法式学
魔法式の構造、効率化、簡略化、安定性を研究する。
■ 魔法陣学
魔法式を図形として固定し、再現する技術を研究する。
■ 魔法工学
魔法理論を建築、交通、産業、災害対策などへ応用する。
■ 魔道具工学
魔法陣、魔法石、魔鉱物を利用した道具を開発する。
■ 魔法薬学
魔素を含む植物、鉱物、魔法生物の素材を利用し、薬品を開発する。
■ 魔法医学
魔力回路、魔素汚染、魔法による外傷や病気の治療を研究する。
■ 魔法生物学
精霊、魔法生物、有身精霊などの生態と身体構造を研究する。
■ 魔物学
魔物の発生原因、生態、能力、討伐方法を研究する。
■ 錬金学
土魔法や魔法式を用いて、物質の構造、精製、変換を研究する。
■ 魔法歴史学
古代魔術文明、失われた魔法体系、歴史上の魔術師や魔法災害を研究する。
■ 妖精学
妖精と魔粒子の関係を研究する学問。
妖精誘導法の抹消とともに一度失伝したが、後にミア・ランベルトによって復興される。
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第十八章 王立魔法学校
■ 王立魔法学校
アウローラ魔導国を代表する魔術教育機関。
魔法実技だけでなく。
* 魔法理論
* 魔法式
* 魔法史
* 錬金学
* 魔法医学
* 魔道具工学
* 護身魔法
など、幅広い分野を学ぶ。
生徒には実力に応じて、十級から一級までの校内等級が与えられる。
十級
↓
九級
↓
八級
↓
七級
↓
六級
↓
五級
↓
四級
↓
三級
↓
二級
↓
一級
等級は実技、筆記、研究、素行などを総合的に評価して決定される。
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■ ルシエの主席入学
ルシエ・フローレンスは、王立魔法学校の入学試験で史上最高水準の理論成績を収め、主席で入学する。
しかし。
父アルフォンス・フローレンスは。
賢者の称号と紫色号を持つ。
魔術界屈指の研究者だった。
そのため。
ルシエの主席入学を快く思わない生徒たちから。
「親の七光りだ」
「賢者の娘だから優遇された」
「教授とのコネで入学した」
「本当の実力ではない」
と陰口を叩かれる。
さらに。
入学後の属性適性検査で。
ルシエが火、水、風、土。
いずれにも適性を持たないことが判明する。
それ以降。
彼女は。
「コネ入学の無能」
「知識だけの落ちこぼれ」
「賢者の娘なのに魔法も使えない」
と嘲笑されるようになる。
しかし。
ルシエは属性魔法を使えないだけで。
伝統魔法をかろうじて扱うことができる。
その僅かな可能性が。
後に。
世界の魔法理論を書き換えることになる。
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第十九章 特別講義
■ マリゴー・ルフェーブルの伝統魔法講義
魔法歴史学の権威マリゴー・ルフェーブルは、王立魔法学校へ特別講師として招かれ、失われつつある伝統魔法を教える。
現代の魔術師の多くは、伝統魔法を属性魔法の練習にすぎないと軽視している。
しかし。
マリゴーは。
「新しい魔法だけが優れているわけではない」
「古い技術には、現代魔術が失った原理が残されている」
と説く。
生徒の多くが退屈そうに受講する中。
属性魔法を使用できないルシエだけは。
真剣に話を聞く。
魔素そのものへ干渉して物体を動かす伝統魔法を学んだことで。
ルシエは。
属性へ分解しなくても、魔素は魔法へ利用できる
という事実に気付く。
この講義が。
無属性魔法研究の原点となる。
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■ ジョルジュ・デュランの錬金学講義
錬金学の権威ジョルジュ・デュランは、四大属性の一般的な難易度について説明する。
火。
風。
水。
土。
世間では。
土魔法は最も簡単で。
価値の低い属性だと考えられている。
ジョルジュ自身も。
土魔法しか扱えない。
しかし。
彼は土魔法によって。
鉛筆の芯をダイヤモンドへ変え。
鉛を金へ変える。
そして。
土魔法の本質は。
土を操ることではなく。
物質の構造へ干渉することだと示す。
この講義からルシエは。
魔法の本質は、目に見える現象だけでは判断できない
と学ぶ。
さらに。
土魔法しか使えないジョルジュが錬金学の権威となった姿から。
無能と呼ばれる者でも、発想を転換すれば世界を変えられる
という希望を得る。
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第二十章 魔法研究制度
■ 研究の認定手順
アウローラ魔導国では、すべての新理論は次の手順を経て、正式な学説として認められる。
1. 仮説立案
2. 実験・観測
3. 論文執筆
4. 教授査読
5. 王立魔法協会査読
6. 公開実証実験
7. 学説認定
8. 称号授与
理論上正しいだけでは。
新しい学説として認められない。
他の研究者が。
同じ条件で実験を行い。
同じ結果を再現できることが必要となる。
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■ 学生論文
王立魔法学校の学生が執筆した論文は、原則として担当教授の査読を受けなければならない。
教授が内容を確認し、研究として審査する価値があると判断した場合のみ、王立魔法協会へ提出される。
この制度は、未熟な研究や危険な実験を防ぐために設けられている。
しかし。
教授が研究を理解できない場合。
個人的な感情によって提出を拒否した場合。
優れた論文であっても。
協会へ届かないという欠点がある。
ルシエの最初の論文が握り潰されたのは、担当教授ギデオンが教授査読の段階で提出を拒否したためである。
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■ 推薦による直接提出
極めて優れた研究であると認められた場合。
王立魔法協会に所属する高位研究者が推薦者となり。
通常の教授査読を経ずに。
論文を直接提出できる場合がある。
推薦者は。
研究内容の正当性。
再現性。
安全性。
そして研究倫理に責任を負う。
ルシエとノエルの論文は。
アルベルト。
ホルトン。
フランソワ。
それぞれの専門分野における監修と推薦を受け。
王立魔法協会へ提出される。
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第二十一章 王立魔法協会
■ 王立魔法協会
世界最高峰の魔術研究機関。
新理論の審査。
研究者称号の授与。
研究費の配分。
研究倫理の管理。
危険魔術の規制。
それらを担う。
王立魔法協会が認定した学説は、アウローラ魔導国だけでなく、世界各国の魔術教育と魔導産業へ影響を与える。
主な役割は次のとおり。
* 新理論の査読
* 公開実験の実施
* 学説の認定
* 研究者称号の授与
* 研究所の設置
* 研究費の配分
* 研究倫理の審査
* 禁忌魔術の管理
* 国際的な魔術基準の策定
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第二十二章 研究者称号
■ 称号階級
王立魔法協会では、研究者の功績と能力に応じて、次の称号が授与される。
1. 魔術師
2. 大魔術師
3. 魔法師
4. 大魔法師
5. 魔導師
6. 大魔導師
7. 賢者
8. 大賢者
称号は単なる名誉ではない。
研究者としての権限と責任を示す。
原則として、魔術師以上の称号を得た者には。
* 専用研究室
* 研究助手
* 研究予算
* 王立魔法協会の資料閲覧権
* 研究設備の利用権
が与えられる。
称号が上がるほど。
予算。
研究人数。
施設利用権。
学術界における発言力。
それらも大きくなる。
⸻
■ 研究成果による授与
画期的な新理論。
新魔法。
治療法。
魔道具。
それらを完成させ。
王立魔法協会に認められた場合。
功績に応じた称号が授与される。
成果が極めて大きい場合には、複数の階級を飛び越えた特例認定も認められる。
ルシエとノエルは。
* 火属性魔法による温度操作理論
* 無属性魔法体系
* 魔素汚染治療法
三つの研究成果をまとめて評価され。
学生でありながら。
魔術師と大魔術師の認定過程を飛び越え。
魔法師として特別認定される。
⸻
■ 協会への貢献による授与
論文だけでなく、王立魔法協会や魔術文明への長年の貢献によって称号が授与される場合もある。
対象となる功績には。
* 後進の育成
* 災害対策
* 研究施設の運営
* 学術資料の保存
* 魔術教育への貢献
* 危険魔術の封印
* 社会への技術普及
などが含まれる。
⸻
■ 推薦制度
称号の授与には。
王立魔法協会の審査に加え。
候補者より二階級以上高い称号を持つ者の推薦
が必要となる。
例として。
* 魔術師候補には魔法師以上
* 大魔術師候補には大魔法師以上
* 魔法師候補には魔導師以上
の推薦者が必要となる。
推薦者は、候補者の研究能力だけでなく、人格や研究倫理に対しても責任を負う。
そのため。
高位研究者から推薦を得ること自体が。
大きな信用となる。
最上位に近い称号については、推薦可能な研究者が少ないため、複数名による審査や特別評議会が開かれる。
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第二十三章 学歴と称号
■ 魔法大学学士号
魔法大学の課程を修了し、学士号を取得した者には、原則として魔術師の称号が与えられる。
■ 魔法大学大学院修士号
大学院修士課程を修了した者には、原則として大魔術師の称号が与えられる。
■ 魔法大学大学院博士号
大学院博士課程を修了し、博士論文が認められた者には、原則として魔法師の称号が与えられる。
■ 魔法省への入省
魔法省の研究職または専門職として正式採用された者には、職務上必要となる最低資格として魔術師の称号が与えられる。
ただし。
入省によって与えられた称号であっても、昇格には研究成果または協会への貢献が必要となる。
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第二十四章 色号
■ 色号
研究者称号とは別に。
特定分野で歴史的な功績を残した者へ与えられる名誉称号。
代表的な色号は次のとおり。
* 紫色号
* 青色号
* 赤色号
* 黄色号
* 白色号
* 黒色号
色号は階級ではない。
研究者の功績。
象徴性。
研究分野。
魔法の性質。
それらを示す。
どの色が上位という明確な制度ではないが、一般的には紫色号をはじめとする希少な色号ほど、歴史的に重要な研究者へ与えられるものと認識されている。
色号は一度授与されると、不動の名誉称号として扱われる。
アルフォンス・フローレンスは。
賢者の称号に加え。
紫色号を持っていた。
フランソワ・ラヴォワジエも。
若くして紫色号を授与された天才研究者である。
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第二十五章 魔法省
■ 魔法省
研究成果を国家と社会へ還元する行政機関。
王立魔法協会が「学問」を司る組織であるなら。
魔法省は。
研究を実用化し。
国民の生活へ届ける組織である。
王立魔法協会が新理論を認定しても。
製品化。
法整備。
医療導入。
公共施設への設置。
それらは魔法省が担当する。
⸻
■ 主な部署
* 魔法理論局
* 魔法医学局
* 魔道具局
* 魔法工学局
* 錬金局
* 魔物研究局
* 災害対策局
* 古代魔術研究局
⸻
■ 魔法理論局
新しい魔法理論を、行政制度、教育、産業へ反映する。
■ 魔法医学局
魔力回路の病気、魔素汚染、魔法外傷、治癒魔法、魔法薬などを研究し、医療機関へ導入する。
ルシエが当初目指していたのは、この魔法医学局である。
彼女は。
学校を卒業し。
魔法省へ入省してから。
母の病気を研究するつもりだった。
しかし。
母の余命が卒業まで持たない可能性を知り。
入省を待たずに独自研究を始める。
■ 魔道具局
生活用魔道具の認可、安全基準、普及を担当する。
■ 魔法工学局
建築、交通、産業、公共設備へ魔法技術を導入する。
■ 錬金局
物質変換、魔鉱石精製、危険物質、貴金属錬成などを管理する。
金の人工錬成が禁止されているのも、錬金局の管理下にある。
■ 魔物研究局
魔物の生態、発生地域、危険度、討伐方法を研究する。
■ 災害対策局
魔素災害、ダンジョン発生、魔物災害、魔法事故などへ対応する。
■ 古代魔術研究局
古代遺跡、失伝魔法、禁忌魔術などを調査する。
妖精誘導法や魔王因子に関する記録も、本来はこの部署の管理対象となる。
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第二十六章 アウローラ魔導国
アウローラ魔導国は。
世界で最も魔術研究が発展した国家である。
特に。
* 魔法杖
* 魔法教育
* 魔道具
* 魔法研究制度
* 魔術行政
の分野で。
他国を大きく上回る。
高性能な魔法杖が広く普及しているため、生まれつき魔力が少ない者や、魔法制御が苦手な者でも、簡単な生活魔法を使用できる。
その結果。
一般市民の魔法普及率は。
世界最高水準となっている。
アウローラでは。
魔法は一部の貴族や軍人だけが扱う特別な力ではない。
照明。
暖房。
調理。
医療。
輸送。
人々の日常生活を支える技術として定着している。
⸻
第二十七章 ルシエ・フローレンスの魔法理論
ルシエ・フローレンスは。
四大属性への適性を持たず。
周囲から「無能」と呼ばれていた。
魔力量も平均的であり。
実技成績では多くの生徒に劣る。
しかし。
彼女は。
父アルフォンスから受け継いだ知識と。
圧倒的な魔法理論への理解を持っていた。
ルシエは。
既存の魔法を。
そのまま受け入れない。
なぜ。
火魔法は炎を生むのか。
なぜ。
土魔法は物質を変えられるのか。
なぜ。
伝統魔法は属性適性なしでも使えるのか。
なぜ。
魔素汚染は属性魔法で治療できないのか。
彼女は。
目に見える現象ではなく。
その奥にある法則を追い続ける。
マリゴーから。
伝統魔法を学ぶ。
ジョルジュから。
魔法の本質は干渉対象にあると学ぶ。
魔王因子から。
魔素循環と魔素のエネルギーを知る。
アデラーンの魔力操作から。
魔力の直接的な扱い方へ着目する。
古代魔道具の構造から。
外部魔素と術者固有の魔力を同期させる方法へ辿り着く。
そして遂に。
属性適性を必要としない。
無属性魔法を完成させる。
さらに。
火魔法を温度干渉魔法として再定義し。
魔導冷房機や魔導冷蔵庫の基礎理論を確立する。
無属性魔法を医療へ応用し。
魔素汚染の治療法を完成させ。
母エレーヌを救う。
ルシエの研究によって。
「属性適性を持たない者は魔法を使えない」
「火魔法は炎を生み出す魔法である」
「魔素汚染は治療できない」
という世界の常識は。
次々に覆される。
無能と呼ばれた少女は。
既存の魔法を否定したのではない。
誰も疑わなかった前提を見直し。
魔法の本質を解き明かした。
そして。
世界の魔法理論そのものを。
書き換えることになる。
⸻
■ ルシエ・フローレンスの魔法作用理論
従来。
属性魔法は。
「魔素から特定属性の魔粒子を抽出した際に発生するエネルギーを起点として成立する」
という理論が有力とされていた。
従来の属性魔法の作用過程は、次のように説明される。
魔素
↓
特定属性の魔粒子を抽出
↓
抽出時にエネルギーが発生
↓
魔力と魔法式によって制御
↓
属性魔法
この理論では。
魔素は魔粒子を内包するだけの物質であり。
実際に魔法を成立させる主なエネルギーは。
魔粒子を抽出する際に生じるものと考えられていた。
しかし。
ルシエ・フローレンスは。
無属性魔法の研究を進める中で。
この理論へ疑問を抱く。
魔素を四属性へ分解しない伝統魔法が。
なぜ物体を動かせるのか。
属性魔粒子を抽出しない無属性魔法が。
なぜ高度な魔法現象を引き起こせるのか。
従来の理論では。
この二つを十分に説明することができなかった。
その後。
ルシエはフランソワ・ラヴォワジエから。
完全制御型魔王因子の構造と研究結果について話を聞く。
魔王因子は。
周囲から集めた魔粒子を融合させ。
新たな魔素と融合エネルギーを生成する。
そして。
生成された魔素は。
宿主へ魔力を供給するために使われていた。
この事実をもとに。
観測と実験を重ねた結果。
ルシエは。
従来の魔法作用理論を覆す結論へ到達する。
確かに。
魔素から特定属性の魔粒子を抽出する際には。
一定のエネルギーが発生する。
しかし。
それは属性魔法を成立させる主たる動力ではなかった。
魔法の根源となるエネルギーは。
初めから。
魔素そのものに内包されていた。
ルシエが提唱した新たな属性魔法の作用過程は、次のとおりである。
魔素
↓
魔力回路によって術者固有の魔力へ変換
↓
特定属性の魔粒子を抽出
↓
魔粒子によって干渉対象と性質を決定
↓
魔素由来の魔力を燃料として魔法式を駆動
↓
属性魔法
すなわち。
属性魔法において。
魔粒子が担う役割は。
魔法を動かす燃料ではない。
火。
水。
風。
土。
それぞれの魔粒子は。
魔法が何に。
どのように干渉するのかを決定する。
媒体である。
一方。
実際に魔法現象を成立させるエネルギーは。
術者が魔素から変換した魔力によって供給される。
この理論は。
次の一文へ集約される。
魔素は魔法の燃料であり、魔粒子は魔法の性質を決定する媒体である
この発見によって。
属性魔法だけでなく。
伝統魔法と。
無属性魔法も。
統一的に説明できるようになった。
伝統魔法は。
属性魔粒子を抽出せず。
周囲の魔素へ直接干渉し。
そのエネルギーを。
単純な運動エネルギーへ変換する。
魔素
↓
魔素へ直接干渉
↓
運動エネルギーへ変換
↓
伝統魔法
一方。
ルシエが完成させた無属性魔法は。
魔素を四属性へ分解することなく。
術者固有の魔力へ直接変換し。
無属性魔法式によって。
高度な魔法現象を制御する。
魔素
↓
術者固有の魔力へ直接変換
↓
無属性魔法式
↓
無属性魔法
伝統魔法と無属性魔法は。
いずれも。
魔素を属性魔粒子へ分解せず利用する。
という共通点を持つ。
しかし。
伝統魔法が。
周囲の魔素を単純な運動へ変換する技術であるのに対し。
無属性魔法は。
魔素由来の魔力を。
高度な魔法式によって制御し。
複雑な魔法現象を成立させる。
まったく新しい魔法体系である。
さらに。
この理論は。
それまで基礎訓練にすぎないと軽視されていた。
伝統魔法の価値を。
根本から見直す契機となった。
伝統魔法の修練では。
属性魔粒子に頼ることなく。
魔素そのものを。
感知し。
動かし。
制御する技術を磨く。
この技術は。
* 魔素の感知
* 魔力への変換
* 魔力供給量の調整
* 魔法式の安定化
* 魔力損失の抑制
* 発動後の制御
といった。
あらゆる魔法体系に共通する基礎能力を鍛えるものだった。
つまり。
伝統魔法は。
属性魔法とは無関係な。
古い技術ではない。
すべての魔法を支える、魔素制御の基礎体系だった
この理論が認められたことで。
王立魔法学校の教育課程も。
大きく改められる。
それまで。
属性魔法を学ぶ前の基礎訓練として扱われていた伝統魔法は。
すべての魔術師が。
継続して学ぶべき必修科目として再評価される。
ルシエは。
新たな魔法体系を生み出しただけではない。
属性魔法。
伝統魔法。
無属性魔法。
それぞれ別個のものとして扱われていた三つの魔法体系を。
「魔素」
という一つの根源原理によって。
統一的に説明する理論を完成させた。
それは。
世界の魔法が。
どのように成立しているのか。
その最も基本的な常識を書き換えた。
魔術史上最大級の発見だった。




