表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
結果よりも過程を望みます。  作者: 量産三型
第ニ章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/31

第6話 ホットミルク

 自分の座っていた席で、自分のホットミルクを女性が味わっている姿は、先程の出来事を嘘にさせるかの様だった。

 チラリと、トコロシェの顔を見ると嫌そうな顔をしていた。

 知人だろうか――


「ん〜、やっぱり、寒い所はこれに限るね!」


 自分達を認識していないのだろうか――


「あ、あの……」


「?」


 ニコニコとした表情から、不思議そうな顔に変わる。

 その変わり様は、目に見えて分かるほどに表情を変えていた。


「あなたは――」


「誰かって話ね。 私はストロミル、よろしく!」

 

 そういう訳では無いのだが――

 自分が怪訝な顔すると、理解した様に頷く


「名前じゃない訳ね……。 私は君達の味方だよ。 その証拠に彼は、私の教え子よ」


 ストロミルはトコロシェに指を指す


「そうなんですか?」


「……あぁ」


 嫌そうな顔から、睨み顔に変化した


「えっと、ストロミルさんは何でここに?」


「ん?」


「……話しかけて来たって事は、何かあるんですか?」


 ストロミルは腕を組み、考え込む


「理由……理由ね……」


ハッとする様に、此方に顔を向ける


「無し」


「なし……ですか?」


「うん。 ただ、どんなかな〜って、見に来ただけだから」


「……今回の件についても、ですか?」


「あぁ、参加するかって話? しないね〜」


本当に見に来ただけなのだろうか? トコロシェと、話したいのだろうか――

 チラリとトコロシェを覗くと、変わらずストロミルに睨みつけていた。

 トコロシェの先生であれば、自分ではなくて、トコロシェと話したいのかな。それなら――


「トコロシェさんと話したいんですか?」


「いや? 話す事は無いね」


「そうですか……」


「……」


 ストロミルは、フウマの顔をジッと見る。 


「な、なんですか?」


「……何でそんなビクビクしているの?」


「いや、そんなつもりじゃ……」


 ストロミルの態度とトコロシェの顔を見てから、自分は警戒心が身体や言葉に出ていたらしい。

 ストロミルの言葉に気づかされた。


「……」


 観察する様に、ジッと覗き込まれる。

 少し不快に感じ、トコロシェの顔を見ると、その顔は微動だにせず、睨みつけていた。

 その姿が更に、ストロミルの不快感を募らせる。

 何かあるんだろうか。今の状態に耐えきれずに口を開く。

 

「どうしたの?」


 トコロシェは、こちらを見向きもせずに、喋りだす。


「この女は信用するな」


「それはどういう――」


「私が人間だからってことでしょ?」


 ストロミルの顔を見ると、ジッと向けていた顔は、最初に会ったニコニコとした顔に戻っていた。

 自分とトコロシェは、亜人……つまり……


「て、き……?」


「そう言う事になるね。 ね? そうでしょトコロシェ」


 トコロシェの顔は、その言葉を聞いても微動だにしなかった。


「だから、睨んでいるんでしょ? 分かるよ、その気持ち。 敵には隙を見せられないからね。 教えた事をやって、偉いぞ! トコロシェ!」


 ストロミルは拍手を送るが、それでも尚、トコロシェは微動だにしなかった。


「……あなたはどんな仕事をしてるんですか?」


「仕事? あぁ、今は君達と一緒で、ケルベロス様の任務を受けてるんだ。 君達とは、別の任務だけど、依頼主は同じだから、よろしくって感じ!」


 手を差し伸べ、握手を求めるような仕草に、促されるまま、手を伸ばし、握手をする。

 握手した事に満足した様に、ニコニコしながら頷く。

 

「まぁ、何かあったら助けに入るからさ、そん時はよろしくね!」


 そう言うと、席を立ち、ガニ股で外に出ていった。

 何だったんだろうか……。

 ストロミルが出ていった事で、トコロシェも落ち着いたのではないかと思い、顔を見ると、先程、ストロミルが座っていた席を睨みつけていた。


「どうかしたの?」


 その言葉にハッと我に返る様に、トコロシェは身体を震わせる。


「いや、何でもない。 それよりも、任務が優先だ。 飲み物は飲んだか?」


「いや、飲まれちまった」


「なら、行くぞ」


 自分の言葉を無視している。だが、そんな事が言えない雰囲気が、彼の言葉や忙しない行動に表れていた。

 自分が先に、席を立つと押し退けるよにトコロシェは玄関の方へと向かい、店員と少し話すと、直ぐに外に出ていった。


「不味い!」


 置いていかれないように、駆け足で店から出ると、遠くにいるトコロシェの姿が見え、猛ダッシュで、トコロシェに向かった……


*****


 息を切らしながら、トコロシェの横に立つと、地図を見ながら、考え込むトコロシェの横顔が目に入る。

 

「メモを出せ」


 手で催促され、メモをトコロシェに渡す


「リテ、リテ……」


 指で地図をなぞりながら、何かを探している。

なぞる指が、ある所で止まった。


「あった……」


 トコロシェは、地図を仕舞うと、歩き出した。

負けじと、追いかける。

 しばらく歩き続けると、周りの建物よりも大きな屋敷が現れた。

 

「……」


 トコロシェは橋の上で、止まり、その屋敷を遠目から眺めていた。

 先程のカフェとは違い、睨みつけるような顔つきではなかった為に、疑問を投げかけた。


「あれは?」


「あれが、リテアイの屋敷だ。 あの主人は、魔力兵器の研究員で、ここの地域では、知らない者が居ないほどだ」


「魔力兵器って?」


「魔石を使った兵器の事を指す。 その研究員は、主に魔道具を使い、マロ帝国の攻城兵器等を製造・研究を行っている研究員だ。マロ帝国の中枢を担っていると言っても過言では無いな」


「じゃあ、その人をあ――」

 

 最後まで言おうと、すると肘で、腹部を突かれる。

 

「自分達は、執事の面接に来たんだろう?」


「し、執事!?」


「あぁ、執事だ。 あと、その単語を容易に出すな」


 何処からとも無く、服を手渡される


「これって?」


「フード姿じゃ無理だからな。 替えの服だ」


「替えの……」


 折り畳まれた、服を広げると、何処からどう見ても、スーツにしか見えない服であった。


「これを着て行くんですか?」


「あぁ、もうそろそろ、面接が始まるぞ」


 トコロシェは屋敷の方を凝視すると、呟くように話し、駆け足で、屋敷の方に向かって行った。

 その姿にため息を漏らしながら、トコロシェの後を追った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ