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女騎士「テストは何をするんだ?」

 さて。


 また前回の翌日です。


 今回は、レヴィがいよいよ試験勉強を始めるようです。


「試験の内容は、簡単に言えば〇×問題だ。運転中に起こる様々な状況に対し、ドライバーがとった行動が正しいか間違っているかを問われる。また、バイクのメンテナンスや簡単な道徳を確認する問題なんかもあるな」


「〇×となると、二択なのか? では、わからなくても勘で答えることも可能なのか」


「そんな簡単じゃない。合格ラインは正答率9割で、50問中5問より多く分からない問題があれば、ほとんど落ちたと思っていい。そして、中にはひっかけ問題も多数存在する。わかったと思って自信満々な答えが、実は間違ってましたー、なんてのもザラだ」


「なるほど。一筋縄ではいかないわけか」


 ここで、補足をします。


 原付免許の試験、というより、自動車でも同じですが、出題される形式はだいたい以下の通りです。


 ・文章を読んで答える問題が46問(各1点)

 ・イラスト問題が2問(各2点)


 となり、合計50点で、45点以上が合格です。

 

 イラスト問題は一枚に原付を運転するドライバーが描かれ、ドライバーは3つの行動をします。回答者はそれぞれの行動が正しいか間違っているかを答えます。


 しかし、このイラスト問題、厄介なことに3つのうち1つでも間違えれば、2点が没収となります。


 つまり、6つのうち4つ正解しても、運が悪ければ-4点が引かれることになります。この時点で、合格がほぼ難しくなるのです。大変、厄介ですね。


 しかし、試験を簡単にしてラッキーだけで公道を走らせること以上に恐ろしいことはありません。しっかりと勉強することが大事ですね。


 試験範囲はだいたいが自動車の試験と被っています。


 筆者としては、原付免許の方は幾分かレベルが落ちているような印象がありますが、しっかり勉強しておけば、後々に役に立つのは間違いありません。


「ほい。これがテキスト」


 道雄はカラフルな表紙をしたテキストをレヴィに渡します。


「おお、カラフルな絵がたくさんあって、わかりやすそうだ。ほうほう。これが噂の信号、それに標識か」


 テキストは基礎知識をおさらいできて、模擬テストがいくつかある書籍であれば、たいして差はないと思います。ネットでお勧めされたものであれば、適当に選んでも大丈夫だと思います。


 まぁ、高度な資格試験や大学受験でもあるまいし、傾向と対策なんか考える必要はありません。毎回毎回、似たような問題が出ます。変な問題なんてあって1問、多くて2問くらいでしょう。


「さて。俺が仕事で家を留守にしている間、お前はこれで勉強をしてもらう。ただ、一応、原付の試験で厄介になるだろうポイントをおさらいしよう」


「うむ。頼む。道雄がいない間、アドバイスがもらえないからな。重要なポイントだけでも集中して覚えたい」


「よし。まずは『追い越しと追い抜き』それに『駐停車』、それぞれの違いと禁止されている状況だ。ちなみに、この4つが説明できるか?」


「わからん!」


「よし。わからないことを素直に認めれるのはえらいぞ」


 レヴィの威勢の良い返事は、むしろ清々しく思えますね


「じゃあ、『追い越しと追い抜き』の違いから説明しよう。


 『追い越し』とは、前方の車を、後方で一度進路を変え、横からそのままスピードを出して追い抜いて、そして、進路を戻して車の前方に出ること。


 『追い抜き』とは、進路を変えず、前方の前に出ること。


 とりあえず、この辺りはテキストのイラストなどを見た方が頭に入る」


 道雄はテキストをパラパラとめくり、レヴィにイラストを見せます。文字にすればちょっとわかりにくいですが、絵にすれば簡単なことだとレヴィは納得できました。


「なるほど。そして、この『追い越しと追い抜き』には、いろいろと条件があるのだな」


「そう。しかし、今回はどの部分が重要か、という話であって、細かい説明はナシにしよう。テキストを読み、それで覚えてくれ」


「なるほど、では『駐停車』については?」


「簡単に言えば、


 『駐車』は長い間、車を止めること。


 『停車』は短い間、車を止めることだ。


 細かく言えば、


『駐車』は人待ちや荷物の積み下ろしで5分以上の停止。それに故障や車から目を離していたことによって、すぐに運転できない状況にある停止だ。


『停車』は人の乗り降りや積み下ろし、それに車から離れていないためにすぐに運転できる状況にある場合の停止」


「なるほど。とにかく、『追い越しと追い抜き』と『駐車と停車』はよく試験に出ると考えてよいな?」


「まぁね。細かい説明がなくて済まないが、詳しい説明を今しても頭が混乱するだけだろう」


 実際、『追い越しと追い抜き』と『駐車と停車』の違いと禁止については試験でもけっこう重要です。覚えることも多いので、大変でしょうがここを乗り越えなければ試験で話になりません。


「後は、ああ、『2段階右折』とか山道や坂道、それにカーブでの対応とかかな。とりあえず、テキストで重要と書かれている箇所は全部暗記しろ。お前の場合、社会知識がほぼ0だからな。なんとなく常識で答える、って甘えはないと思え」


「覚えることが多いな……」


「ま、考えても見ろよ。お前が原付を運転していて、免許も知能もないイノシシたちが秩序もなく暴れまわっていたら、危険だろ? 馬鹿は公道にでれないようにしているんだよ」


「そんな危険極まること、考えるだけで恐ろしい。私は高潔たる人間軍の第一隊長、そのような野蛮人とは違い、きちんとした秩序をもつことにしよう」


 しかしこの女騎士、単身でゴブリンの群れに飛び込んだと思えば、すぐに矢に撃たれた単細胞です。よくもまぁ、抜け抜けと綺麗ごとを言えるものですね。


「俺は原付の試験を一度しか受けたことなかったが、わりかし倫理観と言うか、問いに書かれたドライバーの行動が危険かどうか、を判断させるものも多い印象だな。とりあえず、危険だ、と思った行為には素直に従ってもいい」


「しかし、ひっかけ問題があるのだろう?」


「まぁ、個人的な意見なので真に受けないでほしいが、法的に許されている行為だけど状況的にそれをしたら危険! という場合は試験では×になる。そして製作者も意地悪で問題を作っていない。悪問が1問か2問あろうと、他を全部正解すればいいだけだ」


「なんと脳筋な……」


「んでも、これが一番確実だよ」


 道雄はそう説明しましたが、実際、ある程度のひっかけは勉強していくうちにわかってきます。というか、テキストの模擬テストをそのまま出された問題も多く、知識と経験があれば、9割は意外になんとかなるでしょう。


「ま、俺が言えるのはこれくらい。あとは、自分がどれくらいマジメに勉強できるかだよ」


 道雄は乾いた口を潤すように、ビールを口に入れました。アルコールが入ると、すぐにニコチンが欲しくなるのか、タバコを咥えます。


「とりあえず、1週間も勉強すれば、点数取れるようになるよ。頑張ってや」


 脅して見せたと思えば、すぐに宥めで見せましたが、原付の試験はちょっと勉強すれば難しいものではありません。


 しばし、ネットでは自動車の学科試験に落ちる奴は運転するに適さない、と言うような厳しい声を聞きます。


 安心してください。


 筆者の知り合いは、自動車の学科試験に5回くらい落ちました人がいます。


 また、昔、筆者のバイト先で自動車学校を卒業して数か月がたつのに10回以上は落ちたという先輩もいました。


 2人とも、別に鈍くさい人ではなかったです。ただ、勉強の癖が付かなかっただけです。2、3日でも必死に勉強するとか、1日のうち1~2時間でも勉強をする時間を確保していれば、案外何とかなります。

 

 少し混乱することもあるでしょう。テストの問題文がややこしいと思うこともあるでしょう。


 けれど、それを乗り越えてしまえば、思ったほど難しくなかったな、となっているでしょう。


 


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