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「最弱テイマーは全てを失う」

初投稿になります。拙い部分はあると思いますが頑張りたいと思います

森の奥は、静かだった。


 木々の隙間から差し込む光が、地面にまだらな影を落としている。

 風が吹くたび、葉が擦れ合い、柔らかな音が広がった。



「……そこ、滑るぞ」



 ルクスが声をかけると、足元の青いスライムがぴたりと止まった。


 ぷるり、と震えてから、少しだけ迂回する。



「そうそう、そっちなら大丈夫だ」



 しゃがみ込み、指先で軽く触れる。


 ひんやりとして、柔らかい。



 その感触に、ルクスは小さく笑った。



「相変わらず、素直だな。ノアは」



 名前を呼ばれたスライムは、わずかに弾んだ。


 嬉しそうに、ほんの少しだけ近づいてくる。



 周囲には、他にもスライムがいた。


 赤みがかったもの。透明に近いもの。少し大きめの個体。


 それぞれが自由に動いているようで、どこかでルクスの存在を意識している。



(……落ち着く)



 胸の奥が、静かになる。



 街にいた頃には、感じられなかった感覚だった。



 ルクスは立ち上がり、森の奥へと歩き出す。

 スライムたちが、その後をついてくる。



 言葉を交わすわけでもない。

 命令するわけでもない。



 ただ、自然と。



 一緒にいる。




■ ■ 回想



 王都。


 白い石でできた広場。



 十五の誕生日に行われる“ランク測定の儀”。



 列の最後に並びながら、ルクスは少しだけ緊張していた。



(まぁ、そんな高くはないだろうけど)



 それでも、最低ではないと思っていた。



 順番が来る。



 水晶に手を当てる。



 ひんやりとした感触。



 次の瞬間。



 ざわめきが起きた。



「……え?」



 担当の男が、目を見開いている。



 水晶は、ほとんど光っていなかった。



「最低……ランク……?」



 誰かが呟く。



 一瞬の沈黙。



 そして。



 笑いが広がった。



「ははっ、マジかよ!」


「こんなの初めて見たぞ!」



 視線が、一斉に集まる。



 ルクスは、何も言えなかった。



(……なんでだよ)



 子供の頃は。



 誰かを助けるのが、当たり前だった。



 弱い魔物を守って。

 困っている人を助けて。



 それで、笑ってもらえた。




「役立たず」




 その一言が、胸に刺さった。




■ ■ 現在



「……まぁ、いいか」



 ルクスは小さく息を吐く。



 森の生活は、不便だ。


 食料も、自分で探さなければならない。


 夜は冷えるし、雨の日は最悪だ。



 それでも。



(こっちの方が、楽だ)



 少なくとも。



 ここには、嘲る声はない。




 その時だった。



 風が、止まる。



 音が、消える。




「……来たな」




 低い声が、森の奥から響いた。



 ルクスの表情が変わる。




 木々の間から、人影が現れる。



 鎧をまとい、武器を持った数人の男たち。



 そして、その先頭にいる男。




「よう、“最低ランク”」




 軽い調子で、笑う。




(……こいつら)




 ギルドの高ランク。


 街で、何度も顔を合わせた連中。




「わざわざ探したんだぜ?」



 男が剣を肩に担ぐ。



「森に逃げたって聞いてな」




 ルクスは、一歩前に出る。



「……何の用だ」




「決まってるだろ」



 剣先が、ゆっくりと向けられる。




「“掃除”だよ」




 その言葉に。



 スライムたちが、わずかに震えた。




「やめろ」



 ルクスが言う。



「こいつらは――」




「魔物だろ?」




 言葉を遮る。




「なら、殺す理由は十分だ」




 一瞬だった。



 剣が振るわれる。




「――っ!!」




 弾ける。



 青い体。




「ノア!!」




 声が、遅れる。




 地面に残るのは、ただの液体。




 動かない。




 ルクスの思考が止まる。




「ほら見ろ」



 男が笑う。



「弱いもん守っても意味ねぇだろ?」




 その言葉で。



 何かが、切れた。




「……ふざけんな」




 ルクスが踏み出す。




 だが。




 一撃。




 体が、宙に浮く。




「がっ……!」




 地面に叩きつけられる。



 呼吸ができない。




「だから言っただろ」



 見下ろす影。




「お前、弱いんだって」




 視界の端で。



 スライムたちが、次々と潰されていく。




「……やめろ……」




 声が震える。




 届かない。




 笑い声だけが響く。




(……守れない)




(また……)




 視界が滲む。




 その時。




「……もういい」




 自分の声だった。




 立ち上がろうとする。




 だが、体は動かない。




 次の一撃が来る。




 その瞬間。




 ルクスは、背を向けた。




 走る。




 逃げる。




 足がもつれる。



 それでも止まらない。




 後ろで、笑い声が遠ざかる。




 森の奥へ。




 暗い洞窟へ。




 光の届かない場所へ。




 息が切れる。




 それでも、走る。




 やがて。




 完全な闇に包まれた。




 ルクスは、その場に崩れ落ちる。




「……っ」




 声にならない声。




 握った拳が、震える。




 何も守れなかった。




 何もできなかった。




 最低ランク。




 その言葉だけが、頭の中で響く。




 ――その時。




 闇の奥で。




 “何か”が、揺れた。

というわけで第一話です。これからルクスはどうなっていくのか。お楽しみください



色々と修正に修正してます

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