24. 他愛無い会話
「じゃあ教えろよ、情報 あ、裏切り者の話以外で」
正直裏切り者に関しては時雨さんが戻ってくる時までにどうにかなる
それなら他の情報を得た方がいい
そう考えた
目の前のそいつは少し考えてから言った
「じゃあどっちか選んでください 私が何者なのか それか二星未奈についてか」
、、、どちらか片方なのか
正直選ぶならこいつの情報だろう
何を考えてるかわからない意味の分からない奴
嘘をつかれる可能性はあるがこちらを選ぶ方が得策なのだろう
『ここはアイツの情報を得て何者か今一度確認するのがいいと思います』
刻之さんもそう言う
、、、でも
「、、、未奈の方で」
俺は別の方を言っていた
『雫君!?』
耳元で刻之さんの驚く声が聞こえる
でも俺はこっちの方が魅力的に見えた
あの時命を懸けて戦った彼女のことを俺は知りたい
男は、いや天空橋は少し驚いたような顔をしたのちににやりと笑った
先ほどまで見せていたあの顔だった
「じゃあ二つ情報があるので教えましょう 一つ目、彼女の顕澱は心象投影という他の顕澱とは異なるものです」
「心象投影?」
聞いたことのない単語だった
あの影のようなやつがそれなのか
確かにあの時の彼女は何か他とは違った
まるで感情をむき出しにしてるかのような
「顕澱にはいくつか種類があります、雫君の隼のような一撃型、刻之君の心眼みたいな継続型 他にもありますがその中でも最上位なのが心象投影なのです 私が知っている限りこれを使えるのは片手で数えれるくらいですね」
「、、、もう一つは?」
「二つ目はですね」
また笑うのかと思った
でも彼は淡々と告げた
「彼女はすでに死んでいます」
「雫くん」
帰るときにそう呼びかけられた
「達也によろしく言っといてください」
/
周りに注意しつつ町を出る
相変わらず町には毛むくじゃらの目玉が蔓延っておりこちらを監視するように見つめていた
気持ち悪くて仕方がなかった
天空橋に言われたことも踏まえて、だ
「、、、疲れた」
もう戻って寝るか
そう思いながら歩いていると俺を呼ぶ声が聞こえた
「あ、雫じゃん」
声のした方を向くとそこに五番隊のやつらがいた
だが未奈は具合が悪いのか杏に肩を貸してもらい俯いている
「なーにしてんのさ」
「ちょっと気になったことがあったからそこまで行ってただけ、お前らは?」
「特訓終わりで疲れたからご飯食べに行こってなったのよ」
そういえば昼からなにも食ってない
今更自分の腹がすいていることに気づく
「水溜も来るか?」
松野さんの誘いに乗ることにした
裏切り者を見つける手掛かりになるかもしれない
それに
未奈についても何かわかるかもしれない
「じゃあ行くかな」
「じゃあついてきてーおすすめのラーメン屋あるんだー」
杏が先導して進んでいく
ラーメンか
店で食うのは初めてかな
家では安くて多く入ってるあんまりおいしくないカップ麺しか食ったことなかった
親に連れて行ってもらうなんてこと、なかった
、、、あんな毒親のこと思い出したくなかった
もう乗り越えたはずだったのにまだ捕らわれてるんだな、俺
やがて一軒のラーメン屋に着いた
外からでもわかる食欲をそそる匂いが俺の理性を吹き飛ばしそうになる
「野望軒でーす」
「杏、それ名前やばくない?」
少しばかし元気が出たのか未奈が言った
そんな未奈を無視して杏は店に入っていく
しかしそこには見知った顔があった
「あれ?城崎さんじゃん」
バカでかいラーメンを城崎さんが啜っていた
「ん?みんああふまってどうふぃたんすか?」
もごもごしながらしゃべる
何言ってるかわからん
「飲み込んでから言ってくれ、普通に行儀悪い」
松野さんに指摘され城崎さんは飲み込んでから言った
「みんな集まってどうしたんすか?」
「みんなでラーメン食べに行こうって話になってさ」
「いいっすね、私は今大盛チャレンジ中なのでまた後で」
壁を見ると「大盛チャレンジ!時間内に食べきれたら1万円!食べきれなかったら回数券強制購入!(10000円分)」と書かれたポスターが大きく張られている
、、、城崎さんってそんなに食うんだ
「城崎、お前なんかキャラ変わったか?」
松野さんが言った
みんな言わないようにしてたのに
「今集中してるんで黙っといてくださいっす」
「、、、注文しよっか」
/
「なあ、なんでそんな未奈疲れてんの?」
「めっちゃ厳しい特訓したからだね、あたしゃ耐えきれず逃げちまったよ、とほほ」
なんか聞いたことのあるフレーズで返された
「ああ、俺が教えた こいつ普通に天才だぞ 飲み込むのは早いし休み取らずずっと続けるし」
「まあそのせいで今一歩も動きたくないんだけどね」
机に突っ伏したまま未奈が言った
なんか小動物みたいだな
そう感じた
「ご注文の濃厚豚骨ラーメンと煮干しましまし醤油ラーメン、ラーメン食うとき健康考えんな!背油ダブル麺、あと岩塩ラーメンです」
それぞれの前にラーメンが置かれる
、、、岩塩がぶち込まれてる
「杏、ここほんとにうまいのか?」
「ん?豚骨がうまい店だよ?ここ それ以外の変わり種は微妙」
、、、先に言えや
「、、、まあまあうまいな」
松野さんは山積みになった煮干しを食べながら言った
「、、、重いしクドい、、、」
未奈が一口すすって言う
なんでそれ選んだんだよ
、、、
「彼女はすでに死んでいます」
その言葉が頭から離れずにいる
今、俺の目に映る彼女は生きている
俺は二星未奈という人物をこの目で見てきた
優しくてどこか抜けてて、それでいてかっこいい
命を懸け戦うその姿が本当の彼女ではないとは
どうやっても考えられなかった
「なあ、杏」
「ん?どした雫少年」
「未奈ってどんな奴なんだ」
本人の前で聞くことじゃないかもしれないが聞いた
「んー私の太陽かな、あったかくてかっこよくて私もいつか未奈みたいになりたいなって思う」
「、、、そっか、仲いいんだな」
「小学校からの付き合いだからね」
少し顔を上げ未奈が言った
「それにしても杏そんなこと思ってくれてたんだ、なんかうれしい」
「やめろよこの美少女」
まだ口にラーメンが入ってるのに杏は未奈の頬を突く
なんだか微笑ましく笑ってしまう
「ちょっとやめろや杏」
「だって今未奈疲れてて抵抗できないじゃーん」
いつぶりだろうか、ちゃんと笑えたの
その時スマホが震える
時雨さんからのメールだった
『明日には帰る 集合場所は墨谷総合病院で 雫君の妹とかの話があるから』
、、、唯月
あれから目覚めていない
それについて何かわかったのか
どっちにしろ明日には時雨さんが戻ってくる
次の任務も近いんだな
「、、、なあ」
「ん?どうした雫少年」
さっきと同じ呼び方で杏に返された
「、、、次も頑張ろうな」
そんなこと言われると思ってなかったのか
二人は顔を見合って言った
「「当たり前」」
/
制限時間が来た
、、、三分の一残ってしまった
「はいチャレンジ失敗ね 回数券買ってね」
「、、、流石には目外し過ぎたっすね」
/
カメラから入ってくる映像で思わず腹がすいてしまう
さっき弁当食べたってのに
「、、、みんな楽しそうですね、私もラーメン食べよかな カップ麺どこだっけ」




