episode 46
「壱花ちゃん、この際はっきり言わせてもらうよ。君は騙されてる」
駅の手前にあるカフェ、店内は夕方のティータイムでごった返していて、交わしている話を誰に聞かれるでもない環境だ。
ジェインが東京から名古屋へと出張に来てから、はや二週間が経とうとしていた。
名古屋支社の意識改革が思うようにいってはいないようだが、壱花のイラストレーターとしての仕事も順調で、ジェインはおおむね満足していた。
だが、東京本社の八海から貰った連絡で、状況は一変した。
「あんま深追いするんじゃないぞ」
「悪いがもう遅い!」
「足を突っ込むなって、何度言ったらわかるんだ。このバカ犬が!」
「なんだとっ! だが、八海の今回の功績に免じて、許してやる」
「ってか、合コンも行きまくってるぞ、そいつ」
「こちとらクズってことは、わかりきってんだよ!」
「あんな良い子、他にはいないんだけどなあ」
「いつかアイツを懲らしめて、バキバキにへし折ってやる」
「相変わらず壱花ちゃんのことになると、きゃんきゃん言ってんなあ。とにかく、手でも出して裁判沙汰にだけはすんなよ」
八海のアドバイスは一応胸に留め置いた。
が、怒りは収まらない。
仕事帰りに壱花を夕食と誘う。以前の弥一との修羅場を思い出したのか、迷う素振りを見せた壱花に、帰り道にあるカフェを提案。ここならGPSで監視されていたとしても、同僚と井戸端会議したで通用する。
「え? それってどういう……意味ですか?」




