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episode 149

「ジェインさん、疲れてますね」

『そんなに酷い顔してる?』

「う。はい」

『俺ね、今、新規事業を立ち上げてて。あちこち走り回ってるから、疲れてるのかも。夜ね、疲れすぎちゃうのか、あんまりよく寝れてないんだ』

一気に心配になった。

『でも、この生活もあと1ヶ月くらいで目処が立ちそうだから、もうちょっと頑張るよ』

「……あまり無理しないでください」

『心配してくれるの? ありがとう、嬉しいよ』

「なにか手伝えることがあったら、遠慮なく言ってください……って言ってもなにもできませんが」

『ははは。壱花ちゃんが俺のこと好きって言ってくれたら疲れも吹っ飛ぶんだけどな』

「えっと、あの、す、す、」

『ごめんごめん! 今のなし! あー、今の一番ダメなヤツ! どうかしてた、ごめんね』

「ジェインさん……」

少しの間があった。壱花はどう反応していいかわからず、手元にあったスイーツのレシピ本を取った。

「ち、チーズケーキ作って持っていきます」

本をパラパラとめくり、チーズケーキのページで手を止める。

「レアとベイクド、どっちが良いですか?」

『……ベイクドかなぁ。どっちも好きだけど』

「わかりました。あの……今度いつ会えますか?」

『今度の土日も仕事で、来週の土曜日なら今の段階では空いてるんだけど、契約交渉によっては土曜日も仕事になるかもしれない』

「じゃあこの前みたいに、金曜日の夜に行きます」

『金曜日も遅くなるから待たせちゃうよ』

「待ってますから大丈夫、」

『でも本当に遅くなるし悪いから来なくて良いよ』

すかさず強い口調で言われて、行きますという言葉が喉元で止まり、口が重くなってしまった。

数えればもう3ヶ月会っていない。土日も仕事だと言われれば、それ以上は言えなくなるし、ジェインから会いたいと言われなくなって、どれくらい経つだろう。

「はい」

意気消沈したが、『壱花ちゃん、もうそろそろ寝るから、寂しいけど電話切るね』と言われ、スマホをOFFにした。

このところジェインは明らかに自分との距離を置こうとしている。

いつまでも色よい返事をしない自分に愛想を尽かして、嫌になってしまったのだろうか。

それとも。

他に好きな人ができてしまったのだろうかと、どうしても邪推してしまう。

遠ざけられる理由はたくさん思い当たって、どれも正解のような気がしてくる。

「やっぱり、うじうじはっきりしない私なんて……」

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