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 メアリー様の部屋に着いた俺は、綺麗な宝石を渡された。


「メアリー様、これは?」


「その宝石は、とある貴族が身に付けていた宝石なの。あなたには影の記憶(シャドウメモリー)を使って宝石から貴族の弱みになりそうな情報を見て欲しいの」


 影の記憶(シャドウメモリー)とは、俺の持っているスキルの事である。

 対象の影に触れる事でその記憶を見る事が出来、生き物でなくても記憶を見る事が出来る。

 まぁ、生き物でないものに記憶があるというのもおかしな話だが。


「分かりましたメアリー様」


「ふふふ、期待してるわよシン。私が弱みを握りたい貴族は邪魔な存在だから、早く潰したいの」

 

 メアリー様にご褒美として可愛がってもらうため、俺は宝石に触れ【影の記憶】を使い宝石の記憶を覗き込む。


「……メアリー様、残念ながら貴族の弱みになりそうな記憶はありませんでした……」


「……そう、……なら次はこの宝石を見て」


「……はい?」


 メアリー様に弱みになりそうな記憶がないと言うと、すぐに次の宝石渡してきた。

 メアリー様の後ろには沢山の宝石があり、これ全て見ろと言う事かと思い、思わず俺は固まってしまう。 

 それに 一個ぐらいの宝石なら貴族から盗んでも見つからないかもしれないが、複数の宝石を盗んだらさすがに見つかるのではないか。

 一体どうやってこんなに沢山貴族から宝石を盗んできたのか疑問に思った。

 するとメアリー様が俺の心を読んだのではないかと思えるほどタイミングよくその疑問に答えてくれた。


「あなたが心配している事なら、心配いらないわよ。この宝石は相手方貴族の使用人を私が操って盗ませたものだから。今頃操られていた使用人も皆ちゃんと死んでくれたと思うわ。証拠が残ったら困るもの」


 さらっとヤバイことを言うメアリー様。


「……まぁ兎に角、そこにある宝石全ての記憶を見ていけばいいんですね?」


「ええお願い」


 --それから俺は宝石一つ一つの記憶を見て言って、ついに相手貴族の弱みと言える記憶を見る事が出来た。


「メアリー様、目的の物がありました」


「ご苦労様シン」


 宝石から見た記憶を全てメアリー様に伝え、褒められる俺。


「それで、メアリー様からのご褒美は?」


 頑張ったからにはご褒美を貰わないと。

 

「無しよ」


「え! 何でですか‼」


「あげないとは言っていないわ。この弱味を使って相手貴族を潰せたらご褒美をあげるわ」


「……分かりました、メアリー様……」


 渋々引き下がり、ご褒美の為に頑張ったのにお預けを食らってテンションが下がる俺。

 

「一先ずあなたにお願いしたい事はこれで終わりよ。疲れているだろうし今日は休みなさい」


 俺はメアリー様に休めと言われ、使用人に案内されて用意された俺の部屋に向かい、メアリー様に可愛がってもらえなかったので、直ぐにベッドで寝た。 


 --それからメアリー様の動きは早かった。

 掴んだ弱みを使って相手貴族を潰すのに一週間とかからなかった。

 メアリー様ヤバすぎる。


「そう思えばメアリー様、あの宝石は一体いつ相手貴族から盗んでいたんですか? 俺と出会う前から盗んでいたと思うのですが、本来は何に使う予定だったんですか?」 

 

 メアリー様が俺と初めて出会い、俺を操ってスキルを聞き出して一日も経っておらず、どう考えても宝石本来の用途は別にある。


「ふふ、あの宝石は本来、別の貴族の家に使用人を使って宝石を忍び込ませ、宝石を盗んだと言う冤罪をでっち上げてその貴族の家を潰そうと考えていたの。でもあなたのおかげで、冤罪で潰そうとしていた貴族より、格上の貴族を潰す事が出来たわ」


「……どのみち、貴族を潰すのは決定なんですね……」

 

 だがこんなに貴族を潰そうとして一体何が目的なのだろうか?

 

「メアリー様、何で貴族を潰そうとするんですか?」


 俺がそう質問した瞬間、怪しげな笑みを浮かべ楽しそうにメアリー様が答えた。


「私はね、この国を滅ぼそうと思うの。だから、目障りな貴族を潰すのよ」


「こっ、この国をですか……」


「ええ、そうよ。……この国を滅ぼした後、私がこの国を好きなように作り変えて、王になりたいの」


「何故……そんな事を」


「何故? 簡単よ。だって…………面白そうじゃない」


 国を滅ぼし自分の物にしようとする事を面白いと言うメアリー様から、俺は狂気を感じた。

 だが俺はメアリー様の側にずっと居ると誓った。

 こんな事で怯む俺ではない。


「メアリー様。国を滅ぼすのはいいですが、そんな事より俺のご褒美をお願いします」


「……ふふ、確かに国を滅ぼす事なんかより、あなたにはそっちの方が大切よね」


 当たり前である、ご褒美のために俺は頑張ったのだから。


「おいで、シン。可愛がってあげるわ」


 両手を広げおいでと言うメアリー様に抱き付こうとした……その時。

 ドタドタと言う足音が俺の意味に聞こえてくる。


「メアリー様、大変です‼ 領地に謎の魔獣が現れ、大変な事になっています‼」


 使用人が慌てて現れた。


「分かったわ。すぐに情報を集めて私の所に持ってきなさい!」


 メアリー様に命令されて使用人は、急いで命令を遂行するため目の前から消えていく。


「そういう事で、あなたの褒美はまた今度という事にしましょう」


「……はい……メアリー様……」


 どうやらメアリー様からのご褒美はまだ先のようだ。

 

 クソォォォォ‼



 

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