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第22話「俺、火花のあねさんのためアマテラスの元へ走る。」

前回のあらすじ。

ミャノンが覚醒し、火花を助けるため精神世界へと向かう。しかし黒い火花との闘いで精神が死んでしまった火花。チェルノボウグ騎士隊も消えてしまい悲しみに暮れるミシロ達。

 火花が死んだ頃、丁度王都へ辿り着いた勇者達は教会へ向かっていた。何度も止血魔法を試すメルバが、魔力限界のため最後の魔法をかけた


「っ!?止血魔法が効いた!血が止まった!ガルド!血が止まったわ!教会じゃなく医療所へ!」


「やったな!やるじゃねえかメルバ!さすが俺の嫁だ!ブルース!もう少しだぞ!」


 背負われるブルースはすでに意識は無く、返事もないがかろうじて生きていた。医療所でなんとか輸血と治癒魔法が間に合ったが、切り落とされた腕は手遅れで、すでに回復不可能であった。勇者が敗北した噂はすぐに王都中に流れ、今まで火花の存在を軽んじていた人々に改めて恐怖を植え付けることになった。


 その報告を受け王都の城でヴェルカンディアス王と家臣達が集まり会議を開いていた。


「ブルースがやられてしまうとは。しかし生きていてよかった。おのれ死人の目ヒバナ。」


「国王様、あの天使は進路がずれてこの大陸には落ちないことがわかっている今、まともに死人の目と戦う必要はありませんぞ!翌週には全ての国民を転移魔法で移動させましょう!逃げれば良いのです!」


 家臣の一人が出した提案に、全ての家臣が頷いた。


「そうだな。この終わる世界で何を意地張る必要があるか……。生きてこそ意味がある、昔そんな説教をブルースにされた覚えがある。」


 全員が決心したその時、王室の扉を蹴破って一人の少女が入ってきた。薄桃色の鎧を着た少女は片手で入口の衛兵を投げ飛ばすと、ずかずかと国王の前へと歩いてくる。


「こんにちはー!」


「痴れ者め!」


 陰に隠れていた魔法使い達が炎魔法を放つが、薄桃色の鎧が突如青く変わり、目にも止まらぬ速さで残像を作りながら魔法使い達を手刀で気絶させてしまった。すぐに鎧の色は元に戻り、少女は両手を上げた。


「待って!争うつもりはないよ!私はこことは違う世界から来た東雲火花と申します。ヨロシクっ!」


「ひ、ヒバナ?貴様が死人の目ヒバナか!?」


「あ~、違うような合ってるような。でも私はこの世界を救いに来たんです!ブルーサファイアへの転移前に滅ぼされそうなんでしょ?神の使いの私に任せてみない?」


「……話を聞こう。」


 少女はにやりと笑うと、ヴェルカンディアス王へとんでもない提案をするのであった。


 その頃、火花の亡骸を前に泣き崩れる皆の前にウィンディーネが具現化した。比較的ダメージが少なく、ロードに継承されていたウィンディーネは具現化できたらしいが、その姿は曖昧で霞のように消えかかっている。


 ーまだ諦める必要はないわ。光の竜、アマテラスの元へ行けば精神を蘇らせられるかもしれない。ー


「ほ、ほんとか!?火花のあねさんは生き返るのか!?」


 ー光の竜アマテラスは心を司る竜。クラミツハと対をなす存在で神に近い力を持っているわ。けれどあの子ももう長くないのが感じられる。おそらく…持って二日。ー


「ウィンディーネ!そのアマテラスはどこにいるのかしら!?」


 ーここから離れているわ。王都を無視して向こう側、北の方向へ。北の古代遺跡の神殿にいるはずー


「き、北って!3日はかかる距離です!」


 ミシロが魔法で空中に地図を広げた。今は西と南の間にいる。しかし北に示されている古代遺跡地帯はかなり離れていた。


「俺が行く。俺の足ならなんとか二日で行けるはずだ!」


 ーしかし貴女はダークライトエルフ。クラミツハの眷属になる貴女には手を貸すとは思えないわ。-


「それでも行くしかねえだろ!足が千切れても辿り着いてやるっ!」


ティガが立ち上がると、火花のそばにいたフェンリルも立ち上がりすり寄ってきた。自分も行くというのだ。


「へへっ。いいワンコだ。チビ達、俺の背中に火花のあねさんを背負うから落ちないように紐で結びつけてくれ。」


火花の亡骸を背負うとティガはフェンリルに乗り、北を見据えた。


「お前達はアウラの元へ行ってくれ!あの天使が地表に落ちたらこの世界は終わりだからな!少しでも時間が惜しい!ミャノン、ダークルージュは重荷になっちまうからお前が持ってくれ。それでチビ達を死ぬ気で守ってやってくれ」


「ファイ!ティガ様、どうかご主人様を…火花様をお助けください」


「必ず生き返らせる!合流は四日後にここへ!フェンリル行くぞ!」


こうしてティガ・フェンリルは火花の亡骸を抱えて北へ。ミシロ・ロード・ミャノンはそのままアウラの元へと向かうことになった。主人がいないという不安と絶望の中、火花を信じて進むしか道はなかった。


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