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第20話「私、勇者との激戦。謎の力が現れます。」A

火花達は勇者達と戦うこととなった。


火花と勇者達との戦いが始まって数十分後。場所は崖から離れた森まで移動している。


そして火花は勇者に押されていた。


「うっ!?くっ!」


巨大な剣をまるで小枝でも振るかのように軽々と扱うブルースの剣撃に不死の力を失っている火花は防戦一方となっていた。そんな中、勇者は内心焦っていた。全力で剣撃を繰り出しているというのに、目の前にいる華奢な身体をした魔王は剣撃を全て防いでいるのだ。


「ふん!とりゃあ!」


スヴァローグの炎を避けるが、避けた先にペルーンの雷が飛んでいく。目まぐるしい、息もつかせぬ戦いが行われる。


一気に詰め寄った火花の蹴りが勇者の腹に直撃し、一瞬動きが止まった。その瞬間に袈裟斬りにしようとダークルージュを振り下ろすが、ギリギリで避けられる。


「くっ!やるな!ならばこれならどうだ!」


勇者はポケットから木の実のような物を取り出すと、火花の目の前で切り裂いた。途端、一瞬凄まじい閃光が弾けた。


「きゃっ!?」


目が眩んだ火花へ向かって剣撃が直撃し、雨のように血が飛んだ。胴体をばっさりと切られ、おびただしい出血。致命傷だった。


「火花様!?」


影で見ていたミシロの叫びと共に火花の意識はゆっくりと消えていきそうになる。その時だった。心臓が大きく一回動いた。地面へと倒れる直前、火花の身体から真っ黒な闇が噴き出した。


「な、なんだ!?」


トドメを刺そうと近寄ったブルースは一気に飛び下がった。その真っ黒な闇は一目見ただけで吐き気を催すほどの邪悪な気配を帯びている。魔王や怪物、魔物達と戦ってきたブルースでも初めて見るほどの邪気であった。


「来イ…フェンリル…」


フェンリルの指輪が光ると闇は火花を包み込んでいく。その異様な光景にミシロもブルースも一歩も動けない。


「火花様…?」


闇がまるで装着されるように火花の身体へ取り付くと、真っ黒な鎧を着た火花が立ち上がった。黒い狼のような兜で顔は見えなくなり、おぞましい姿となっていたのだ。


「あの姿はっ!火花様!落ち着いてくだ」


「ア…アッ…グオァァァアアア!ウォァアアアアー!」


黒い騎士となった火花は突如咆哮を上げた。その声は凄まじく、空気が揺れミシロは意識を失った。ブルースもその凄まじい声に脳が揺れ、体の平衡感覚が効かなくなる。


「ば、化け物めっ」


ガルドと戦っていたティガもその声と気配に気づいた。


「なんだ今の声は!?」


「火花の姉さんっ。ガルドさんだっけ?勇者様、死ぬぜ。てか俺らも殺されるかも…」


ガルドが背を向けて声の方へ走るとメルバも合流した。身体中切り傷だらけでボロボロになっている。ティガはロードの所へ駆け出した。


「ガルド!今の声は!?」


「わからねぇ!まずはブルースを!魔王の娘はどうした!」


「幻術で逃げてきた!あの子、とんでもなく強くなってた。竜の力を受け継いでたの」


「マジでこの世の終わりかもな。ブルース!」


声の場所へ着いた二人は戦慄した。この世界最強の勇者であるブルースが左腕を切り落とされ瀕死の状態で打ちのめされていたのだ。


「ガハッ…ガルド、メルバ、にげ…ろ」


黒い狼の騎士を見た途端二人の意識は決まった。全細胞が警告を鳴らしたのだ。


逃げろ


と。


「スモッグ!」


メルバが霧の魔法を展開して目眩しする間、ガルドがブルースを背負い一気に逃げ出した。


「逃ガサナイ」


火花が天へペルーンの指輪を掲げると、森全体に落雷が発生する。無差別なその攻撃はまるで仲間がいることを考えていない。


火花が逃げた勇者達を追うため駆け出そうとした時、腰の短剣が輝いた。チェルノボウグ不死隊達が具現化し、火花の前に立ちふさがった。


「我らが主、今の貴女はまるで全てを破壊するだけの存在。そんな貴女は見たくないのです!」


隊長だけでなく400名全員が火花を止めるため取り囲んだ。鎧を剥がそうと羽交い締めにし手をかける。が…。


「邪魔スルナァァァァア!!」


闇の混ざったスヴァローグの炎が全員を吹き飛ばしてしまう。しかし、彼等は誰一人として諦めない。


「主をなんとしても救い出せ!」


「紋章だ!火花の姉さんの鎧にヴェンジェンスウルフの紋章がある!そこをぶん殴れば戻るらしい!」


合流したティガも参戦した。ロードはその間にミシロを抱えて影へと隠れた。


「勇者は取り逃しちまうが、今はそれどころじゃねえな。火花の姉さんを正気に戻すんだ!」


「オオオオオオ!!」


不死隊とティガは火花と戦うことになってしまった。

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