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第19話「私、私を疑います。そして勇者襲来。」A

前回のあらすじ。

ウィンディーネの力を継承したロード。そして火花達を倒すために勇者がくることを知る。


次の竜の場所へ向かう前に火花達は草原で一息ついていた。何より火花が気になっていたことは勇者、ではなく暴走した自分の話を聞いたことだった。岩に座った火花はフェンリルを召喚した。


「フェンリル、おすわり」


ちょこんとお座りした神を討つ魔狼は完全に忠犬のそれであった。


「よし!合体!」


「?」


フェンリルはただ首をかしげるだけである。


「ティガ、本当に私フェンリルと合体してたの?」


「あぁ!マジだよ!ミャノンも知ってる」


「ファイ!たしかにご主人様はフェンリルと同化し、黒い狼のような、騎士のようなお姿となっておりました。」


「んー、ミャノン。メタトロンさんに無料通話して」


「ファイ!ティロリロリンッ!ティロリロリンッ!」


ーなにかしら?ー


メタトロンさんが出た瞬間、フェンリルの毛が逆立ち牙をむき出しにした。


「フェンリル、ステイ。久しぶりメタトロンさん。なんか私暴走してフェンリルと合体?同化?したみたいなんだけどなにそれ」


ー…え、なにそれ。知らないですー


「えー、神様なのに知らないの?だっさ」


ー…最近口が悪くなってきてますよ貴女。いや元からかもー


「あ、紹介してなかった!新しい仲間のロードとティガ。魔族の生き残りとダークライトエルフ。」


「改めまして、ロードよ。」


「俺はティガ。神様って本当にいるんだな」


ー紹介もなにも貴女が暴れてる時に知ったわよ。ふむ、私達神に仇をなすフェンリル。存在は知っていたけれど、ここまで忠実に従うなんて。ー


「あ、あとなんか私の偽物いるんだけど!黒いやつ!」


ー……なんでしょうね?ー


「チッ……。あと、勇者いるらしいじゃん。なにそれ」


ー勇者、あぁそんなのも前にいたわね。私ではない別の神が送り込んだ人間よ。ー


「ってことは私と同じ世界の?」


ーそれはわからないわ。けれど、神が送り込んだ人間なのは確か。神の力を持っているから、強敵よー


その時、絞り出すようにロードが声を出した。足は震え、顔は青ざめている。


「わ、私、勇者見たことあるわ」


「そういえば、チビの親父さんって魔王だったんだもんな」


「ええ、先の大戦で私のお父様と勇者が戦ったの。私は影でそれを見ていた。あれは私が言うのもなんだけれど化け物よ。お父様は手も足も出なかった。私は怖くて…なにもっ…」


ミシロに目配せすると何も言わずにロードをそっと抱きしめた。ほんと有能。


「メタトロンさん、その勇者は私が倒すよ」


「火花のあねさん、私、じゃなくて私達だろ?俺らを忘れないでくれ」


「あっ…フフ。ありがとう。」


「っ!?い、いやその…」


ティガは顔が熱くなった。火花が稀に見せるその優しい笑顔はなぜか照れてしまう。


「わからないことだらけだけど、前に進むしかないね。竜の力をもらってあの空の天使をなんとかして、勇者も人間も全部ぶっ殺して、この世界救わなきゃ」


ー良き旅を。ではまたー


立ち上がった火花は内心不安を感じていた。先程までは皆んなを不安にさせまいと気丈に振る舞っていたが、自分が何なのか、もう一人の自分の存在、暴走、それらが気にかかっていた。


「私…何なんだろう」


その頃、ヴァルカンディアス王都の外れの森の中に一人の男が立っていた。森の中には巨大な台座に突き刺さる大剣が木漏れ日を受けて静かに存在している。その大剣を男は悲しい目で見ていた。


響姫(ひびき)、君をまた戦場に連れて行かなきゃならなくなった。また、一緒に戦ってくれ」


柄を握った男はゆっくりと大剣を引き抜き、天へと掲げた。美しいその刀身は木漏れ日を受けて煌々と輝く。その様子を見ていた小さな女の子と手を繋ぐ女性は不安そうに声をかけた。


「ブルース、本当にあなたが行かなければならないの?もう魔王も倒して、別の世界で平和に暮らすんでしょう?」


「リーテ、これは勇者としての定めなんだと思う。また新たな敵が現れたらしい。今度の敵は前回の魔王の比ではないという。この大陸以外にいた人間は全て焼き尽くされたらしい」


「ッ!?そんな相手に一人で行くなんて無茶よ!私も一緒に!」


「アンを守ってやってくれ。それは君にしかできないことだ。頼む」


「…わかった。けど絶対に死なないで。私達のところへ帰ってきて」


「約束する。」


二人は抱きしめ合うと、木陰から屈強な男と黒いフードを被った女が現れた。


「お熱いところ邪魔しちまうぜ。おー!アンちゃん大きくなったなぁおい!」


「ガルダおじちゃん!メルバおばちゃん!」


「お前達、なんでここに!?」


「魔王より危ねぇ奴が現れたんだって?そんな奴にお前一人で行かせてたまるか」


「そうよ?それに、この世界を守った英雄を一人で行かせたりしたら、同じパーティーを組んでいた者として恥ずかしいわ」


「ガルドさん、メルバさん…」


「リーテ、お前の旦那さん、勇者様は俺達が守ってやる。安心して王都でまっててくれ。あーそうだ!久しぶりにリーテの焼くアップルパイが食いてえな!メルバのアップルパイは不味くて仕方ねえんだ!」


「その口魔法でパイにしてあげようか。」


「あ、そうだ!お前達の子どもは!?男の子と女の子いたろ!?」


「あぁ、あいつらは俺のお袋のところに預けてきた。ちょっとした夫婦旅行だってな。お袋は勘づいてたみたいだがな」


「ちょっと寂しい思いさせちゃうけど、人類の危機だし仕方ないわ。それで、その相手ってのはどういう奴なのかしら?」


「あぁ、名前は死人の目ヒバナという魔族らしい。六大竜のスヴァローグとペルーンを吸収して人間を惨殺しているらしい。すでに、隣大陸は全滅したと。」


「おっ…おお。確かに前の魔王よりヤバいな。」


「装備も揃えていかないと、かなりきつそうね」


「それにそのヒバナという魔族は人間だけを狙っているらしい。他の異種族を仲間にしてこの大陸まで来ていると。」


「人間も相当恨まれちゃったわね。まぁ、世界が滅ぶって時に難儀なものよね」


「フフっ、イヤになっちゃうわ?って言わないの?」


「もうそんな歳じゃないわよ」


四人が乾いた笑いをしている時、一人の兵士が馬に乗って走った来た。


「お伝えします!死人の目は東の方へ向っているとのことです!神罰隊のアリア様からの情報ですと、三体目のウィンディーネも吸収されたとのこと!」


「いよいよ冗談じゃ済まされなくなってきたな。ガルド、メルバ、準備が整い次第討伐へ行くぞ!」


三人が駆け出し、その姿をリーテとアンナリーゼは見つめていた。


「神様、もしいるならあの人をお守りください。」

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