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第14話「私、戦艦モビィディックを手に入れます。そしてヴェルカンディアスへと」A

前回のあらすじ。

マリアブルで謎の敵との闘い後、合流したエルフ達を召喚昆虫から救い出した火花はティガを仲間にする。

 

「「「でかああああぁああああい!」」」


 火花、ミシロ、ロードは興奮していた。先程は戦闘で夢中になって気にしていなかったが、砂浜に真っ白な巨大戦艦が横付けされていた。その大きさは見上げると思わず口が開きそうになる程であった。


「おおご主人様っ!全長400メートルはありますよこの戦艦!いいです!実にいいです大艦巨砲主義!」


 しばらく黙っていたミャノンも叫んでいた。


「うわうるさ」


「火花のあねさん、こいつは3年前人間が残していった軍艦モビィディックさ。どうやらヴェルカンディアスに行く前にぶっ壊れて捨てていったみたいなんだ」


「はぁ~、どこが故障してるの?」


「調べてるんだがどうやら船の動力室になにかあるみたいでよ。どうにかしようと思った矢先にあのムカデ達が砂浜から湧き出てきやがったんだ。火花のあねさんが来なかったらと思うと背筋が凍るぜ」


「あの、ティガさん。エルフさん以外にもたくさんいらっしゃるようですが?」


 甲板に上ると旅の途中で見かけたリザード達や商業ゴブリン、妖精のピクシィ、船周りにはマーメイド族等様々な異種族が船を動かそうと動き回っていたり、先程の戦闘で傷ついた者達の救護に回っている。皆、歩く火花達に頭を下げていく。


「こいつら全員、火花のあねさんの傘下にはいるぜ。来る途中戦いたいやつらかき集めてきたんだ。大体500ってとこかな?今まで人間どもに苦しまされた分やりかえしてえってやつらの集まりさ。それに火花のあねさんならあの空にいる糞女神もなんとかしてくれるかもってよ」


「それは私も考えてた。あの審判の女神とかいうやつは因果だかなんだかって存在で、簡単には消せないらしいんだ。けどあと4匹の竜を見つければあれを倒せるかもしれないって。」


「へぇ、ん?てこたぁもう2匹は!?」


「あぁ、私がもらったよ」


 スヴァローグの炎の鎧をまとい、ミシロがペルーンの雷弓を装着するとの衝撃に船が揺れ、甲板に驚きの声が上がった。


「あ、ごめん!びっくりしちゃったよね!?気にせず仕事続けてね!」


「すげえぜ火花のあねさん。これなら本当に人間を倒せるぜ。」


 すると黙っていたロードのお腹からキュルキュルと小さく音がなった。そして共鳴するようにミシロのお腹も鳴る。


「あっ、わわ!」


「ハハッ、チビ達も腹が減ったよな。まずは飯にするか!」


「チビじゃないわよ!」


「チビじゃないです!」


「へぇ?俺は今年で237歳だけど、チビ達は?」


「ぐ、ぬぬ。123……」


「お、同じく……」


「ぷっ。さて食堂についたはいいが俺は料理なんてできねえんだよなぁ。出来るやついるか?」


 そこにミシロが喜々として手を挙げた。


「はい!はい!私奴隷の時に給仕もしたことがあるのでできます!」


「ミシロちゃんさすが!任せたよ!作ってる間に動力室見てくるから」


「ふふん」


 そのミシロのドヤ顔を見てロードは内心料理を学ぼうかと考えていた。



 地図を見ながら動力室へと向かって艦内を歩いていると、中は全く荒れておらず綺麗な内装だった。武器庫にも武器は残っており、本当にそのまま乗り捨てていったようだ。


「このモビィディックって戦艦、なんかおかしくない?」


 ロードが疑問を投げかけた。実は火花もティガも同じ違和感を感じていた。


「確かにおかしいぜ。打ち捨てられて3年、ずいぶん経ってるはずなのに食料も真新しいし海水に着いていたはずなのに腐食もない。」


「なにかの魔法がかかってるとか?」


「その線はあるぜ。おっと、何か来たな」


 暗い通路の先からよろよろと黒い者が三匹現れた。それは町でロード達を襲った者と一緒だ。


「なるほど、簡単には行かせてくれないわけね」


 火花がダークルージュを抜くと、ティガが不敵な笑みを浮かべてそれを止めた。


「火花のあねさんまで出る幕じゃねえよ。まぁ見てな。フッ!」


 金色の瞳がきらりと光ると一瞬で黒い者の目の前へと移動した。


「速いっ!」


 火花の感嘆の声が届く前に、すでにティガの渾身の右ストレートが黒い者の頭を弾き飛ばしていた。その勢いのまま右回し蹴りで二体蹴り飛ばす。


「へへっ、どうよ火花のあねさん!チビ!ダークライトエルフの中じゃ俺より強いやつはいなかったぜ?」


「わーお、マジ丸見え」


「す、すごいけど、パンツ見つけたら履きなさいよ?」


 ティガの頬が赤く染まり、そのまましばらく彼女は喋らなかった。もし自分がドヤ顔で敵を倒した後ノーパンだと気づいたら同じように喋れない、と火花とロードも思った。しばらく進むとロードが立ち止まる。


「火花様、動力室って書いてあるわよ!」


「この世界の文字も勉強しなきゃな。さて開けてみよ」


 私達三人は動力室を開けた途端、恐ろしい目に合うことになった。


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