第27話 地中国アングラウンダーの悲劇
ビー・クイーン目線の話です。
第27話 地中国アングラウンダーの悲劇
ビー・クイーンの話はこうだった。
元々、ビー・クイーンは地上に住んでいる種族ではなかった。
彼女は、『地の世界』にある国、『地中国アングラウンダー』の女王であった。
約1000年前、いきなりと言うか、突然の事であった。
自分達の国の隣において大きな魔力震があった。
地の神の加護を受け、この地を治めていたビー・クイーンにとっては外敵もいない地中の土地は素晴らしいところであった。
その魔力震、つまり、魔力で起こる巨大な地震である。
下手をすれば落盤などで多くの同胞の命が失われる恐れがあるため、その震源を確認するため、その目的地となる隣の地域へ調査に向かったのだった。
そして、ようやく、目的地に着いた彼女達が見たのは恐ろしい光景であった。
明らかに自分達よりも強い人間がそこにいた。
それがアズマンだった。
アズマンは自分達、神魔虫の虎蜂族に対して地上で起こった事を説明した。
話によるとアズマンは、地上において魔物と人間との共存を目指していたが、ある時、魔物達が反乱して、人間を襲った。
それは、共存の約束をした三体の魔物のうち、二体を除いて強力な個体が関わっていた。
アズマンはそれらを自分の空間魔法で閉じ込めたが、魔物の襲撃を許さない者達がいた。
それは、『神の子孫』とも呼ばれる神の力を受け継いだ神の民『亜神族』と言われる者達だった。
元々、彼等は自分達の強力な神通力で人間世界を支配していた。
彼等はその力を使って力の弱い人間族に対して奴隷のような扱いをしていた。
また、魔物達とは犬猿の仲であり、常に戦争をしていたらしい。
そこに突如として現れたのがアズマンだった。
彼等の力でもアズマンには全く歯が立たなかった。
それらを治めていたアズマンだったが、『亜神族』の襲撃を受けたため、全ての時間を止め、膨大な魔力を使って彼等『亜神族』達をこの『地の世界』に転送させたのだった。
だが、『亜神族』の者達も時間を止められたとは言え、神の力『神通力』を持つ者達である。
アズマンの時間停止の魔法を解くために、全亜神族の者が自分達の魔力を集結させてアズマンの魔力を弾き返し、時間を動かすという攻防が始まったのだった。
それが、魔力震の原因であった。
ビー・クイーンは自分達の力ではどうにもならないほどの魔力を持つ者同士のぶつかり合いにどうしていいのかわからなかった。
そこにやって来たのが、マグローシャ達四人の魔女だった。
彼女達は地中にいる我々の存在を感じ取り、アングラウンダーまでやって来たのだと言った。
そして、このままでは地中国は落盤により国が滅亡の危機に陥ると説明を受ける。
そして、我々に力を貸して欲しいと言われる。
現在、地下に移動させた『亜神族』を封印をするため、4つの森を作っており、その森を守る魔物の王が三体までそろっているがあと一体足りないので、困っていると…
たが、ビー・クイーンには自分達の生活を守らなければならないという宿命があるのと、このまま地中国を離れることに抵抗があり、この話を一旦断ったのだった。
その後、結果的に、亜神族は魔力が追い付かず、圧倒的なアズマンの魔力により、時間が完全停止した。
それが、約1000年ほど前の事であったらしい。
そのため、自分達の地中国も安定したと思っていたところ、とんでもないことが起こる。
アングラウンダーにおいて巨大な落盤事故が起こったのだった。
それは、これまでにアズマンと亜神族が長きに渡って魔力を放出し続けた代償であった。
これにより、虎蜂族が壊滅的な被害を受け、生き残った者もわずかとなっていた。
そして、命からがら、地上の世界へ避難したのだった。
そして、その避難場所となったのが、ブラキア神聖国であった。
何故だったのかと言うと、落盤で落ちた天井部分の岩盤を辿っていき、ちょうど地上に出られる程の岩の隙間が開いていたのがブラキア神聖国のガルクシオン領内であったからだった。
ガルクシオン領内は地中国と違い、気温は不安定であったが、森の動植物がもたらす恩恵は彼等の救いであった。
その頃、ブラキア神聖国内では、獣人排除運動とそれに対する抵抗勢力との戦争が起こり始めていた。
ビー・クイーン達にすればどちらかと言えば、獣人に肩入れしたいところだったが、そうも言えない事情があった。
それは彼女達が、地上に現れた時、たまたまであったが、この領地の領主であるフリック・フォン・ガルクシオン伯爵が、その地『スキュラカイト山脈』近くまで視察に来ていた時の事だった。
そこはそそり立つ山脈の裾部分であったが、その辺り周辺は断崖絶壁となっていて、来る者を拒絶しているかのごとく、多くの岩が重なるようにしてそそり立ち巨大な壁の様に連なっていた。
そして、ガルクシオン伯爵がその絶壁の下付近を通っていた時であった。
運悪く地中で起こった魔力震の余波の影響が地上まで届き、その絶壁の岩盤を崩し、伯爵達の頭上からその崩れた岩が落ちてきたのだった。
この時のガルクシオン伯爵は自分達の死を悟ったが、結果的に死ぬことはなかった。
それは落石が伯爵達の所に到達する前に、それに気付いたビー・クイーン達が伯爵や追従の家臣達を抱き抱え、空へ回避したのだった。
ビー・クイーン達にとって伯爵達は、全くの異種族であり、助ける義理もなかったのだが、この気紛れとも言うべき行為が後のビー・クイーン達の運命を左右することになるのだった。
間一髪、その落石から逃れることが出来たガルクシオン伯爵は、ビー・クイーン達に感謝の意を表すると共に、彼女らの身の上話を聞いたのだった。
するとガルクシオン伯爵は、助けられた事に恩義を感じていたので、ビー・クイーン達に引き続きこの森へ住んでもらうようにお願いする。
この申し出はビー・クイーン達にすれば願ったり叶ったりであった。
こうして、棲み始めたガルクシオン領の森は、彼等にとって恵みの森であり第二の故郷となりつつあった。
そして、しばらくすると、彼等はブラキア神聖国内でも領主を助けた魔物ということで有名になり、神魔虫でもあることから『神の蜂』呼ばれる様になっていた。
国民は、全くこういった事情を知らなかったためと、この国の紋章がたまたま『蜂』だったこと等から、国王が『神の蜂』を従えていると噂し、国王を称えていた。
だが、ビー・クイーンにとってはそんなことはどうでも良かった。
この地で幸せに暮らせるのであれば、そんなことは瑣末な事だと…
そうしていた頃に例の亜人種排斥運動が起こる。
人と獣人が血で血を洗うような戦いを繰り広げ出した。
ビー・クイーンはガルクシオン伯爵達の庇護を受けていた事もあり、彼等を助けることにした。
彼等は神魔虫という魔物であり、亜人である獣人達とは違う。
だが、この国の人間は自分達と違う姿をする者を全て排除しようとしていた。
その行動は、既に常軌を逸しており、異常で、狂信的にも見えた。
事の発端はワーウルフが20年間にも渡って人間を食べ続けた事が原因だと言われていた。
だが、第三者的な立場であったビー・クイーンはそれに違和感を覚える。
『原因はもっと別のところにある』と…
実は彼女達には特殊な能力があった。
彼女、つまり、ビー・クイーンには『地中国』でやるべき仕事があった。
それは、ガロヤスミカンダという混沌を撒き散らす邪悪の根元を見つけて排除、もしくはそれに代わる措置を取ることが出来るようになっていた。
それが本来の神魔虫『神の蜂』のする仕事であった。
「えっ?という事は、あの『ワーウルフ伝説』は…」
「そう、魔物や魔族に近い獣人はあの事件をきっかけに、ガロヤスミカンダの作り出した『暗黒の魔素』に冒され、凶悪化してしまった。そして、あの様な大きな事件が起きてしまったのだ。」
「ガロヤスミカンダに『暗黒の魔素』?それって…」
「何か心当たりでも?」
「あ、いや多分それは我々で言う『悪魔素』の事かなと…」
と言って誠三郎はビー・クイーンに一年前に起こった事件の事や『悪魔素』の説明をする。
「なるほど、『悪魔素』か…それに…やはりガロヤスミカンダは現世に現れていたのか…これはお前達に礼を言わねばならないようだな。」
とビー・クイーンが少しだけ頭を下げる。
「この時にマグローシャが来たのは?」
「なんだ、そこまで知っているのか?ああ、そうだマグローシャ達はどういう訳か、すぐに私のところにやって来た。まあ、彼女達の一人に特殊な能力がある者がいるみたいでな、何が起こるのかわかるようだった。」
「なるほど、それで…」
「彼女達の力を借りながら、その『悪魔素』に冒された獣人を排除していった。ガルクシオンにはこの事は内緒にしてくれるように頼んだ。」
「まあ、そうなるな…」
「我々にはあの『悪魔素』を排除する能力があった。それらを排除するため、魔素の溜まりやすい地中に住んでいたのだが、神から借りた力『聖霊力』のさらにその上の勇者の力とも言われる『聖神力』というものが、あるものを介して扱えるようになっていたので、悪魔落ちに近い状態になっていた彼等を撃退することが出来たのだ。」
「なるほど、そういうことだったのか。」
「そして、そのあるものと言うのが『ケントルム・テラエ』のことなのだ。あれは元々、地の神とか土の神と言われるハニヤマヒメ様から授かった神器で、我々の持つ『聖霊力』をその剣で増幅し『聖神力』にするという力を持っていた。」
「それが何故、『マリガトリアン』の鍵を取り出すアイテムに?」
「マグローシャだ。『マリガトリアン』の全ての仕掛けはアズマンとあの女が構築したらしい。我々がその時の対応でブラキア神聖国とは敵対することはなかったが、国内での亜人排斥運動は過激化し、我々の生活も脅かされる様になっていた。」
「それはまた、難儀な…」
「ああ、ガルクシオン伯爵はこの地に残ってもらってもいいと言ってくれたが、我々のせいで亜人を匿っている等と言われて迷惑を掛けたくなかったから、マグローシャ達の管理する『四つの森』に移住することにしたのだ。図らずも、マグローシャ達の思惑通りに事が運んだと言うわけだ。」
「それで、あの剣を?」
「そうだ、我々が、アズマンに反抗した下等な魔物の様になるのを抑えるためなのか、単なる気まぐれなのか…あの女は我々の宝を取り上げ、『マリガトリアン』を封じるための道具の1つにしたうえ、その後、それをあの神剣が何であるのか、その価値すらも知らないような弟子の一人に奪われたという失態を犯した。我々もあの剣の捜索をしたかったが、森の番人に成り下がってしまい、そんなことすら出来なくなってしまったがな。」
とビー・クイーンはガックリと肩を落とす。
「なるほど、そういうことだったのか。」
誠三郎があの剣にかかる全ての謎が解け、頷く。
「わかった。必ず、お前達の所にあの剣を戻してやる。」
誠三郎はそう言い残し、一旦森を離れることにしたのだった。
ギ「ところで、ヴィスコ、前回の続きなんだが…」
(* ̄∇ ̄)ノ
ヴ「なんでしょうか、その薄ら笑いは?」
(;¬_¬)
ギ「いや、前回はあたしがお前にしてやられたが、今度はお前がしてやられる番だと思ってな。」
( ̄ー+ ̄)
ヴ「ドキッ!って、いやいや、私なんかそんな相手はいませんから。」
(;´゜д゜)ゞ
ギ「本当にそうかな?」( →_→)
ヴ「何ですか、その目は?」(|||´Д`)
ギ「あたしも女だよ、お前が誰のことを気にしているかくらいはわかっているんだよ。」
(´・ω・)っ
ヴ「えっ?」Σ(・∀・)
ギ「ジパングの…」(~ ´∀`)~
ヴ「ぎゃー!」ヽ(;゜;Д;゜;; )ギャァァァ
ギ「クックックッ!恐れ入ったか?」
(* ̄∇ ̄*)
ヴ「参りました。」(ノдヽ)
流石のヴィスコもギルガ様には敵わないみたいですな。ヾ(゜▽゜*)




