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伯爵令嬢は精霊の加護を受けることができるか?  作者: 江川 凛
第2章 準備
41/41

目標

 私は自分で思いついたメアリー様と良好な関係を保つという考えをまず、お父様とお母様に話してみました。

 お二人とも賛成してくれました。


 ま、当然でしょう。国で1,2を争う有力貴族であるルクセンブルク公爵家と本気でやりあうよりは、それを回避できる道があるのなら、その方が良いに決まっております。

 ただ、ハルの行った未来予想をどこまで変えることができるのか、と聞かれると、正直私も不安でしたし、私をいじめていたメアリー様の顔が怖くてたまりません。


 しかし、黙ってハルたち精霊の駒になるのを待っているより、絶対こっちの方がおもしろいですし、失敗したら、失敗したで、その時は当初の予定どおり、全面戦争でもなんでもするだけの話ですから、やってみて損はないはずです。


 ただ、私がいきなりメアリー様にお会いできるはずもありません。

 それに、下手に媚びをうるようなことをすれば、敵対はしないかもしれませんが、手下のようにされても困ります。

 おそらく、そうなってでもおこぼれにあずかろうとルクセンブルグ公爵家に近づいてくる方は大勢いるでしょうから、私もその1人とみなされてはたまりません。

 

 時間はまだあるのですから、慌てることはありません。

 最悪、ブランデンブルグ侯爵家やラインハルト様に頼るという方法もないわけではありません。

 ただ、できればあまり利用したくはありません。下手にそんなことをすれば、私が下心をもって接しているように思われてしまいかねませんから。


 カノン様はもう大分、自分でマナを集めることができるようになりました。もう間もなく私の援助は必要なくなるでしょう。

 どうやら、カノン様は火と水の2種類のマナを集めることができるようです。


 思いだしても顔が赤くなるのは、初めてカノン様がマナの吸収に成功なさったとき、「何色のマナがみえますか?」と聞いてしまったことです。


 私は特に深い意味もなく、認識できて使えるマナを確認したかっただけなのですが、「すいません。何色というのかわかりません。」とカノン様が言われたときは、自分の馬鹿さ加減にあきれてしまいました。

 カノン様は3歳の頃から目が見えません。

 当然、赤はどんな色、青はどんな色だかわかるはずもありません。


 そんなことを思いつかず、傷つけるようなことを言ってしまい、ひたすら謝るしかありませんでした。

 おやさしいカノン様は、「自分が悪いから」とご自分を責めておられましたが、どう考えても悪いのは私です。

 この時程、相手の立場にたってものごとを考えることの重要さを思い知ったことはありません。


 ただ、幸いなことに、赤と青のマナを一種類ずつ吸収することがすぐできるようになりましたので、「これが赤です。これが青です」と示すことができました。

 結果的に2色だけですが、色を認識できるようになって本当に喜んでおられました。

 斯様に何とか色を認識いただくことができて、最後は何とかなったのですが、本当に今思いだしても恥ずかしくてどうしようもありません。


 さすがにラインハルト様とはあれ以降2週間程お会いしておりません。

 お忙しい方だというのは如何な私でもわかりますし、家に来ていただいたことだけでも奇跡のようなことですから、多くを望んではいけないということはわかっております。


 ただ、最初来られた時の対応が、いくら突然の訪問とはいえ、今思いだしても少しひどかったと思うので、今度はもう少し丁寧に対応したいと思っております。

 それに、最初お会いしたときは、人の話を聞かないという悪い点が目立っておりましたが、考えようによっては、良い意味で私を引っ張ってくださる方と思うようになっておりました。


 それに何と言っても、はじめてできた異性のお友達です。

 マリン様やカノン様とどこか違うところがあるのかと言われると、よくわかりませんが、私をカノン様とは別の意味で真っ赤にさせるようなことをなさったのは一生忘れないかと思います。

 またお会いしたいと思っているのも正直な気持ちです。

 

 こちらもハルに言われたからというよりは、私が会いたいからと思えるようになりました。

 確かにハルは私のことを考えていろいろ言ってくれたのでしょう。

 ただ、それはおそらく強い駒になることを想定しての発言だっと思います。


 確かに精霊にしてみれば、私は単なる駒にすぎないかもしれませんが、精霊の言いなりになるのはごめんです。

 メアリー様のことにしてもそうです。何も争う理由がないのに、そう仕向けられています。

 何かそう思ったら、加護がどうこうというより、押し付けられるのは嫌になってしまいました。

 

 私はもっと自由に生きたい。

 ただ、そのためにはもっともっと強くならなければなりません。

 もしかすると精霊(の加護を受けた人)と敵対することになるかもしれません。

 当然、精霊の加護に頼るより大変でしょう。でも、そうありたい。そう思ったら久しぶりに本当に気持ちがすっきりしておりましたし、何より今後の目的ができたことがうれしくてたまりませんでした。

 とりあえず、これで、第1部完とされていただきます。これまでお付き合いいただき本当にありがとうございました。

 正直、話が当初の想定と大分異なってしまい、このまま続けるのはかなり困難となってしまったというのが本当のところです。

 もしかすると、全面書き直しもあるかもしれません。

 また、少し設定をかえて第2部という考えてもないではありませんが、何にしろ、これでひとまずは終わりとさせていただきます。

 本当に今までどうもありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言]  最終更新日が2016年 作者様ももうこのサイトを見ていないかもしれませんんがおもしろかったです。  また、見ていたとしても、この作品の内容を忘れてしまったかも知れません。  続き読めた…
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