表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢の兇器はドス黒い鈍器《パイプ椅子》です ~前世は病弱、今世は物理最強。魔法もチートも私には勝てません~  作者: 月館望男
【第10部】東の島国・トヨノクニ開国(物理)編 ~悪役令嬢、黒船になる。鎖国? ならば「開国(物理)」して、美味しいお米と温泉をいただきますわ~
95/179

第095話 アリスの巡礼ライブ:神様だって「推し活」したい! 呪いを解くのは祝詞ではなくアイドルソング!?

 黒鉄隊による開墾が進み、オワリの地力が回復しつつある頃。

 わたしとノブナガが本拠地で軍備を整えている間、アリスはカエデと数名の護衛を伴い、西の国境付近にある古い(やしろ)を訪れていた。

 目的は、この国の「地脈」を復活させること。


「……ひどい。ボロボロだよ」


 アリスが悲しげに呟く。

 かつては参拝客で賑わっていたであろう神社の境内は、雑草に覆われ、鳥居は朽ちかけ、手水舎の水は干上がっていた。

 何より、そこにあるはずの「気配」が、あまりにも薄い。


「この国の神様たちは、土地と人と繋がっているんです。……人が飢え、土地が荒れれば、神様もまた力を失い、消えてしまいます」

 カエデが静かに説明する。


 アリスは無言で頷くと、リュックから「タカニシキ」と「オダヒカリ」の握り飯を取り出し、埃を払った祭壇に供えた。

 そして、パンパン! と柏手を打ち、祈りを捧げる。


(神様、神様。……美味しいご飯を持ってきたよ。食べて、元気を出して)


 その時、祭壇の奥から微かな風が吹いた。

 アリスの脳裏に、直接響くような声が届く。


『……美味い、米であった』


 アリスが顔を上げると、そこには半透明の、痩せこけた白狐の姿があった。

 土地神の化身だ。


『だが、足りぬ。……腹は満ちたが、心が寒い』


「心が……?」

 アリスが問うと、神は荒れ果てた現実の社を指差した。


『我らは、人の「気」を糧とする。……恐怖や絶望ではない。喜び、笑い、そして明日を生きようとする熱気(エネルギー)。それがなければ、我らは土地を守れぬ』


 神の姿が薄れていく。


『娘よ……。水だけでは足りぬ。米だけでも足りぬ。……この国に必要なのは、「祭り(ハレ)」じゃ。……人が集い、笑い、地を揺らすほどの熱狂こそが、呪いを祓う最大の祈りとなる』


 その言葉と共に、神の姿は掻き消えた。

 代わりに、祭壇の裏から一冊の古びた書物が転がり落ちてきた。


「……これ、なんだろう?」


 アリスが拾い上げて中を見ると、そこには古代の文字で記された神話が描かれていた。

 光と闇の女神が背中合わせに座り、世界を回している絵図。

 そして、『光は命を育み、闇は器を作る』という一節。


「……そっか。わかったよ、神様」


 アリスは本を懐にしまい、立ち上がった。

 彼女の脳裏に、前世の記憶――スタジアムを埋め尽くす観客、ペンライトの光、そして地響きのような歓声がフラッシュバックする。


「レヴィちゃんたちが『物理』で耕すなら……私は『エンタメ』で耕す!」


 アリスはカエデを振り返り、キラキラした目で宣言した。


「カエデちゃん! 計画変更だよ! ただお米を配るだけじゃダメだ!」

「は、はあ。ではどうされるのです?」

「決まってるでしょ! ……歌って、踊って、お米を食べてもらう! 種籾を配って、ついでに握手会だってしちゃうよ! 小さなお祭り! 『全国・神社仏閣・復興ライブツアー』の開催だよ!!」


 聖女アリス改め、「アイドル巫女アリス」の爆誕であった。

聖女アリス、アイドル巫女として覚醒。神様も推し活には勝てません。信仰心(ファン心理)で国を浄化していきます。


アリスのライブに参加したい方は、ブックマークをお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ