ep.15 筋肉とどうぶつの森
RPGを進めてる気分で書いてます
「双子ー! もういいだろその辺で! 捨てに行くぞー!」
重機ロボットを散り散りの塵屑にして満足げな双子に、コミュニティの男が声を掛けた。
敵の残骸を片付けるコミュニティの男たちは、20代から40代くらいと年齢はバラバラだが、全員ガタイが良かった。
見た目だけなら辨野たちよりも戦闘力がありそうだったが、
「俺たちも戦えるといいんだけどなぁ」と残念そうに言った。
ボギーはその言葉に「えっ?」と驚き、
「式神って、お願いすればやってくれるんじゃないの?」と聞いた。
「んなわけあるかアホ」とレジー。
「体質、相性」とキャンティ。
ボギーはまだぐったりと座り込んでる辨野の隣にしゃがみ込み、
「ホントに相性抜群? まだぐったりしてるけど」と辨野を指して言った。
「……俺が聞きたい」
男たちは辨野を見て笑った。
「筋肉はベンよりあるんだがなぁ」と胸筋を叩いた。
別の男は、
「腕力はコイツらよりあるんだがなぁ」と双子の頭を撫でた。
「やめろゴリマッチョ」
「さわんな」
笑って双子をいなす男たち。
「さて、飯食っていけよ、お前ら」と言われたが、ボギーは残念そうな顔をした。
「あー多分、俺は結界通れないっす」
辨野はそれを聞いて「あ」と声を上げた。
「悪い、結界が通れないかもってイズモの事。あそこは別格なんだよ。ここは多分平気だ。うちのマンションだって平気だろ? マンションがあるブロック全体も結界張ってもらってんだぞ」と言った。
「そうなの?」
「追っ手が迷いやすいようにね」とビリーが言った。
「だから家を追跡されたこと無いのか。納得」
「じゃあ行くか」
屈強な連中に拉致られて、皆で森の中に入って行った。
ひっそりと森に隠れるように、でも堂々とした佇まいの大きな御堂に着いた。
御堂の裏にはいくつかコテージがあった。
「連れて来たぞ!」
真っ先に数頭の大型犬や小型犬が出て来て、男たちに走り寄って来た。
コテージから次々と人が出て来て、ボギーたちに声をかけた。
その中にいたベティとハナは、双子の顔を見るなり
「あっ!」っと声を出して青い顔になった。
「あ! テメーら!」
レジーは眉毛を吊り上げ、
「今度やったらもっとド田舎に強制送還するからな!」と怒鳴った。
「ごめーん」
「ドンくんと一緒に、ダイズくんのとこに行ったんだけど……」
「どーせお前らだけで遊びに行ったんだろ」
キャンティが冷たい目線を送った。
そんな会話を耳にした若い男が、双子に話しかけた。
「いつの間にかいなくなってたんだコイツら。お前らが一緒に機材を運んでくれるって言うから連れてったのに」と言った。
ベティは少し強気な態度で、
「ヤスたちが車まで運んでくれたでしょ、どうせ」と言った。
ボギーはまるで同級生のようなやりとりを懐かしく思い、
「仲良いね」と言った。
「どこが?」
ベティは怪訝な顔をした。
「私たちは幼馴染だから。君が北海道から来た子?」
ハナがボギーに尋ねた。
「ボギーっす。よろしく。犬がいっぱいいていいな〜! ここは大人しかいないの?」
「そう。小さい子はイズモかタカチホ。広いし、同世代が一緒にいれるからね。ここは単身や家族で来る人もいるけど、みんな大人」
「かぞく? 何それ」
「? 何それって何?」
近くにいた年配の男女が、ハナにこう言った。
「ああ、『外』には無いんだよ。文献から何から、『家族』に関する事は全て歴史から削除されてるそうだからな」
「私たちには当たり前だったけど、こうも当たり前が違うと不思議ね」
「ヤオヨロズの神様もそんな事言ってたっけ」とハナが呟いた。
「家族ってね、パートナーの事も言うし、パートナーとその子どもの事も言うの。一つの家に住む人たちってイメージかな」とベティが言った。
「へえー。じゃあベティかハナが俺と家族になってみる?」
「なりません」
「速攻振られてやんの」
「ウケる」と双子。
「あっ、亀もいる! 何これデカ過ぎ!」
ボギーの興味はリクガメに移った。
「なんなのこの子……」
「動物大好き! 牛とか豚はいないの? 羊とか」
ボギーは犬に囲まれ、舐められまくってはしゃいでいた。
「牧畜はやってないな。農業やってるし、それぞれ外で働いたりもしてる」
「外でも働くの?」
「そりゃ普通の就職はしないよ。IDが無いからな。でも金を稼ぐ方法なんていくらでもある。システムの抜け道なんて、ダイズと将軍たちにかかればいくらでもあるよ」
「え? ……俺たち働いてない」
ボギーは青ざめた。
「アハハハ! お前らが一番働いてるよ」
帰りの車中、
「とはいえ、俺らの食いぶちの分も働いてくれてるんでしょ? あの人たちとかダイズが」とボギーが呟いた。
「──いや、俺たちにはもっとデカい資金源があるから」
辨野はニヤリと笑った。
「え……なんか聞いちゃいけないニオイがする」
「お前ってホント、鼻が利くよな」




