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青春聖戦 24年の思い出  作者: くらまゆうき
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第98話 お前よく見ておけよ

道具を大切にする千野の姿勢は祐輝を更に惹きつけた。



親から買ってもらった大切なバットを自分に任せてくれているという気持ちはただの舎弟以上のものを感じていた。



やがて敵地であるグラウンドに入ると3年生達は準備を始めた。



ユニフォームに着替えてウォーミングアップを始めると相手高校を圧倒するかの様な息の合ったランニングを魅せた。



ランニングを終えるとキャッチボールを始めるためにグローブを取りにベンチへ戻ってきた。



祐輝は素早く千野の水筒を手渡して飲んでいる間にスパイクを足の前にさっと置いた。



すると千野は水筒を祐輝に渡すとスパイクを吐き始めたが祐輝はその場に片膝をついて動かなくなった。



千野はスパイクをかかとまで履くと地面につま先を何度か当ててしっかりと履くために祐輝の肩に手を置いてバランスを崩さない様にしていた。



祐輝は千野の手すりになるために片膝をついて動かなかった。



右肩をガシッと掴んでスパイクをしっかりと履くと祐輝の胸をドンッと叩いてグラウンドへ走っていった。



その光景にけんせー達1年生は絶句していた。





「祐輝やべえよ。 奴隷やん。」

「舎弟だからね。」





すると2年生が千野を真似て祐輝に手を伸ばしてきて「水筒取れ」と偉そうに話してきた。



だが祐輝はまるで見えていないかの様に平然と2年生の横を通過して試合の応援の準備を始めた。



あまりに生意気な態度に激怒した2年生は祐輝の右腕を掴んだ。



その時2年生は戦慄した。



「触るな」と無言の圧力をかけて睨みつける祐輝の目は16歳の少年の目ではなかった。





「て、てめえ・・・」





そんな情けない言葉しか出なかった。



祐輝は2年生から目を離さなかった。



今にも襲いかかりそうな威圧感を放ち、騒然となる。





「俺は自分が賭けたいと思った人にしか従わないんで。」

「先輩だぞ。」

「じゃあ先輩らしい事したらどうですか?」





祐輝の眼力と言動は「お前じゃ俺に釣り合わない」と言っている様だった。



だが千野と祐輝の間に何があったのか知らない2年生からすればただの怪我人1年坊主だ。



生意気で仕方のない祐輝の態度に怒りを顕にしていたが、これ以上刺激すると本当に襲いかかって来るかもしれないという恐怖もあった。



すると遠くから千野が「早く来いよ2年!!」と怒鳴っていた。



救われた様な表情で「すいません!」と走っていった。





「雑魚が舐めんなよ。」

「祐輝ヤンキーすぎるって。」





大熊やけんせーはあまりに生意気な態度を取るものだから連帯責任を恐れて祐輝に反抗しない様に話していた。



だが祐輝は聞く耳を持たずに平然としていた。



そして試合が始まると祐輝は千野を見ていたが、一度近づいてくると千野は得げに「よく見ておけよ」と笑うと試合へ臨んだ。



初めて見る千野達3年生の試合だ。



祐輝はかつて東京選抜というレベルの高い世界を見た。



はたして先輩方はどれほどの実力なのか。

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