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40. 深層攻略の進捗

 数時間後。


 23階層に到達した俺は選択を迫られていた。


「なんともまぁ微妙な残り時間だなぁ、あと4時間半か……。」


 冒険者ギルドの規則で、Eランクの冒険者は19時までしかダンジョンに入ることができない。


 深層ではボス階層の次の階層───このダンジョンで言うと21階層にも帰還用の魔法陣が設置されているので、戻って21階層で帰還するか、進んで25階層で帰還するかの2択となる。



 深層に入ってからの攻略は1階層当たりおよそ2時間のペース。


 このまま進んだ場合、単純計算だと25階層に到達するくらいでタイムリミットを迎えることになる。


 一応、万が一のために買っておいた緊急脱出用の魔法具もあるので、進んでみて25階での帰還が無理そうなら魔法具を使う、という方法もあるにはあるのだが……できることならこの選択はしたくない。


 この魔法具はかなり高価なものであるため、MPポーションに所持金のほとんどを使ってしまっている現状ではもう1つを買うことができないからだ。


「そう考えると……やっぱりここは戻る方が安パイだな。」


 方針を決めたところで、今下りてきた階段を上って22階にとんぼ返りする。


 帰りの道中は行きと比べればかなり楽に進むことができる。


 階段の位置を覚えているというのもあるが、魔物を倒してきたばかりなので数が少ないためだ。


 そんな訳で22階層では数える程しか戦闘が起こらず、1時間とかからずに21階層まで戻ることができた。


 物足りなさを感じながら21階層を歩いていると、前方に複数の敵影を発見した。


 空中に浮いている(アックス)(スピア)、そしてこれまた深層から新たに出現する魔物───『ゴーレム』だ。


 身長は170から180センチほどで、パッと見は『ミニゴーレム』をそのまま大きくしたような見た目だが、『ミニゴーレム』よりも泥っぽさが無く所々に岩が埋まっているのが特徴だ。


 そして、この『ゴーレム』こそが何を隠そう深層の攻略速度が遅くなっている一番の原因だ。




 3体との距離が近付き、真っ先に反応したのはアックスとスピア。


 速度で(まさ)るスピアが文字通り一番槍を挙げる───が、ただ速いだけの突きなら対処は容易い。


「ここっ!」


 左手に装備した小盾でタイミングを合わせ、横薙ぎに弾く。


「ぐっ、《ウォーターボール》!」


 人力でのパリィに成功しダメージの無効化には成功するも、衝撃を完全に消すことはできず声が漏れる。


 カウンターで放った魔法はスピアの石突き(・・・)部分にあるコアに命中したが、当然ながら1発で倒すことはできない。


 スピアはまだ硬直中なのでもう1発……というところで遅れてやってきたアックスを視界に捉え、魔法の発動をキャンセルし攻撃に備える。


 アックスは空中に浮いてこそいるものの、見た目通りの鈍重な攻撃なのでしっかり見ていれば当たることはない。


 逆に、もし当たってしまえば致命傷にもなりかねないので絶対に回避しないといけない。


 初撃の振り下ろし、二撃目の薙ぎ払いを余裕をもって躱し、後隙に《ウォーターボール》を2発撃ち込む。


 ここで、硬直が解けたスピアも前線に復帰し1対2の構図となる。


 お世辞にも連携が取れているとは言えないバラバラの攻撃だが、単純に手数が増えたことによって反撃できるタイミングが減り、じりじりと後退(あとずさ)る。


 負けることはなくても、勝つこともできない。


 そんな膠着(こうちゃく)した状況が続く中、さらなる刺客がやってくる。


 てくてくと歩いて来たのは身長1メートル程のミニゴーレム(・・・・・・)


 こいつは元からこの場にいた魔物ではない。


 3体の奥に目を向けると、自身の粘土のような体をもぎ取って()ねているゴーレムの姿があった。


 そう、これこそが深層の攻略が遅くなっている原因。


 ただでさえ個の強さが上がっているのに、更に物量で押してくるという鬼畜仕様となっているのだ。


 ───だが、ここでのミニゴーレムの増援はこちらとしても渡りに船だ。


 スピアの攻撃を盾で弾き、アックスの攻撃を回避していると、ミニゴーレムは空洞になっている両腕をこちらに向ける。


 そして、茶色く粘性の強い泥をポポンと射出してきた。


「よっしゃ、う〇こきた!」


 片方を半身になって回避し、もう片方を盾で受ける。


 残弾が無くなったミニゴーレムは両腕をだらんと力なく下げて弾の補充モードに入り、パリィの硬直から解放されたスピアは何度目かになる突きを放つ。


 その攻撃に対し、俺も何度目かになるパリィの動きで防御を狙う。


 ───が、その結果は今までと違うものになった。


 泥の中に槍が食い込むと、泥がトリモチのような役割を果たして槍を絡め取った。


「いっちょあがり!」


 動きを止めてしまえば後は一方的に魔法を撃ち込むだけで簡単に倒すことができる。


 アックスとミニゴーレムの攻撃を楽々と回避し、スピアのコアに向かって《ウォーターボール》を連射する。


 すると、先程までの苦労が嘘のようにあっさりと光に変わってしまった。


「いやー、消えてくれると外す手間が省けて良いなぁ!」


 『トリアル・ワールド』は全年齢版のため魔物の死体を残さないように、という制作側の事情があるのだろうがこういう時は本当に楽で助かる。


 その後はミニゴーレムの増援が来たりもしたが、タイミングを見計らってアックスを盾にくっつけてしまえば形成は完全に傾いた。


 アックスもスピア同様ウォーターボールの連射で光に返し、増援のミニゴーレム達は成す術なく消えてしまった。


 最後に残ったゴーレムに関しては、本来はすぐに倒すところだが、今回は時間に余裕があったので上限までミニゴーレムを生成してもらい、その後に倒した。


 いやはや、こちらから動かなくても経験値の方から倒されに来るんだから便利なものだ。


 とまぁ、そんなことをゴーレムと遭遇(エンカウント)する度にやって本日のダンジョン攻略は幕を閉じたのだった。




今回でなんと40話!

投稿再開から約9か月、難産な話もありましたがなんとかここまで継続できました!

でも、作中世界ではなんと10日しか経ってないんですよね……。


ただでさえ毎週更新でペースが遅い上に更にテンポもゆっくりな拙作ですが、最近ではかなりPVも増えてきていまして(当社比)大変モチベーションに繋がっております。

皆様本当にありがとうございます!

”絶対に”完結まで走り続けますのでこれからも応援をよろしくお願いいたします!

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