二章の⑤ 二人ぼっち
入学式で試験が突如として始まった。
その内容は、現在約300人いる人間を200人まで絞り込む。 つまり、約100人は入学できないというものだった。
ルールは以下のとおり
① 約300人の生徒には1部づつパンフレットが配布されている
② そのパンフレットには1~40の番号がランダムに1つ書かれている
③ 1~40の番号を1人づつ揃え、40人のクラスを作り、係員に伝える
④ クラスはAからEクラスまである
⑤ 原則として手段は自由
主人公:誼人は、望と協力関係を結ぶが、二人の番号が同一というまさかの展開。
これから、どうなっていくのか……!?
おそらく、大多数がとりあえず動こう、動きたい! と思っていたが、誰も動いていない状況に萎縮し、動けなかったのだ。
そこで覚悟を決め、目的を持った上で立ち上がった者がいたのだろう。その先駆者に、まごついていた大多数が続いた事により一斉に動きだすなんて事が起こったのだろう。
二人が後方に向いた目線を再び交差しようとした瞬間、またもや注目せざるをえない事が最後方で起こった。それは正午の時報と同時だった。
「聞け!! 私の番号は1だ!! 1以外の者は私の下に来い!! こんな茶番すぐに終わらせよう!! 私は特待生だから安心してほしい!!」
5mほど離れると、到底会話内容など把握できないような雑踏と正午の時報の中でも、発言者から30mは離れた最前列の誼人達にすら声は伝わった。
それは音に驚き身体がハネるほどのボリュームだった。
望を見るとずっと半開きだった目がパッチリと見開いていた。どうやらこれが彼女のオドロキの表情のようである。
発声者の位置はすぐに特定できた、その周りにはすでに、人が集まり始めていたからだ。
前列、中列には座ったままの人達も多かったが、後方の人は競ってその人物の近くに集まっていた。
特定が容易なもう一つの理由は、その人物が人だかりから頭一つ飛び出しており、会場最前列からでもよく見えた事だ。
その者の主は周りの人々と比べて判断するに、おそらく180cmを超えた長身の女だった。
同じくらいの男もちらほらいたが、女の長身はここまで目立つものかと感じさせるほど、際立っていた。
周りの男の体格とは違い、余計な肉はなく、手足はすらりと長かったのも、目についた要因かもしれない。
長身の女がとった方法は、理論としてはシンプル。非常に簡単である。
頭を使う必要はほぼ無いと言っていい。しかしながら、だからといって実行が簡単か、と言えばそれは別の問題である。
クラス選定の説明を受けた時、この方法を思いついた人も多かっただろう。
が、日本人的教育を15年間肌で受けてきた彼らは、このような自分が目立つ行動はスグにはとれない。いや、もしかすると一生とれないかもしれない。
実際の状況。つまり会場の混濁ぶりでは目立てない、声が全く届かない場合すらある。声が届いても、ほぼ全員が他人の入学式である。人目を引くが人も引く場合さえある。
そのような「空気の読めない人」人は、出る杭として、二度と復帰ができない状況におかれる事が多い。長身の彼女はその恐怖に打ち勝ち、大声を上げたのだろう。
あのまったく物怖じしていない大声から、恐怖や恥じらい等を持ち合わせていない人間だと誼人は思った。




