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記憶を無くした悪女  作者: 浅海
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 56話 噂話に動揺する悪女

ティアノーズの屋敷ではヴィクトリアの友人達が泊まりに来ているので、使用人達も張り切りながらに夕食の準備をする

料理長のサージスはコース料理より好きなものを好きなだけ選んで食べられるヴィッフェにし、令嬢達は嬉しそうに大はしゃぎで料理をお皿に乗せていく

彼女達はすでに寝間着に着替えているので、ドルフェスは汚れても大丈夫な様にと大きめのナプキンを用意する心配りを発揮する

「ここの料理は本当に美味しいから困るのよ」

「ヴィッフェは食べ過ぎるのよね」

「やばい、ムースのチョコミントかけがある・・・」

皆できゃあきゃあ言いながら席に着き、嬉しそうに食べるその様子を満足そうに覗き見するサージスと料理人達


「そうだ、この前お母様から今話題の噂話を聞いたんだけど」

食事を楽しんでいるとマリーナが「レントスター伯爵夫人って知ってる?」と尋ね、ヴィクトリアとクローディアは「知らないと」と答えるが

「ああ、あれね?不倫してて、それがバレて離婚されたって人」

ティナもお母様から聞いたと話すと、キャシーも

「それ、お母様が凄く詳しく知ってるの。相手はシューイ・リオンヴィッツ様でね、どうしてバレたかって言うと・・・」

「その浮気夫の方の奥様が、使用人をレントスター家に送り込んで探らせたんでしょう?怖いわね」

ディジーが口を挟んで先に言ってしまい「ええっ、知ってるの!?」言いたかったキャシーはがっかりする


ヴィクトリアとクローディアは(そんな事があったの・・・)と驚愕するが、二人には母親が居ないのでそういう大人のスキャンダルの噂は友人からかサロンでしか耳に入って来ない

その話を聞いてドルフェスは眉を潜める

ティアノーズで預かる研修に来た他家の使用人は絶対に主人達に会わせない様心掛けていて、そして少しでも怪しい行動をとった研修生にはすぐにランドルとルシフェルに報告している

当然そんな使用人を寄越した場合は今後研修の受け入を断るだけでなく、その主人はランドルから厳しく問い詰められ処罰を受ける事になる

実は今までもヴィクトリアの事を探る何人か怪しい研修生は居て、皆ドルフェスや使用人によってランドルとルシフェルに報告され排除されて来たが・・・その事を知らないのはヴィクトリアだけだ


「夫の行動を怪しんで、目星を付けた夫人の屋敷にメイドを送ったんだけど・・・怖いのは、レントスター伯爵に浮気の疑惑がある事情を話て、証拠を得る為に潜入させてくれってお願いしたって事よ」

マリーナが信じられる?という様に友人達を見回し

「レントスター伯爵としては、まさかという気持ちで了承して・・・バレたのよね」

「伯爵は信じてたのに、ショックだったでしょうね・・・即離婚だもの」

キャシーは伯爵の怒りの程が判ると、料理を美味しそうに食べながら自分の知っている情報を語る


「不倫して、離婚されて、その奥様(ヒト実家からも見放されて、平民に堕ちたのよね。でも不倫相手だった公爵様は助けてあげずに知らん顔だったそうよ・・・冷たいわよね?」

アリメラは自業自得と言いながらも、愛人に対して酷くない?と相手の公爵を責める

「そりゃあ、ご自分の奥様の手前、何も出来ないでしょう?」

「まあ、夫を裏切ったんだから、当然の報いじゃない?本気で愛し合っていたならともかく、お互い遊びじゃねぇ?」

令嬢に似つかわしくない、全部母親から聞いた会話にアメニと給仕のメイドは(ヴィクトリア様にそんな話を聞かせないで!!)ハラハラしながら心の中で叫ぶ


(浮気だなんて・・・それも遊びでだなんて・・・)

政略結婚でお互いに愛していなかったからかも知れないが、だからと言って伴侶を裏切って良い訳が無い、絶対に許されないとヴィクトリアは思う

(ルシフェルが他の女性と浮気をしたら、悲しいし、嫌だわ。絶対に許せない・・・リオンヴィッツ公爵の奥様はどうしたのかしら?)

「そのリオンヴィッツ公爵の奥様はどうしたの?ご主人を許したの?」

ヴィクトリアが尋ねると、マリーナが

「証拠を掴んでご主人を責め立てて、そのまま怒って家を出て、今は別荘に居るらしいわ。幼い子供だけを連れて」

ヴィクトリはそれを聞いて(そうなのね・・・・えっ!?)ドキンッと心臓が飛び跳ねる


(浮気をされて家を出て、子供と一緒に別荘に居るの?)ヴィクトリアは動揺する

(・・・私とお母様は、どうしてあの別荘に居たの?別荘に居る間、一度もお父様は来なかった・・・気がする。まさか・・・まさかね。お父様は忙しいから来なかったのよ・・・)それでも不安になる

(お父様は、いつから紳士クラブに行ってるのかしら・・)

どうしても紳士クラブを怪しんでしまうヴィクトリアは、食事を終えて応接間に皆と向いながら(お父様がが帰って来たら聞いてみよう・・・どうしても気になるもの)そう決心する



応接間に入りそれぞれのベッドに座りながら、尽きないおしゃべりを楽しむ令嬢達

「ところで、公爵様の夜会はどうだったの?何も問題なかった?」

ティナが心配そうに聞いて来たので、ヴィクトリアは溜め息を吐きながら「何て言うか、いろいろ有り過ぎて疲れたわ」友人達が聞きたがるので、ヴィクトリアは思い出しながら、ゼノヴィッツが自分の娘をルシフェルに薦めた事、その娘エレノアラもルシフェルにダンスを申し込んだ事を話す

「ええっ?それは嫌な感じよね!?」「ダンスに誘うっていうのもね」「ルシフェル様が断ってくれて良かったですね」

オルテヴァール王国では伴侶が居ようと婚約者が居ようとダンスに誘うのは許されているが、ただヴィクトリアとルシフェルが絶対に他の相手とダンスを踊らない事は貴族の社交界では知られている為に、それでも敢えて誘った事を友人達は非難する


メリルシアナとジュリアンヌ、二人と居た時には凄く注目を浴びて恥ずかしかった事や、アルフレドも来ていた事、令嬢達が話し掛けて来て、そのままサロンで話をしていたらユレリーナ公爵令嬢が話し掛けて来た事等を話すと「・・・何だか、盛り沢山って感じね」ティナが笑う

「公爵令嬢の自慢話をよく笑って聞いてられたわね」

「凄く楽しそうに、嬉しそうに話ていたから。ただ・・・その後、サロンを出てから、男の人達が寄って来て・・・怖い目に遭ったわ」

ヴィクトリアが顔を曇らせてそう言うので友人達は驚いて「何かされたの?」と尋ねる


レスター・ヴォルヴィッツに髪を触られ、その髪にキスをされ、逃げよとしたら手を掴まれて甲にもキスをされたと話すと「うわあ・・・それって条令に反するんじゃない?」最悪、という様に友人達が嫌な顔をして同情する

「ルシフェルが助けに来てくれたんだけど、その彼にも酷い事を言うんだもの・・・」

(彼は悪女ヴィクトリアの恋人だったって言った・・・あの人は、悪女と居る時にあんな風に髪に触れて・・・キスをしていたの?)

それを考えると、悪女ヴィクトリアの所為で一体どれだけの男達が自分に触れているのだろう?泣きたくなり・・・同時に、ルシフェルには知られたくないとも思う



ルシフェルとランドルは紳士クラブの奥にある、男性二人が扉を護る部屋へと入る

そこには円卓が有り、アシド・ホルグヴィッツとジークス・ウェンヴィッツだけが座っていた

(今回はこの二人だけ?来た意味があるのか?)

ルシフェルは前回と同じランドルの左り隣の席に着く

「またその小僧を連れて来たのか?あれ以来顔を出さないから、怖がって来ないのかと思った」

ジークスはルシフェルを小馬鹿にする様に笑うと「お前の所の甥よりましだろう?あいつは一度も来ないではないか」アシドがジークに笑い返す


「お前は失敗したものな?それでアルフレドの怒りまで買って、わしは知らんぞ?」

助けてやらない、という感じでジークスがアシドを冷やかに睨む

「計略は成功したんだが?それに、あの小僧の怒りが何だと言うんだ?・・・まあ、あのヴィクトリアは気に入った。あの娘がここに居るだけで華やぐんだがな?」

アシドはランドルを見てニヤニヤ笑うので、ルシフェルが(何を言ってる?)という様にアシドを睨む


「むさ苦しい、男ばかりの紳士クラブにも飽いてきたか。若い娘が居れば、自然と若い男達が群がるは道理・・・・」

その言葉に三人が一斉に立ち上がり、ランドルがすぐにルシフェルに目配せしルシフェルも慌てて立ち上がる

声の主、アルゲイド・エルファルス・ギル・オルテヴァール18世と、オウエン・ゴールヴィッツも円卓に現れる

三人がアルゲイドに頭を下げるのでルシフェルもそれに倣い、アルゲイドはルシフェルに目を遣り

「野心を持った若人ワコウドが精力的に行動すれば、それだけで国は活気付く。年老いた者には眩しい位に光を放ってな」

そう言うと席に着き、彼が席に着いたのを見てから皆も着席する


「久しいな、ルシフェル。ランドルに無理やり連れて来られたか?」

アルゲイドに聞かれ、ルシフェルは緊張しながらも「いえ、そんな事はありません」そう答えたが、正直来たくは無い

円卓に居るのが怪物達では、とても楽しい会合とは言えないからだ

「これが来れるのは、娘の都合次第なので」

そうランドルが伝えると「そうか。出来ればもっと顔を出してくれれば良いのだがな」前回とは違って好意的な口調でルシフェルに話し掛けるアルゲイドにオウエンが

「身の程を知らない若造が入って、場を乱す事もあります。アルフレド同様、協調性が無ければ邪魔なだけです」

「協調性を持たせる存在が居れば?この犬共は、ヴィクトリアの言う事なら何でも尻尾を振って喜んで従うだろう」

クククッと笑うアシドを(ヴィクトリアを巻き込むな!!)ルシフェルが睨みつける


「ヴィクトリア・・・相変わらず噂の絶えない娘だな。あの娘に関わった伯爵と公爵子息が厳しい処罰を喰らったな?」

ランドルを不快そうに見るジークスに「当然の報いだ」ランドルは冷やかに答える

「・・・ヴィクトリアを円卓に呼べば、アルフレドも来るか?」

アルゲイドの問いにゾクリとするルシフェルは不安そうにランドルを見るが、ランドルはアシドに視線を向けている

「飼い主がしっかりと獰猛な狂犬を調教してくれれば、従順で役に立つ番犬になりましょう?」

ニヤリと笑うアシドに「ヴィクトリアを巻き込まないで下さい」堪らずルシフェルが叫びアシドを睨む


「俺を睨んでも仕方が無いぞ?決めるのはアルゲイド様だ」

責任転嫁とも言える発言で自分は提案したまで、決めるのはアルゲイドだからとしれってしているアシドを忌々しく睨み付けると、不安そうにアルゲイドに目を遣るルシフェル・・・けれどアルゲイドは黙ったままだ

(まさか・・・本気でヴィクトリアを、アルフレドを呼ぶ為の道具に使うんじゃ・・・)

ルシフェルは堪らずにランドルを見るが、彼もまた黙ったままだったので(冗談じゃないぞ!!)不安が込み上がる



ヴィクトリアは友人達と楽しくおしゃべりをしながら、チラッと時計を見ると二十二時三十二分だった

(・・・二人とも、まだ帰って来ないのね)

少しイラッとしながら二人の帰りを待っていると「ルシフェル様、まだ帰って来ないのね」キャシーは残念そうだ

「きっと今頃、楽しんでいるのよ」

ヴィクトリアはムウッと不機嫌そうするので「男って、自分は束縛するくせに、されると怒るのよね。そして男には付き合いがあるんだって言って、好きにするのよ」ディジーも腹立たしく不満を口にする

「酔って帰って来る時に物凄く機嫌良かったり、饒舌だったら怪しむ方が良いって、向こうのお義母様に言われたわ」

ティナは、そういう時は気をつけないとと話す・・・向こうのと言うのはトーマスの母親の事だ


「ヴィクトリアは?ルシフェル様は遅くなった時どんな様子?」

ディジーが尋ね、尋ねられたヴィクトリアは首を傾げ

「えっ・・・?そうね、ルシフェルはいつも仕事で帰りが遅くなるか、それ以外は夕方過ぎに帰って来るわ」

そう答えるとマリーナが笑って「そうじゃなくって、飲んで帰って来た時とか、誰かと遊びに行って遅く帰って来た時の様子よ」興味津々の目を向ける


「そんな事、一度もないわ・・・仕事で遅くに帰って来るだけで、何処かに寄ってから帰って来るって事は、無いわ」

そう答えると、ディジーとティナは「え・・・一度も無いの?」嘘でしょう?と驚く

「ずっと忙しくて、帰りが遅くなってたから。秘書のトーマス様が来てくれて、漸く早くに帰って来れる様になったの」

ルシフェルはそれまでずっと忙しく、帰りに何処かに寄る余裕など無かったのは確かだ

けれど、余裕が有ったとしても彼は真っ直ぐヴィクトリアの待つティアノーズへと急いで帰って行く・・・最も侯爵になればそれなりの付き合いで、帰りが遅くなるかも知れないけれど



二十三時を過ぎてアメニが「旦那様達が帰って来られました」伝えに来てくれ、友人達に先に寝ていてと急ぎヴィクトリアは玄関ホールに向う

友人達は楽しそうにヴィクトリアの後をついて行くと、玄関ホールには疲れた様な表情のルシフェルとランドルの姿が

「お帰りなさい」

ヴィクトリアは二人の様子を窺う様に出迎え、ルシフェルは嬉しそうに「ただいま」笑顔で答え、すぐヴィクトリアの友人達が自分達を見ているのを確認し「友達が待っているから、行って良いよ」そう告げる

けれどヴィクトリアは「お父様、少し話があるんですが・・・」遅くに帰って来て申し訳ないとは思うがどうしても聞いておきたい事がある


「なんだ?」

ランドルは怪訝な目を娘に向けると「・・・お父様のお部屋で話します」父親の部屋へと向い、ルシフェルもついて来ようとするので

「ルシフェルは疲れているでしょう?お父様と二人で話があるの」

ヴィクトリアはランドルと行ってしまい、ルシフェルは何となく(クラブの事か?)と二人の後ろ姿を見送ると、自分を見ている令嬢達に頭を下げて自室に戻る

友人達は嬉しそうに『キャアキャア』とかっこいいルシフェルを一目見れて大喜びし、はしゃぎながら応接間へ戻る



ランドルの部屋へと入るとヴィクトリアは思い切って「お母様と私が別荘に行った理由を教えて下さい」そう切り出す

「なんだ?聞きたい事とはその事か?」

ランドルが鞄を机に置くのを見ながら「理由も無く、別荘に行った訳でないのでしょう?何か理由があった筈です」ドキドキしながら尋ねると

「聞いている意味が判らないが?別荘には、エメルトリアが望んで行った」

「それは・・・お父様が、浮気をしたから、それで怒って家を出たのでは無くってですか?」

そう問い質すと、その言葉に「何を馬鹿な・・・誰がそんな事を言った!?」ランドルが珍しく語気を強めヴィクトリアに問い質す


「誰も・・・私が怪しんでるだけです」

ヴィクトリアは父親に「本当の事を教えて下さい。お母様と私は、どうして別荘で過ごしていたんですか?」ランドルはジッと不安そうに自分を見ている娘を見つめ

「・・・お前達二人がホルグヴィッツの別荘に行ったのは、仕事が忙しく、私が休暇を取らなかったからだ・・・お前達二人だけで出掛けられる場所があの別荘だったから、せめてお前達だけでも出掛けたら良いと行かせただけだ」

父は確かに忙しい人なのは確かで、考えてみれば父に愛人が居る事が有り得ないと思い直し、その言葉を信じおやすみなさいと告げ友人達の居る応接間に戻る


(私には、ルシフェルがいつも傍に居てくれる・・・でも、お母様はずっと一人だったんじゃないの?お父様はずっと、お母様を放っておいたんじゃないの?私と同じ様に・・・)

それを考えると自分がどれだけ恵まれているか、また母はそんな父をどう思っていたのか・・・ヴィクトリアはそれを考えると悲しくなる

応接間では友人達が待っていてくれて「ごめんなさい。お父様にどうしても聞きたい事があったの」ベッドに入り、少し話をしてから眠りにつく

(お母様には、一緒に出掛けたり、お茶をするお友達は居なかったのかしら?)

そんな事を考え、ヴィクトリは母の孤独を悲しむ



翌日、ルシフェルとランドルがとっくに出掛けてから、令嬢達は遅い朝食を美味しそうに食べながら今日は何処にも出掛けず、ティアノーズ自慢の庭でお茶会を楽しもうと話をする

「昨日来れなかった、ユアナ達も来るのよね」

ガゼボで優雅な一時を楽しんでいると、昼頃に昨日参加出来なかった友人達もやって来て夕方まで楽しくおしゃべりをして、あっという間に楽しい時間は終わり、友人達は楽しかったと帰って行き、ヴィクトリアは自室でルシフェルが帰って来るのを待つ

(明後日には、いよいよお祖母様に会える)

胸を高まらせ、ヴィクトリアはその日をが来るのをどれだけ待ったか・・・何度も何度も読み返した二通の祖母の手紙を大事に抱きしめると机の引き出しに大切に仕舞う



ルシフェルは夕方に帰って来なかったので、昨日とは違って一人で食事をする味気無さにヴィクトリアは寂しさを感じるも、入浴を済ませ自室でルシフェルの帰りを待つ

夜遅くに帰って来たルシフェルに「お帰りなさい」笑顔で迎えるヴィクトリアに「ただいま」こめかみにキスをして笑顔で答えるルシフェル

「明後日、いよいよお祖母様に会えるのね」

喜んでいるヴィクトリアに、ルシフェルは「そうだな」部屋に入ると机に鞄を置きヴィクトリアを抱きしめ

「・・・明日も少し、帰りが遅くなる」

そう伝えると、ヴィクトリアは申し訳なさそうにルシフェルを抱き返しながら「ごめんなさい、いつも無理ばかりさせて」休暇を取った為に帰りが遅くなっているので謝ると、ルシフェルは笑って「ヴィクトリアが謝る事じゃないから」そう言って食堂に向う

ルシフェルは食事をしながらヴィクトリアが嬉しそうにデパートでの撮影会や友人達との話しを聞いて、シャワーを浴びに行く


シャワーを浴びながらルシフェルは昨日の円卓の事を思う

(結局、アルゲイド様はヴィクトリアをどうするかを決めずに、話題を変えた)

ルシフェルはヴィクトリアの事だから紳士クラブがどんなのか、誘われたら来るかもしれないと不安で堪らない

(ウェンヴィッツを得る為に、ヴィクトリアを利用するな)

イラッとしながらも、あの怪物達相手ではどうする事も出来ない

(ランドルも、何を考えているか判らない)ルシフェルは(娘の事なのに!!)心の中で叫び苛立つ



髪を乾かしながら寝室に入り、自分を待ってくれていた愛する婚約者の隣に座ると「別荘には誰を連れて行くの?」ヴィクトリアが尋ねる

別荘への汽車の手配と、使用人の誰を同行させるかはルシフェルに任せている

「連れて行くのはアメニとサビドと、傭兵の二人だけ。汽車は朝の十時発のに乗るから」

汽車の手続き、護衛の傭兵二名を用意してくれたのはドルフェスで、本当は騎士を手配したかったのだが、男性騎士はルシフェルが嫌がり、女性騎士は手配出来なかった


「そう、ありがとう」

ヴィクトリアは嬉しそうにお礼を言うと、眠たそうにベッドの中に入る

ルシフェルも机にバスタオルを置くと、ベッドの中に入り愛する婚約者を後ろから抱きしめ「おやすみ」頭にキスをする

「おやすみなさい・・・」

ヴィクトリアは愛するルシフェルに抱きしめられながら安心して眠りに就く

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