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第47話 プロポーズ(その5)
帰る時、新井さんは土手の上まで送ってくれた。
「ごめんね、お母さんが変なことばかり言って」
「いや・・・」
僕は新井さんがとても愛おしくなった。女の子として好きとか嫌いとかそういう感情ではないのだけれど、新井さんがおばあちゃんや両親からどんな風に育てられ、どんな風に真っ直ぐに成長してきたかがなんとなく分かったのだ。とても素直に、相手の苦しみや痛みにも思いをはせることのできる心が育っている。それは、以前杉谷が「室田の方がよっぽど男らしくてかっこいいからね」と言った後の新井さんの嬉しそうな笑顔からも分かる。
僕は頑張って後の言葉を続けてみた。
「お母さんはとても真剣だったよ。ありがたいな、って思った。
僕はまだ新井さんやお母さんに、きちんとした返事はできない。もしかしたら僕が何も返事をしない内に新井さんやお母さんが待ちきれなくて気持ちが変わるかもしれない。
でも、これだけは、今言っておくね」
新井さんはうっすらと唇を開いて僕の顔を見ている。
「‘好きだ’って言ってくれて、凄く嬉しかった」
それだけ言って、僕は自転車にまたがり、立ちこぎに全体重をかけて走り出した。
後ろを振り返り、僕は軽く手を振る。新井さんも右手をちょこっ、と挙げて手を振っている。
かわいいな、と思った。




