第44話 プロポーズ(その2)
杉谷は誇らしげだった。
「まさか、俺のブログのお蔭でこんなことになるとは。咲ちゃんも俺のこと見直してるよね?」
よく分からないことで僕の同意を求めて来るので、適当にうんうんと頷いておいた。
僕と杉谷が教室の自席で向かい合ってくだらない遣り取りをしていると新井さんがにこにことしてやって来た。
「室田くん、ほんとによかったね」
まるで自分のことのように喜んでくれている。僕は杉谷に対してとは打って変わって、できる限り丁寧に受け答えをしてあげた。
「門限守るんなら観に行ってもいいって親の許しも得たから。室田くんたちの出番は何時から?」
「16:30から。あ、チケットあるから買わないでね」
僕が言うと、新井さんは、え?と言う。僕は引き続き杉谷に対するのとは正反対の対応をする。
「主催者から友達用にってプレゼントされたんだ。一応その日のブレイキング・レモネードまで観れるから」
「え、ほんと?ありがとう!でも、室田くんたちを観たら早めに帰るつもり。うちはほんとに親がうるさいから」
「おいおい」
そこで杉谷が割り込んできた。
「まさか、新井さんだけってことないよねえ?一番の功労者を差し置いて」
僕は再び適当な応対に戻る。
「新井さんとその他三名分は貰ってるから」
いつの間にか木田、柏も脇に立っていた。新井さんとその他大勢が揃ったわけだ。
「‘その他三名’はないよなあ?」
杉谷が木田、柏に同意を求めるが、2人は、
「いやいや、一応俺らはその他大勢、っていう自覚あるから。そんなことより杉谷は少し色々と控え目にしないと咲さんから嫌がられるぞ」
「え?それはまずい」
木田の言葉に杉谷は本当に焦っているようだ。
「しかし、控え目、って何を控えればいいんだ?ブログの更新頻度か?」
根本的に分かっていない。




