クリスマスの大学
「では、年明けのレポートは忘れないように。終わります。」
最近初老を迎えました
という感じの教授が教室から出ていき、午前最後の講義が終わりを告げた。
人間とは現金な生き物で
終わりますの
終
辺りから、教室中が一気に活気だした。
いや
では
辺りかもしれない。
まあ、俺もその一人なんだけど…。
見事な復活劇を遂げた俺は気合いを入れ直し、カバンに荷物を放り込み、席を立とうとした。
「あれ?昼食ってかないの?」
色白で長身なまあまあ男前な男が声をかけてきた。
大学からの友人で、名前は落合雄一。
見た目はさわやかでノリがよく面倒見もいいが、お兄さん役というか、相談役になる事が多いらしく、あんまり女の子関係の話は聞かない。
「今日は午後から授業ねぇし、外で食うわ。」
「マジで?なんだよ、午後から大杉達と遊び行こうとしてたのに。それに今日はサークルの飲み会だろ?」
「悪い!また誘ってくれ!飲み会は7時からだから間に合うし。」
「まあ、わかったけどさ。何?女関係?」
「…だといいんだけどな。多分、男に見られてない。」
「大変そうだね。頑張って!」
「ありがと、頑張るわ。」
「撃沈したら言いなよ。大笑いしてやるし。」
「余計なお世話だ。」
雄一の言葉に苦笑しながら教室を出る。
最初のお見舞いから一週間がたっていた。
毎日、時間見つけては病院には通っている。
そして今日はクリスマス、一周忌をやろうと言った日だ。
そういう意味でも今日は行きたいし、また単純に楽しいからっていう意味でも行きたい。
男友達とバカやるわけでもなく、女の子とイチャつくわけでもなく、ただ毎日グダグダくだらない話をして、時間がふわふわ過ぎていくのが好きなんだ。
それに今日はもう一つの決意もある。
今まですごい気になっていたが、触れられなかった話題。
彼氏とはどうなったか。
正直、毎日お見舞いに行くのはそれが知りたいってのもあった。
とんでもなく女々しい話だが、直接聞く勇気のない俺は
まだ付き合ってるならお見舞いに来るだろう。
そしたら距離を取ればいい。
付き合ってないなら来ないし、来ない間は彼女のそばにいてもいいだろう。
そんな風に考えていた。
そしてまだ来ていない。
一週間来ないならもう別れたんではないか、そんな風に膨らむ期待と、それは自分に都合よく考えてないかって、膨らんだ期待を裏切られるのではという不安。
その板挟みで地味に悩んだ結果、やはり、彼女に直接聞こうという結論になったのだ。
きっと大丈夫。
自分に言い聞かせ、病院に向かった。




